お題:僕と検察官 必須要素: 制限時間:1時間 読者:42 人 文字数:2490字 評価:1人

脳に直接
生前、嘘をつくと、舌を抜かれて地獄に落とされる。という話をよく聞いた。嘘ついたら舌を抜かれる。嘘ついたら泥棒の始まり。嘘ついたら針千本飲ます。嘘ついたら人さらいにさらわれる。などなど。
で、思うんだけども嘘という事柄に対してかなり厳しいように思う。ちょっと考えるだけでも嘘に関してこれだけの事柄。舌抜かれたり、泥棒の起源にされたり、尋常じゃない数の針飲まされたり、人身売買に関与とか。多すぎる。ひどすぎる。
それに人殺したり、家に侵入してレイプしたり、薬やって車運転したり、賃貸で自殺したり、とかそういうのでは何もないのである。
人殺したらその人も一生いない人として扱われるとか、レイプしたらチンポコを切って食べさせられるとか、薬やって車運転したら自動車の一部に組み込まれるとか、賃貸で自殺したら幽霊になって出てきてもなんの効力もないとか、そういうのがない。一個もない。なんのペナルティもない。嘘にばかり厳しくて、他はなんのペナもない。

「これ、おかしくないですか?」
というようなことを閻魔様に聞いた。
「そうだねえ」
閻魔様は、困惑した様子だった。



僕は死んだ。交通事故だった。ある車が横の車に激突して、その車が僕に激突した。ピタゴラスイッチ的に死んだ。とはいえ死んだのはそこではない。重体であったが、その時はまだかろうじて息をしていた。でも病院に運ばれて半日、そこで死んだ。ニュースで言うと重体のニュースがあって、あくる朝のニュースで死亡したっていう感じ。

最初は耐え難いほどの痛みとか体の節々がおかしいみたいな感じだった。
「いたいいたいいたい」
って思った。でも徐々にそれが医者の皆様への心配へと変わっていった。
「もういいです。寝た方がいいですよ。お疲れですよね?」
ってなった。
「無理じゃないですか?手を尽くしてくれたのはありがたいんですけども」

そうして死んだ。
それからは北海道みたいな一本の長い道を歩いて、歩いて歩いて、途中休憩とかしたりしながら歩いて、やっと何か見えてきたと思ったら、
「閻魔寺」
と書かれたお寺みたいなところに着いた。

閻魔寺は大きく、すこぶる大きく道をふさぐように建てられていた。ゲームとかで必ず入らないといけない神殿みたいな感じだった。
「常識がない」
道をふさいで建てる。建立するなんて常識が著しく無い。しかしこの寺に入らない限りは先に行けないようだ。
「おじゃーす」
寺に入ると、軽く線香のにおいがした。

そうして手近な部屋に入り、そこは四方がふすまの和室だったんだけども、適当にふすまを開けて、そしたら開けた先も同じ四方がふすまの和室で、そこも適当にふすまをあけて、次も同じでふすまを開けて、何枚か開けて、何枚も開けて、開けて開けて開けてを続けていくと、ある部屋に、
「お疲れさま」
誰かいた。

もう結構そのころにはふすま開け病にかかっており、何も考えず、何も思わないで、リズムと体に付着した記憶でふすまを開けていたので、誰かいたのは驚いた。
「おおお!」
って言った。それからすぐに早口で、
「誰ですか?」
って言った。たぶん気まずさから、
「エンマーです」
それが閻魔様だった。しかも閻魔様の部屋は他の部屋とは違ってアロハーな感じがした部屋であった。閻魔様自身もアロハシャツ着てるし。壁にはサーブボード飾ってるし、あと舵輪みたいのも飾ってるし、ハワイアンミュージックもかかってるし、グラサンしてるし、首からもなんかチェーンが垂れ下がってるし、手首にもブレスレットしているし、
「まあ、座れば?」
「あ、すません」
僕は藤の背もたれも長い椅子に座って、そこで出されたブルーハワイを飲んだ。前ドンキで見たことあるやつだ。





「落ち着いた?」
閻魔様はそういうと、グラサンを外して頭に乗せた。所さんみたいになった。
「はい。ここはどういう施設ですか?」
「ここは閻魔寺だよ。入るとき見たでしょ?そして俺閻魔、エンマー」
閻魔様は自分のことをサンマーメンのように言うのにはまっているらしい。それにしても閻魔っていう人が閻魔寺なんて自己主張の激しいものを建てるかね?建立するかね?なんて主張の激しい行いだろう。おそろし。
「はあ」
「じゃあ、今から簡単な適性検査を行いますねー」
「え?」
「何知らないの?」
閻魔様に説明を聞いてみると、これから何かしらの検査を行うという。そこで適正と認められたら極楽浄土へ、不適正だと地獄。さらに嘘ついてたら舌を抜かれて地獄。でも嘘ついてても適性だと認められたら舌を抜いて極楽浄土へ。そういうことになるらしい。
生前、嘘をついたら舌を抜かれて地獄と教わったが、実際は多少違うもんなんだなあ。いやあ、体験してみないとわからんなあ。

「じゃあ、まず最初に何かあればどうぞ?」
閻魔様はペンを回しながら、そのようなことを述べたので、僕は最初のところのセリフを述べたのである。





「嘘に対して異様に厳しくないですか?」
「まあ、まあねえ。そういうシステムでやってるからねえ」
閻魔様は目をぐにぐにと指で押さえながらため息交じりに述べた。

「でも、まあこれでやってきたっていうのはあるからねえ」
これでやってきた?
「なんすかそれ?」
「ほら、こういう一個決めておくっていうやつよ。メインっていうの?そういう決め事を守るのはひとつ美徳がある。もちろん、時にはそれに逆らってでも何かを成すとか、決まりに縛られるのは滑稽だとか、そういうのはあるよ?そういう映画みたいなエピソードはあるけども、でも、それでも今に至るまでこの決まりは一回も破棄したことないんだよ」
だからやってこれた。
閻魔様はそういって、ストローを咥えた。

「嘘ついてたら、絶対に舌は抜くっていうことですか?」
「そうなる」

「良い嘘でも?」
「必ず、でも浄土には行けるし」

「・・・」
「まあいいじゃないの?浄土だとテレパシーでしゃべれるし」

「え?」
「大体浄土人もみんな舌ないし」
「は?
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