お題:強い神話 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:518字

偏屈な言葉選び
いつの事だったか。他人の言葉の暴力の中に『絶対神話』という言葉を耳にした。

絶対神話、とはなんだろう。

『絶対』: 思考においても実在においても一切他者に依存せず、それ自体として自律的に存在し自己のうちに存在の根拠を有するもの。

『神話』: 実体は明らかでないのに、長い間人々によって絶対のものと信じこまれ、称賛や畏怖の目で見られてきた事柄。

根拠のある『絶対』、そう信じ込まれてきた『神話』、両者の組み合わせはそれこそ矛盾の塊なのではないか。

思考の袋小路に迷い込む。ただ無機質な言の葉達が、いくつかのまとまりでグルグルと脳内を巡る。


突然、頬に熱さを感じて現実に引き戻される。

「ほら、煮詰まったんなら帰ってきなよ?」

声の主は案の定、双子の姉だった。彼女は私が難しい顔をしていると、気配を察知したかのように飛んで駆け付け慰めてくれる。

「難しいことばっか考えてないでさ、たまには私にも構ってね?」

私のような不肖の妹を可愛がってくれる姉のことが、私は大好きで。

私にとっての絶対は、姉なのかもしれない。

先の背反する言葉を端に押しやり、片方だけでも自分に置き換えて考えられたことにささやかな幸せを感じた。
作者にコメント

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