お題:緑の屍 制限時間:1時間 読者:23 人 文字数:499字
[削除]

緑のオブジェ
 森をあてどなく散策中、苔むした死体をみつけた。
 肌が露出した部分は一部の隙もなく苔が覆っている。服は泥まみれになっているも、そちらには全く苔が生えていなかった。
 試しに足で小突いてみる。びくともしない。下の地面と完全に一体化していた。
 着ている服は一昔前のセンス。亡くなってから随分な時間が経過しているのは間違いない。普通であれば白骨死体になっていてもおかしくない状況だ。苔が石膏のような役目を恐らく果たし、当人の形を保たせてくれているのだろう。
 ポケットからスマートフォンを取り出し、一枚撮る。どこかに上げるつもりはないが、ちょっとした優越感を覚えた。
 もう少し近づいてみる。苔に覆われているからだろうか、死特有の忌避感が薄い。それどころか、タオルケットで包み込まれるような安心感を覚えていた。
 そっと鼻を近づけてみる。腐臭はなく、代わりに緑の匂いがした。あまりにも自然に溶け込んだ香りに、身を委ねてしまいたくなる。睡魔のような誘惑はとても心地よく感じられた。
 ここで眠りにつけば自分も、自然の一部と化せるのだろうか。
 ――だといいな。
 そのまま、そのまま。静かに目を閉じた。
この作品をツイート

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:七淵 お題:鳥の小説訓練 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:639字
…空は蒼く、風は強く、我々は海へと征こうーああ、人間の本は面白いや少しずつ、言葉をあやふやだけれど覚えたような気がして、わかったような気がして。なんとなく、わか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:アイネクラリネ お題:愛と欲望の地下室 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:1570字
···陰陽師、それは人をたぶらかし、食らう邪悪なる悪鬼羅刹を退治する者、そして、俺の先祖はそんな陰陽師だったらしい、俺の先祖の陰陽師は、昔、都で悪さをしていた九 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:静かな年賀状 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:1059字
ブロロロンというバイクの音が響く。続いてブレーキ音。次に硬い何かが地面に接触した。玄関にあるポストの入り口が軋んで金属が悲鳴を上げる。その後、ドサッと落ちる振 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:最強のテロリスト 制限時間:1時間 読者:5 人 文字数:1920字
5月というのに私達に容赦なく夏の日差しが注がれている。その中で捜索活動が続いていた。山に近い住宅街。山に行っていたら最悪だが、包囲できればこちらのものとも言え 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:春の同情 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:948字
電車を降りて駅の建屋から出るともう町は闇に飲まれていた。月の光はない。自転車小屋までは小さな街頭が便りだ。タイヤ横の自転車のライトのスイッチを下ろしてペダルを 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:那智 お題:小説家たちの爆発 制限時間:1時間 読者:18 人 文字数:1099字
「申し訳ありません」か細く震えた謝罪に、イルヌは手元の本からゆっくりと視線を上げた。目の前にはドレスの檻と、色とりどりのそれに埋もれるようにして囲われた憐れなピ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:星蘭 お題:冷静と情熱の間にあるのは風 制限時間:1時間 読者:28 人 文字数:4693字
相変わらず、こういう場所には慣れない。そう思いながら、スファルは待ち合わせ場所であるバーの前で煙草に火をつける。ふぅ、と紫煙を吐き出しながら、路地に視線を投げた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夏風邪 お題:天才の体験 制限時間:1時間 読者:9 人 文字数:767字
柔らかでサラついた生地に舌が触れる。噛みついた唇でちぎり切れなかったチーズが、するすると伸びた。ソースに籠った熱が歯に沁みたが、すぐ目の前に迫っている美味の前に 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:けたいし お題:静かな年賀状 制限時間:1時間 読者:13 人 文字数:1143字
マンション宛に、白紙の年賀状が届いた。表面も裏面も完全に真っ白、新品の年賀はがきだ。一つ妙なことと言えば、これも差出人・宛名ともに書かれていない白封筒に入れら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:黒霧 永夜 お題:忘れたいコンサルタント 制限時間:1時間 読者:15 人 文字数:615字
「和田さん、今までありがとうございました!」 同じ部署の若い男の子が、大きな花束を差し出した。「こちらこそ、ありがとうございます」 私は花束を受け取り、彼と握手 〈続きを読む〉

匿名さんの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:俺は病気 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:448字
朝、目がさめると、壁が目の前にあった。 いや、壁ではない。少し視線を動かしてみると電気が付いている。寝ぼけた頭でもわかる。これは天井だ。 はっきりと目が覚めて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:弱いゴリラ 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:396字
威嚇された一頭のゴリラがすくみ上って、こちらに向かってきた。「今回も、失敗ですね」「うーん、ちゃんと自分を主張できれば、他のゴリラに引けは取らないはずなんだけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
開かない扉 ※未完
作者:匿名さん お題:賢い伝承 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:2107字
夜の校舎に生徒が侵入することを禁ず、なんてルールは大体どこの学校にも存在している。もちろん僕の学校でもそうだ。 真面目な生徒はもちろんそれに従う。僕は少なくと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
信頼の価格 ※未完
作者:匿名さん お題:高い税理士 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:370字
誰かが言った。「同じ仕事を頼むなら安いほうにするよ。」別の誰かが言った。「そんな金額、払えるか!」そんな言葉を何度聞いただろうか。高い税理士。それが俺の世間での 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:怪しい虫 必須要素:オリーブオイル 制限時間:1時間 読者:0 人 文字数:1483字
猛暑の中スーパーへ行ったのはやはり間違いだったらしい。平日の休みで気分が高揚してしまったのが運の尽きかもしれない。両手に保冷バッグを持ちながら、夏の暑さを凌ご 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:思い出の年賀状 制限時間:2時間 読者:2 人 文字数:2228字
僕が配達業を始めて数年経つ頃には、日本から年賀状というものは姿を消していた。 物心ついた時には既に、物流やらサーバー技術やらが急速な発展をしており、仕事用の文 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:猫の武器 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:649字
学校からの帰り道、自分が住んでいるマンションのすぐそばの家がネコを飼っている。 そいつは白い毛で包まれて、目が細くてとても可愛らしいやつだ。初めてそいつを見た 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:昼間の瞳 制限時間:30分 読者:4 人 文字数:966字
呪術師は荒い息をなんとか鎮めようと苦労していた。 深呼吸を繰り返し、咳き込み、そこでようやく足を止めることを自分に許すことにした。 立ち止まると、それまで「歩 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
放流 ※未完
作者:匿名さん お題:でかい大地 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:243字
目の前に広がる果てしない地平。清々しいその光景を見て、紗矢は呟く。「……広すぎ」 そして頭を抱え、その場に踞ってしまった。 どこか束縛されない場所に行きたい。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
文鳥先生! ※未完
作者:匿名さん お題:鳥の小説訓練 制限時間:1時間 読者:3 人 文字数:1706字
事実は小説よりも奇なり、とはよく言うが。これは一体全体どうしたことだろう。 「うげえ、つまんなっ。逆にどうしてこんなものが書けるんだ!?」 帰宅した私はかばん 〈続きを読む〉