お題:許せない冬休み 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:709字

許せない冬休み ※未完
「約束したのに」

 恨めしそうに私を見上げる少年。身に覚えのない約束だし、そもそもこの少年すら私は知らない。

「それって本当に私かな?」
「ひどい」
「ごめんね、恥ずかしながら私は友人が少ないのだ。さらに言うと、同年代や自分より年下の友人は一人もいない。そのため、君と私が約束を交わすような親しい間柄、友人であるとは思えないのだ」
「約束したのに」

 困ったものだ。ちょっと気分転換に散歩に出かけ、公園のベンチに腰掛けた途端にこれだ。
 こういう時ばかりは『番犬』たちの目を盗んで家を出てきたことを悔やむ他ない。

「約束の内容をお聞きしてもよろしいかい?」
「……冬休みになったら」

 冬休み! ああ、なんて懐かしい響きだろうか。休日も祭日も平日の境もなくなってしまった今の私には無縁の冬季長期休暇、冬休み!

「一緒に、遊んでくれるって……お仕事もお休みだからって……」
「なるほど、君の友人の私は平日勤めのちゃんとした人間なのだね」
「……」
「おっと、すまない。しかし約束の話を聞くところ、やはり私ではあり得ないのだよ少年。力及ばず誠に申し訳ない限りだが」

 少年の口が真一門になる。これは泣かれてしまうだろうか。こんな昼下がりに人気のない公園で、声をあげて泣く少年と小汚い男ひとりというのは非常に宜しくない。仕事熱心なお巡りさんに職質なぞされてみろ、二度とご近所を歩けなくなるだろう。

「おやまあ、先生じゃありませんか」

 ふと右耳に愉快そうな調子の声が聞こえた。顔を向けることなく、返事を

「ああ、キミか。丁度良い時に来てくれたね。会ったばかりですまないが、少し頼まれてくれないかい?」

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