お題:私と霧雨 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:953字

そういえば、幽霊。
 世界が鈍い白色に染まっていた。いや、世界は大袈裟な話だけれども、私にとっての世界とはしょせん今見ていることでしかない。
 激しい霧雨、というべきなのだろうか。しかし霧雨は雨の中では一番と言っても過言ではない小ささなのだから、ここは激しいのではなく、薄気味悪いというべきなのだろうか。
 とにかく、こうして霧雨を目にしてしまい、どうしようかと困っている。いったん脱ぎかけてた上履きを履き直して、さてどうしようか。
 昇降口でじっとしていたもしょうがないので、とりあえずそのまま階段へ向かい、登ってみることにする。最初に浮かんだのは教室。別にたいした用事はないのだけれども、確実に座れる場所はある。
 そうして教室に戻っているものの、私が予想した以上にクラスメイトが教室にはいた。それも、たいてい複数人で話し合って盛り上がっており、ここに私が一人でいてもしょうがないだろうという気がした。
 そのまま教室を横切り、廊下を真っ直ぐに進んでいく。上の階は教室と視聴覚室やら実験室などの部屋しかない。そうするとやはり一階に戻るべきであろう。
 今度は階段を下って、昇降口から逆の方角へ進む。昇降口近くにある保健室にはさっき上がる時に人が大勢いたのを確認していた。だから反対側の図書室ならば、少し静かなのではないだろうか。
 と思ったのだけれども、やはり、みな考えることは一緒なのだろう。普段賑やかさと無縁な図書室が、ここまで変貌するとは、この霧雨は滅多なことではないのだろうと改めて確信する。
 それじゃあ渡り廊下を渡って旧校舎に向かってみようか。
 しかしここには部室しか存在していない。困った。私は部活動にそこまで力を入れていない。なんとなく、入る気になれなかった。それだけの理由で部活に入らなかったのは今にして思えば不相応なことをしたと思っているが。それでも一人でなんとかやって行けてしまっているのもあまり良くないのだろう。
 そう楽しくはないことを思い浮かべながら旧校舎に入った。こうなったら、適当に見回るだけでいいのかもしれない。

「お? おーい!」
 そんな風にいこうかと思っていたら、声をかけられた。はて、誰だったか。
「まさか一度も部室に来なかった人がこんな時に来てくれるとは」
 ああ、そうか。
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