お題:最弱の妄想 必須要素:パーカー 制限時間:1時間 読者:35 人 文字数:2863字 評価:2人

ギフテッドってそういうことじゃないな
研究者である父母が実験で起こった事故で死んで、自分もその現場にいたけども、生き残った。
みたいな話であると、ギフテッドになる。よくなる。世間的に。実験の途中で実験に巻き込まれる。そういうのがギフテッドになる。ちなみにギフテッドっていう言葉はつい一週間前に知った。そういう言葉あるんだーって思って。早速使う。そういうところが俄であるように思う。

私の両親もそういう感じで死んだ。しかし私自身はその場にいなかったからなのか、ギフテッドにはならなかった。両親の死は私自身死ぬほど悲しかったけども、それは後天的な話である。両親が死んだとき私は幼かった。とても幼かった。赤子に毛が生えた程度の感じだった。だから私自身に両親の記憶はない。写真で見るだけである。

「あなたの両親はゴ●ラを止めるために研究を行って、その途中で死んでしまったの。とても勇敢な人たちなのよ」
祖母はそういって幼いころから私を慰めたが、後々違う人などに聞いてみると、それは少し違うようであった。
「両親はゴ●ラを止めるための研究をしていた。それはそう。でも、その成果も得られないまま、死んでしまったんだ」
それを聞いて、悲しい気持ちがあったけども、でもまあ確かにそうだろうなという思いがあった。

あのどでかい怪物を止めるだなんて。

どうしてそんなことを仕事に選んだのか知らない。名誉なことなのか優秀なことなのかも知らない。しかしいくら優秀でもあんなでかいのをなんとかしようだなんておかしい。そんなの絶対におかしい。所帯を持つ人がやることじゃない。特に幼い子供を抱えている人がやることじゃない。そんなのは独身者がやるべきだと思う。おかげで私のような両親ともにゴ●ラ案件で死んでしまった子供ができてしまった。両親もいない。ギフテッドもない。
「どう思うね?」
そういう話を知り合いのパーカーにした。パーカーはパーカーを着ているからパーカーと呼んでいる。奴はいつもパーカーだ。ピゾフのパーカーを着ている。
「僕もあるよ」
パーカーがしゃべると腹部の猫がしゃべっているように見える。
「ある?」
「子供のころ、両親やら姉やらが、あまりにもナウシカを見ていたせいでね」
パーカーは幼いころにあまりにもナウシカを見すぎて、もう泣けなくなってしまったんだという。あまりにも見すぎて。多少の感情やらを得る前にあまりにも見すぎて、それでもう泣けないんだと。もう少し大人になってから見てたらきっと泣けてるだろうになあ。
そんな話を延々としていて、
「そんな話してるんじゃないバカ!」
ってパーカーの膝頭をグーでガンガンやってから帰った。
「明日も迎えに来るからね。学校さぼらないでね」
パーカーが後ろから声をかけてきたが、それにも当然応じなかった。

「・・・」
自分の部屋の机には一応両親の写真を飾っている。二人して並んで笑っている写真だ。写真立ては私が小学校の図工で作った手作りのやつだ。写真の中の母は幼い、毛も生えていない頃の私を腕に抱いている。二人とも何もなさなかったのに、とても笑っている。
「・・・二人の仇とるからさ、今からでもギフテッドちょうだいよ」
黙ってみているとつらくなってくるから、写真立てを倒してベッドに横になった。

「うあー・・・」
なんとなく安心したくて声を出す。時たまあるやつだ。これからどうなるんだろう?私どうなってしまうんだろう?どうやって生きていったらいいんだろう?どういう感じになるんだろう?そういうのがどわって押し寄せてきて心がざわざわする。祖母にも話したことがない私の秘密。不安感が殺しに来るやつ。

「現場には火炎放射の跡があった」
「両親の遺体を確認しました」
「実験は失敗だったようです」
「あなたのご両親は勇敢でした」
「ご両親は国のために戦われた」

ざわざわする。心にざわざわが広がっていく。やめて。やめてよ。誰かに止めてもらいたい。目を瞑っても開けてても、記憶が押し寄せてくる。やめてよ。とめてよ。

うううううううううう

そんな中、警報が、サイレンがなった。
カーテンを閉めたままでも窓の外が赤くなったのが分かった。カーテンを開けると案の定、都心のほうの空が赤くなっている。

ゴ●ラだ。奴が出たんだ。

私は何も考えず外に飛び出していた。

自転車で三十分、私は都心に向けて自転車をこいでいた。ゴ●ラにあってどうするのか?何をするつもりなのか?どうしたいのか?復讐したいのか?どうやって復讐するのか?何をしたいのか?何一つ決まっていない。何もわからない。それでも無我夢中で走っていた。

そうしてちょうど十七号線と荒川のぶつかるところで、ゴ●ラの進行方向の正面に立った。
「くそ野郎・・・」
お前のせいで、私の人生はめちゃくちゃだ。どうしてくれるんだこの野郎。馬鹿野郎。死ねこの野郎。他はどうなったっていい。別にいいよ。なんでもいい。どこ壊したって別に構わない。でも私の両親殺しやがって、私はどうすればいいんだ馬鹿野郎。くそ野郎。

道の向こう、ビルの間、間にゴ●ラが見える。こちらに来る。間違いなく来る。
「だせこの野郎。出しやがれこの野郎!」
火炎放射だ、火炎放射を吐け。両親を殺した火炎放射だ。私はそれだ。それで死ぬ権利がある。私にはそれを喰らう権利がある。両親と一緒の死に方ができる権利がある。絶対にある。

「こっちだ。こっちだこの野郎」
ゴ●ラがこちらを見た。間違いなく見た。そうこっちだ。
「こっちだ!」
しかしその瞬間、奴は尻尾でビルを豆腐みたいに4、5本ぶっ壊した。そしてその破片が私の方に飛んできた。

ゴ●ラが壊したビルの破片、それが間違いなく飛んできた。私の方に。火炎放射じゃない。こんなの違う。でもそれで死ぬ。

もうあと少しで。

「ちがっ・・・」
目を瞑ったその瞬間、体に何かが絡みついて、恐ろしい力で引っ張られた。かろうじて宙を浮いてるような感じは分かったが、でもすぐに何もわからなくなった。

「うう・・・」
目を開けると、無事だったビルの上で蜘蛛のマスクの人に抱えられていた。
「スパイダーパーカーさん!」
スパイダーパーカー、千葉ットマンみたいなやつ。ご当地のやつ。最近ツイッターとかピクシブとかでパーカーちゃんが人気なので、そういうのが好きっていう経緯と好きすぎての誕生のやつだと思う。

「・・・」
スパイダーパーカーさんは、私が目を覚ましたのを確認すると、無理スンナってなんか変声期みたいな声で言うと、私を下ろしてどこかに行ってしまった。

ゴ●ラはすでにどこかに行ってしまっていた。パーカーさんはきっと人命救助に行ったんだろう。そういうことが素直にできるのはうらやましい。そう思った。

あと、ビルから向かいのビルにわたるときパーカーさんは、若干足をかばっていたように見えた。

なんとなく、膝頭をガンガンやったその後遺症に見える。

まあ、気のせいだろうけど。

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