お題:青いあの人 制限時間:15分 読者:23 人 文字数:468字

惑イ ※未完
またあの人だ。うちのアパートの階段に腰掛けている。

「あの、通して貰えませんか?」

いつもの様にすっと立ち上がり、通してくれる。雨の降る度現れる、全身暗い青で固めた不思議なひと。女性なのか男性なのかもわからない、中性的な顔立ちと体つき。

「……何か?」

じっとこちらを見つめる青い人。思わず声をかけてしまう。

「思い、出して……」

雨が降る夜、青い人がアパートの階段に現れてから数ヶ月。ようやく聞いた声は、透き通った鈴のようだった。

『思い出して……』とは、何をだろう。私は一体何を忘れているのか、それさえも忘れたままでいる。しばらく雨は降らないようで、青い人に会えるのは少し先になりそうだ。

私には趣味が無い。仕事をしていない時間は、眠っているか生活に必要なことをしているか、或いは無味乾燥な自分に目が行ってしまうかのどれかだ。

私は何を忘れているんだろうか。死んだ目で手の中の端末を眺める。ふと、Limeを開いて友達の一覧を呼び出してみた。

父親。母親。妹。あとは仕事の関わり。

妹……?私に妹は居ただろうか。
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