お題:都会の熱帯魚 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:422字

蒼い心 ※未完
雲の立ちこめるビルの屋上、その淵に踏み出す。そこらじゅう錆びに塗れていて人の気配は無い。ふと、視界の端を横切る鮮やかな蒼。

「着いてきたんだ……」

うちで飼っていた、尾びれに切れ込みのあるグッピーだ。この辺りには都会魚も居ないから飛び降りる場所に選んだのにな。

都会魚〈びるざかな〉。数年前から突然都会に現れ、宙を泳ぐように漂う鮮やかな魚達のこと。そのまま熱帯魚の形を取っているものが多く、電線に触れたり家に入ってきたりなどもしない。ある程度の高さのビルが立っているような栄えている地域以外には現れないことから、脱田舎の目標にもなりかけていたりする。

「お前は家に帰るんでしょ。見られてたら飛び降りにくいよ?」

そっとグッピーを押しやると、私を引き止める様に目の前でひらひら泳いでみせる。

「お前、もしかしてほんとに引き止めてる?」

コクコク、と頭を上下に振るグッピー。

「そっか……」

すとん、と私は後ろの床に腰を下ろした。
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