お題:黒い関係 制限時間:15分 読者:88 人 文字数:832字

噂の2人
「ねー、やっぱりあの2人、怪しいよねえ」

昼休み、私は同僚たちと噂話に花を咲かせていた。
現在私たちのグループ内では、A子とB男の話で持ちきりである。

「いつもこそこそ、2人で話してんのよ。以心伝心って感じ?」
「この前の休みに喫茶店で一緒にいるところをみかけたの、それでこっちに気付いたら2人慌ててどっかいっちゃった」
「えーなにそれ、やばーい」
「あと、今時手紙で文通しているのよ、2人で」
「うわ、メールじゃなく?もう確定じゃん!どんだけ真心こめてんのよ」
「いやあ、これは時間の問題ねえ」

女子社員達の華やいだ声は途絶える様子もなかった。

仲間たちの発言に耳を傾けながら、私は一々頷く。
皆の見立ては、概ね自分のそれと一致している。
あの2人はどうみても怪しい!

数日後、そんな私たちに見立てが実証される時がきた。


A子とB男が、2人して銀行強盗を働き、逮捕されたのだ。


やはりそうだったか。
具体的な内容までは読めなかったが、何か良からぬ企みを巡らしているのは容易に想像がついた。

いつも2人でこそこそ話しているのは、犯行の計画を打ち合わせていたのだろう。

休日には喫茶店でその話し合いを行っていた。
そこに同僚が現れたら、慌てて逃げるはずである。
話している内容を耳に入れられたら一大事なのだから。

手紙のやり取りもこれで説明がつく。
こんな不穏な計画を、今の時代データがどこまでも復元できるメールなどでやり取りしていたら容易に証拠をあげられてしまう。
だから痕跡を残さぬよう、燃やしてしまえば証拠が残らない手紙の文通を用いたのだ。

そしてこれだけ状況証拠がそろえば、そろそろその計画を実行に移す時期も、”時間の問題”だと思っていた。

「A子とB男、やっぱり私たちの想像通り”やばかった”ねー」

私は笑顔で同僚達に話しかける。
何故か彼女らは顔を強張らせ、グループ内は今日に限って水を打ったような気まずい沈黙に包まれていた
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