お題:何かのおっさん 制限時間:15分 読者:38 人 文字数:1060字

LUCKYーMAN?
世界一強運な男がいると聞き、私は記者として取材にやってきた。
男は匿名を希望したので、ここではイニシャルのB・Jとだけ記しておこう。

「はじめまして、あなたは世界で一番ラッキーな人だと伺ってますが」
「自分で名乗ったつもりはないが、世間ではそう言われているようだね」

握手を交わしながら、私はB・Jの風貌を観察した。
取り立てて変わった処のない、貧相な中年だ。
彼が何か特別な力や特性をもっているとは、外見からは想像もつかない。

「いきなりで失礼ですが、あなたの強運を私にみせてくれませんか?」
「いいだろう、ちょうどこれからカジノへ行こうと思ってたんだ」

私は彼と連れ立ってカジノに入った。
さぞやバカ勝ちして儲けるのだろう…という事前の予想を裏切り、彼はさっぱり勝たなかった。
ルーレットでもポーカーでもバカラでも負け続け、とうとう持ち金を使い果たしてしまう。

その日馬鹿勝ちしたのは別の男で、カジノ中の注目はそちらへ向いていた。
しかも踏んだり蹴ったりとはこのことか、賭場にいる内に彼の自宅で火事がおき、全焼してしまったといいう報が入る。

「ちょっと、どういうことですか!全然運なんてないじゃないですか」
「うーん、どうも今日は調子が悪いようだねえ」

そんな状況になってもB・Jは慌てることなく、平然としたものだった。
ひょっとして単なる少し足りない中年なのではないか…と私が思いかけた時。

「おらあ、お前の持ち金を全部よこせ!」

今日バカ勝ちしていた男の元に突如強盗が襲い掛かり、男をナイフで突き刺した!
強盗は取り押さえられたが、バカ勝ちした男は既にこと切れていた。

「どうやらあの強盗はカジノで勝った客を襲おうとずっと店内で様子を伺っていたらしいね。もし私が今日バカ勝ちしていたら襲われていたのは私だったろう。いやあ、あぶなかった」

B・Jは賭け事で負けることで、自分の命を拾ったことになる。
これもやはり彼の運が助けた、といえるのだろうか?

「ですが自宅が燃えてしまいました。これじゃ今日泊まるところもないでしょう」
「だから君がいてよかった。君の宿に泊めてくれよ」
「・・・は?」
「自宅が燃える丁度その日に訪問者がきて、その日の宿を確保できる。これが強運じゃなくなんというんだね、はっはっは」

…確かにいわれてみればそうかもしれない。
そうかもしれない、が。

なにやら私は割り切れないものを抱えながら、この奇妙な運(?)に取りつかれた中年男を自分の宿に連れていったのだった。
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