お題:神のうどん 必須要素:義眼 制限時間:15分 読者:35 人 文字数:728字

ある店舗にて
(#135)

 キラキラと輝く白くて太い縄状の集まり。
 それは薄らと金色がかった透明度の高い液体の中で優雅に泳いでいる。
 ところどころツンとした刺激的な香りを発している緑色の円環が散らばっている。
 申し訳程度に縁に乗せられた漆黒が全体的な印象を整えてくれている。

「つい、何度も足を向けちゃうんだよな」
「そうそう。私も今週はもう五度目になるのよ」
「一度で何回も頼むこともあってさ」
「それくらい魅力的なんだよね、アレって」

 ふと周りに目をやれば、僕と同じように目を輝かせている人々がいる。
 皆が静かにアレと向かい合っている。
 誰も一言も声を発することなく、半ば盲目的にアレに集中している。
 それくらい心を奪われる存在であるのだ。

「ある意味、麻薬みたいなもんかも」
「そうね、中毒性は否定できないと思う」
「他のものを受け付けなくなって衰弱してる奴を知ってるよ」
「魅力も度を超えると凶器になるってことだろうか」

 五感全てがアレに支配されているようだ。
 視覚で、嗅覚で、味覚で、触覚で、あと一つは何だっただろう。
 そんなことはもはやどうでも良いことだ。
 実のところ僕の本質は、支配される奴隷としての生き方を望むのかもしれない。

「フランチャイズで拡大してきたらしいけど、そろそろ…」
「残るは最初の場所だけらしいな」
「そりゃあ、あんな風評が巷に拡がったんだから」
「恋しいけれど、仕方ないわよね」

 僕の他に誰もいなくなった。
 心細いどころか、むしろ清々しい気持ちで一杯だ。
 それは、喉を滑り落ちる金色の液体の効果なのかもしれない。
 たとえそうなのだとしても、僕にとっては掛け替えのない幸せがここにあるのだ。
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