お題:同性愛の小説練習 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:792字

幸福の重なり
「本当に、本当に好きなんだよ」
僕がそう言うと、彼はいつものように優しく笑って、僕を打った。

実際、一目惚れってあるんだなって自分でも驚いたんだ。顔を見た瞬間、声を聞いた瞬間、こう、体の奥からぞわぞわとピンク色に黄色が混ざったような、例えるなら幸福の色だな、そんな色が溢れ出てくる。それを実感すると、今度は胸が跳び跳ねる。幸福色が体を支配したのだから、お前はこいつを好きになったのだと、全身に発令されたような。そんな風に、僕は彼に一目惚れをしたのだけれど。
中途入社である彼のお世話係みたいなものを仰せつかり、僕は毎日幸せだった。出社して一番にまともに顔を合わせるのが彼で、彼もまた必ず僕に微笑んで挨拶をしてくれるものだから、もう朝一番で幸せの絶頂だった。
お陰で業務成績も今期は部内トップです。
毎日幸せで、毎日順調に仕事をこなし、これが一生続くならどんな願いも要らないなと思っていたんだ。・・・・・・本当に。
「斎藤さん、お付き合いされている方いらっしゃるんですか」
斎藤さんは僕の名字です。
二ヶ月遅れの歓迎会だった。隣に並んで座る。それまでも昼飯を食べに二人で出掛けることくらいはあったから隣に座るくらいで、別に動揺はしないんだけれど、これ、どうだろう。
彼の手は、確かに僕の手の上に置かれているのだ。
押し潰されるように上に重ねられているのではなく、いつもの彼の優しいそのままでそっと触れるように重なっているのだ。だから、思わず口に出てしまった。
「いないよ。君がいるから」
一瞬、重ねられたその手に力が入る。その手は、その指は僕の指に優しく食い込むように同化していく。
「それって」
「ごめん、言うつもりなかったんだけど、お酒の勢いかも。忘れて」
そう言って顔を逸らした。けれど君が僕を振り向かせた。
「本当に、本当に好きなんだよ」
重なった手を見て、彼は笑って打った。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:DDT お題:犬の快楽 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:507字
しっぽが欲しい。ゴールデンレトリバーと兄弟のように育ったオレは、ずっとそう願っていた。泣いて駄々をこねるオレに困り果てた母親は、フェイクファーにベルトをつけて着 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:天塚 臥文 お題:セクシーな海 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:691字
「海でもいこっか」 と、彼女が言った。 季節は冬、正月休みも終え、親友との新年女子会でのことだった。 年が明けてもやることがない、と私がこぼしたことに端を発した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:谷矢チカフミ お題:孤独な宴 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:664字
並々とビールの注がれたジョッキを片手に、何の勉強にもならないような深夜のバラエティーをテレビに映す。あまり使われない折り畳み机の上には、コンビニで買って帰った 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:にい お題:打算的な村 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:944字
村外れにひとりの男が倒れているのを発見したとき、住人たちは「ついにきた」と思った。近隣の村から噂は伝わってきていた。その者はたとえば老婆だったり、ちいさな子供 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:--- 葉月 --- お題:死にかけの人体 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:586字
なんなんだよ、いったい!!ただの好奇心だった。ほんの出来心だった。わずかな慢心だったのかもしれない。【立ち入り禁止】 【危険】 【引き返せ】などなどの立て看板が 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:僕と痛み 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:355字
ひどい痛みに襲われる時、黒い人影がベッドの傍らに現れるようになった。影は何も言わず、僕のことを見ているようだった。影が見えるようになって数日後、痛みを紛らわせる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:悲観的な人々 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:348字
「食べ物が小さくなってる」「上司からのセクハラ」「勘違いした男が言い寄ってきてうざい」などと、私達は4人で居酒屋で女子会をしながら口々に言い合っていた。だが、そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Dynamite:D お題:でかい音楽 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1016字
会場全体に響き渡る音楽が流れたら、そこには一人の男ではなく、観客の求めるスターに変れる。 花道を歩いている時、自分自身の中で問いかける。俺は誰だ。お前は誰だ。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:Dynamite:D お題:死にぞこないの整形 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1030字
容姿を変えて名前を変えて住まいを変えて経歴を変えて何もかもを変えたところで、一度死んだという事実は変わらない。 もちろん肉体的には死んだわけではない。だが全て 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:もき お題:希望の別れ 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:636字
シャンパンでの乾杯から始まり前菜を食べ終えた頃から、私は前々から計画していたことを実行し始めた。向かいに座る、顔はそこそこでお金もまあまあ持っているお上りさん 〈続きを読む〉

あにぃぃの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:アブノーマルな撃沈 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:742字
てっきり、彼女がいるんだと思っていた。いつだって定時に帰るし、たまに参加の歓送迎会なんかも一次会で帰っちゃう。その飲みの途中にも、ちょこちょこ電話が掛かってきた 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:神の境界 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:748字
「嘘だろ・・・・・・」律也は後退り、その事実にわずかに怯えていた。目の前にいるのは確かに夏々である。その声も、その笑顔も、ふわりと香りも、そのどれもが夏々である 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:昔の接吻 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:494字
過去から来たんだよ。彼はそう言って私にキスをした。もしも本当にあなたが過去から来たなら、どうして私を選んだの。私が聞くと、彼は照れるように笑った。「俺の女房と似 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:光の恋人 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:443字
スノードーム、のようなものを作ってみた。小さなペットボトルの中にキラキラとしたラメや、小さなビーズと大きなビーズ、パールもどきも入れてみる。洗濯のりと精製水を混 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:小説の中の光 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:800字
「ほんと、毎日幸せだわ」彼は嬉しそうに笑い、○ねないな、とも言った。そのまま手に持ったカフ○ラテに口をつけたけれど、熱かったようですぐに離した。2日前、確か彼は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:もしかしてボーイズ 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:701字
「もしかしてお前ら・・・・・・」組んだ肩をそうっと外し、けれど視線は外さずに俺は良平を見ている。そうだよ。もしかしてボーイズラブだよ。でも『お前ら』じゃねえよ。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:計算ずくめの小説新人賞 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:519字
「やっぱりな」保は右口角をわずかにあげて薄く笑った。ほくそ笑み、のようなものだろうか。思っていた通りの審査員たちだった。今回から、保が応募する小説新人賞の審査員 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:今のデマ 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:724字
「誰かと一緒だったらしいじゃん」背中を小突かれ、振り向くと彼女がいた。またやっかいな・・・・・・と思っていることを悟られないように顔をひきつらせる。「いや、それ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:当たり前の小説上達法 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:660字
願い事は叶わないのだと、そんなことは知っている。でも諦めきれぬことがあるなら、それは、きっといいことだ。そう歌っていたのは僕の好きなバンドだけれど、彼らももう解 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:青い暴力 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:594字
お前の好きな音楽も、お前の好きな服のブランドも。お前の好きな色もお前の好きな食べ物も。お前の好きな時間。全部、俺は知らないよ。俺が知っているのは、お前の好きな体 〈続きを読む〉