お題:同性愛の小説練習 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:792字

幸福の重なり
「本当に、本当に好きなんだよ」
僕がそう言うと、彼はいつものように優しく笑って、僕を打った。

実際、一目惚れってあるんだなって自分でも驚いたんだ。顔を見た瞬間、声を聞いた瞬間、こう、体の奥からぞわぞわとピンク色に黄色が混ざったような、例えるなら幸福の色だな、そんな色が溢れ出てくる。それを実感すると、今度は胸が跳び跳ねる。幸福色が体を支配したのだから、お前はこいつを好きになったのだと、全身に発令されたような。そんな風に、僕は彼に一目惚れをしたのだけれど。
中途入社である彼のお世話係みたいなものを仰せつかり、僕は毎日幸せだった。出社して一番にまともに顔を合わせるのが彼で、彼もまた必ず僕に微笑んで挨拶をしてくれるものだから、もう朝一番で幸せの絶頂だった。
お陰で業務成績も今期は部内トップです。
毎日幸せで、毎日順調に仕事をこなし、これが一生続くならどんな願いも要らないなと思っていたんだ。・・・・・・本当に。
「斎藤さん、お付き合いされている方いらっしゃるんですか」
斎藤さんは僕の名字です。
二ヶ月遅れの歓迎会だった。隣に並んで座る。それまでも昼飯を食べに二人で出掛けることくらいはあったから隣に座るくらいで、別に動揺はしないんだけれど、これ、どうだろう。
彼の手は、確かに僕の手の上に置かれているのだ。
押し潰されるように上に重ねられているのではなく、いつもの彼の優しいそのままでそっと触れるように重なっているのだ。だから、思わず口に出てしまった。
「いないよ。君がいるから」
一瞬、重ねられたその手に力が入る。その手は、その指は僕の指に優しく食い込むように同化していく。
「それって」
「ごめん、言うつもりなかったんだけど、お酒の勢いかも。忘れて」
そう言って顔を逸らした。けれど君が僕を振り向かせた。
「本当に、本当に好きなんだよ」
重なった手を見て、彼は笑って打った。
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