お題:愛すべき男 必須要素:夏休み 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:950字
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 夜、夢を見ようと思って椅子に座り、肘掛についているボタンを押すと、瞬時に首元に麻酔が打たれる。リクライニングのソファと一体型の麻酔注射器なのだ。夢心地とはいえないし、陶酔感もなく、一瞬で死の淵から足を踏み外したように眠りに落ちる。完全な無。果てしのない闇。その向こう側で、虫食いの穴のようにじわじわと広がり出す風景。夢なのか、夢ではないのか。それが問題だ。麻酔の量を間違えていないと、一体誰が保証できるだろうか。AIの判断などあてにならない。機械に頼って夢を見ようなどと考える輩はそのまま永遠に眠り続けた方が世界の為だと判断して、何がおかしい? 夏休みの日記が全て夢日記だったので先生に怒られた過去を持つ私のような人間が夜、夢を見れないと言って苦しんでいるのは異常なことだが、それが異常だと判断するほどのサンプルをAIは持ち合わせているのか? 私はためらう。身体が自覚されてきていて、それが心地よい浮遊感を味わっていることも理解されてくるが、それでも私はためらう。あの、風景の向こう側へと泳いでいくべきだろうか。だが風景はもう広がって私の周囲を包み込もうとしている。闇はもうすでにすっかり消し飛んでしまい、今は視界いっぱいに風景が広がっている。背後にわずかに暗いところが残っているだけだ。私は風景を見るべきか、それとも目を閉ざしてしまうか。それが問題だ。そこには見慣れた部屋があり、椅子がある。椅子の上には男が座っている。眠っている。幸せそうに眠っている。あまりに幸せそうなので、その幸せを永遠にしてやるべきじゃないかと思えるくらいだ。子供のような顔をして眠っている。昼の苦労を忘れた、安らかな顔だ。私はソファの真後ろに音を立てず忍び寄る。これは夢だ。ならば、何をしても現実のものにはならないはずだ。夢の自由が、私を夢に魅了させたのだ。ソファを倒し、私は背もたれのクッションを破り取る。そこには注射器があり、中には透明な麻酔薬が詰まっている。注射針を首に刺し、思い切って中身を全部押し出してやればいい。私は首をこすり、針を突き立てた。私は指に手応えを感じた。私の視界に穴が空き、そこには夏休みの午後の幸福な一時間が見える。カルピスを飲み、スイカを食べたい。私はその穴を目指して、全力でもがき始める。
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