お題:絵描きの転職 制限時間:15分 読者:31 人 文字数:1502字

球体は影で形を変える ※未完
人生常に崖っぷち。

そんな言葉を言った人が、過去には何人もいた。

後世にそんな言葉を残したということは、きっとその人の人生も崖っぷちだったのだろう。

いつか来る終わりまで、ただ耐え続けて。

その先に何かがあると、そう信じて。

だからこそ、崖っぷちだったのだろう。

落ちた先も、昇った先も。

黒か白が広がり続ける。

端まで来てようやく気付くものではなく、ここに来てはじめて崖であることに気が付くものである。

今、自分の立っている場所は、どうだろうか。

崖の近くだろうか。

それとも、平地のど真ん中だろうか。

改めて自分の位置を確認すると、私は崖っぷちにいると思える。

ある意味でいえば、平地の真ん中なのかもしれないが…。

というのも、私にはスキルがある。

そう、絵を描けるというスキルだ。

幼い頃、私は絵を描くのが好きだった。

日が暮れても、毎日毎日、鉛筆を片手に紙に線を引く。

飽きるとか、そういうのではなくて、それが私の世界の全てだったから。

だから、きっと絵の仕事に就いたのも自然な流れだった。

"私には絵しかないのだから"。

そう、自分に言い聞かせ続けて。

本当に、そうだったのだろうか。

絵を描くことしか、私にはできなかったのだろうか。

いくつもの疑問が頭を過る。

そういえば、いつから私は絵以外"価値が無い"と思っていたのだろう。

ふと、そんな問が脳裏に浮かぶ。

それでも、今はその答えは出さなくてもいい、なんて思っていた。

だって、私は、絵の仕事に就いたのだから。

けれど、いつまで経っても、私の心は満たされなかった。

好きに描く絵。

仕事で描く絵。

絵としては同じ好きだったはずなのに、どうも好きになれない。

それは、名義の問題かもしれないし、題材のせいかもしれない。

だけど、生きるために絵を描くことが、私にできることだから。

それをひたすらやり続けるしかない。

心の内で叫んでいる本音を隠して。

やがて、数年の時が経った。

かつて抱いた疑問など、遥か昔に忘れていた。

そんな頃、社内である噂が広まった。

破産。

解雇。

つまりは、そういうことだ。

終わりがやってきてしまったのだ。

まさか、こうもあっけなく終わるとは思ってもみなかった。

噂は現実になり、翌月、会社はなくなった。

さて、私は何をしよう。

いや、何をすればいいのか。

そんな時、ふと思ったことがある。

私には、絵以外に何があるのだろうか。

数年前に出せなかった答え。

それが今、目の前で必要とされている。

次の職を見つけなければ。

だけど、私に絵以外に何がある?

そうだ、絵を描けばいいんだ。

じゃあ、本当に絵の会社に行けるの?

わからない。

自問自答の繰り返し。

弊社だって、そこそこ大きな会社だった。

それでも無くなったということは、きっと他も同じだろう。

だとしたら、私に残された道は、一体…。

ここにきて、自分が崖っぷちに立たされていることに気が付いた。

右も左も、ただの真っ暗闇。

私は、どこに行けばいいのだろうか。

意識が暗くなる。

もしかして、私の終わりというのは、ここだったのだろうか。

あぁ、それならいっそ、諦めるという選択肢も…。

そんな時、過去に読んだ本が脳裏を過った。

物事は、見方を変えると、姿を変える。

はたと気が付き、棚にある本を取り出した。

そこに書かれている文字。

ファッションデザイナー。

私にとって、絵とは何か。

その片鱗を、





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