お題:真実のボーイズ 必須要素:奴の小指 制限時間:1時間 読者:48 人 文字数:1962字 評価:0人

指きり(BL)  ※未完
 ここ最近、カズマの様子がおかしい。俺に対してよそよそしくなった気がする。暇を見つけては毎日のように俺のアパートにやって来ていたのに、ぱったりと来なくなった。大学であっても、挨拶はしてくれるが、目を合わせようとはせず、一言二言話すと、用事があるからと言ってどこかに行ってしまう。一体どうしてしまったんだろう。

「なんかさ、カズマ最近おかしくね?」
2週間が過ぎたころ、俺は共通の友人の恭平に思い切って聞いてみた。
「え?別になんもおかしいとは思わないけど、なんで」
恭平はそう言ってコーヒーを飲んだ。
「いや、なんつーか、よそよそしいっつーか」
「そうか?」
なんでそんなこと聞くんだ?と恭平の目が言っていた。
これ以上聞いても無駄だと思い、俺はその話題をやめた。

 5限目の講義を終えて、アパートに帰ろうと駐輪場に向かうと、カズマとはち合わせた。
「お疲れ、今帰り?」
俺がそう言うと、カズマは目を逸らして「ああ」と言った。
・・・やはりおかしい。
カズマは黙ったまま地面を見ていた。

「今日俺、バイト休みなんだわ、お前も暇だろ?うちで飲もうぜ」
カズマは俺の言葉に顔を上げて「えっ」と短い声をだした。俺と目が合うと、逃げるように視線を逸らして、気まずそうに言った。
「うーん、今日はあんまり気が乗らないから…」
俺はカズマが言い終わる前に言った。
「なんで?」
俺の質問に、カズマは一瞬何か言おうと口を開いた。しかし、すぐに唇を噛むようにして口を閉じ、黙ってしまった。

カズマの曖昧な態度にイライラした俺はついに言った。
「お前さ、なんか最近おかしくね?」
「……」
カズマは答えようとしなかった。
自転車小屋に差し込んだ夕日が、カズマの顔を淡いオレンジ色に染めた。

「俺、もしかしてお前になんかした?気に障るようなこと言ったんなら謝る。だから教えてくれ理由を」
俺がそう言うと、カズマはゆっくりと顔を上げて、こう言った。
「ここじゃ言いにくいから……」

俺たちは帰りにスーパーに寄り、安い缶ビールとチューハイ、おつまみを買い込んで、俺のアパートに向かった。
テーブルに買い物のビニール袋を置いて、俺は胡坐をかいた。それに続くようにカズマも向かい側に腰を下ろした。
「ま、とりあえず飲もうぜ」
俺はビニール袋からビールを取り出し、カズマに差し出した。
「うん」
カズマはそれを受け取った。
プルタブを引くと、プシュっと気持ちのいい音がでた。

「ほい、乾杯」
缶ビールをカズマに近づけると、カズマも「乾杯」と言って俺の缶ビールにコツンと自分の缶をぶつけた。

ほどよく冷たいビールが喉を通り、体の中を流れていくのがわかった。
缶から口を離すと、俺はカズマに言った。
「で?」

カズマは缶をテーブルに置いて、なぜか正座に座り直し、拳をギュッと膝の上で作った。
そして言った。

「謙太はさ、覚えてないの?この前のこと」
「…は?この前?」
「二週間前も、ここで飲んだじゃん」
「ああ……」

二週間前も、こうやって二人で酒を飲んでいた。その日は中間試験が終わった日で、一夜漬けで勉強していたせいで、疲れていたし、酔いがまわるのが早かったのだ。途中までは覚えてる。二本目の赤ワインを空にしたあたりまでは。それ以降は……記憶がない。気がついたらもう次の日の昼で、フローリングの上にうつぶせになって寝ていた。目が覚めたとき、カズマはもういなかった。

「わるい、全然覚えてない」
苦し紛れに後頭部をかきながら、俺はカズマに言った。
「そっか……」
カズマは何故か悲しそうに目を伏せた。

「ごめん、俺、酔っぱらってたし、なんかお前に変なこと言った?謝るよ。ホントゴメン」
「いや、違うんだ」
カズマは俺の言葉を遮るように言った。

そして、頬かきながらカズマは俯きながら言った。
「違うんだ、どちらかと言えば、変なこと言ったのは俺のほうっていうか……」
こころなしか、カズマの顔が赤くなっているように見えた。アルコールのせいかと思ったけど、カズマはいくら飲んでも顔には出ないタイプなのだ。

「そっか、覚えてないんだね」
もう一度、カズマは言った。ひどく悲しそうな目をしていた。
俺は慌てて言った。
「まじゴメン、覚えてない」

「そうだよね、なら、もう一回言わせてもらう」
カズマは急に顔を上げた。

「入学した時から好きなんだよね、謙太のこと」
「……え?」
ポカンと口を開けたまま、思わず固まった。

「謙太もさ、あの日は、アリかナシかっていうとアリって言ってくれたじゃん」
「え」
「約束もしたよね?デートするって」

そう言って、カズマは小指を差し出した。

「ねえ、俺とデートしてくれるn






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