お題:恋のカリスマ 制限時間:30分 読者:39 人 文字数:1091字

モテのカリスマ ※未完
 私は男に困ったことがない。そんなことを胸を張って言える人生ならばどんなによかっただろう。
最後の彼を別れてから5年が経とうといた。それからというものの、浮ついた話もなく、私は三十路を迎えようとしている。
 おひとり様にも慣れてしまった。カラオケも、焼き肉も一人で行くことになんの抵抗も覚えなくなっていた。このままでは駄目だ。そう思った私は、婚活アプリに登録したが、1ヶ月でやめてしまった。新しい相手を見つけることに労力を費やすのが馬鹿馬鹿しく感じてしまった。重度だ。末期だ。
 20代前半までは、恋のために生きてるような、そんな女だったのに。人間変わるものだな。

 例にもれず、私はその日も、おひとり様をキメこんでいた。その日は、マンションから2駅離れたところにある、日本食居酒屋にいた。この店は全国各地の銘酒がそろっていて、料理に合わせて日本酒を出してくれる雰囲気の落ち着いた良い店だ。わたしはこの店が気にいって、週2のペースでやって来ている。
 二人掛けのテーブル席でひとり、ちびちびと酒を飲んでいると、店の戸がガラガラと開く音がした。そして、コツコツとヒールの音が店内に響いた。その音はだんだん近づいてくる。
 コツコツコツコツ、コツ。その足音は、私のすぐ近くで止まった。視線を感じて、フッと顔を上げた。そこには、スラリと長身で長い黒髪の美人が立っていた。この時、すでに私は、3合ほど飲み干していて、そこそこ酔っぱらっていた。
 黒髪美人は大きな二重瞼の瞳をパチパチと瞬きさせたあと、何も言わずに、椅子を引いて、私の前に座った。
 「・・・え?えっとどちら様ですか?」
彼女は私の問いには答えず、やって来た店員に本日のお勧めを頼んだあと、長い髪を耳にかけながら、私を上目遣いに見た。美人にこんなふうに見つめられては、女の私でもドキドキする。
 「あ、あの」
 私が口を開くと、私の言葉を遮るようにその美人は言った。
「貴方、こんなとこで何してるの?」
いや、それはこっちのセリフだ。なんで貴方は私の目の前に座っているんだ。それよりも誰なんだ。
「いや、お酒を飲んでるんだけど」
そう言うと、美人はわざとらしくため息をついた。
「またひとりで?」

「あの、申し訳ないんだけど・・・どちら様ですか」
たまらず、私は聞いた。
すると美人はまたため息をついた。
「もしかして覚えてないの?」
「…はい」
私は素直に頷いた。
「先週、この店で話しかけてきたのは貴方のほうじゃない、『お願い、私にモテというものを教えてくれ』って」
「…は?」
「それで、散々教えてあげたのに…


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