お題:今度の行動 制限時間:15分 読者:72 人 文字数:830字

未来を知る権利
(#133)

 予め自分の未来を知ることが出来る権利があるならば、あなたはそれを使うだろうか。
 未来を知らないからこそ、何が起こるかわからないことが楽しみで生きていける人もいる。
 逆に不幸な未来を知ってしまったならば、生きることが苦しくなるという人もいる。
 知らない方が幸せという考え方は、それはそれで正しいのだと思う。
 けれど僕は、折角与えられている権利を享受することに決めたのだ。

 未来伝達機構、そんな名前だったか。
 僕の元に送られてきた封書の差出人は不明だったが、中の書類を読み進め、書かれていたパスワードを指定のURLで入力すると、トップページにその名前が大きく表示された。
 そのままだな、という第一印象だった。
 僕は書類とサイトを見比べつつ、申し込み手続きを滞りなく進めていった。
 それはとても簡単で、何も考えたり迷ったりすることはなかった。
 最後の確認ボタンをタッチする際には流石に緊張したけれど、それも今思えば日用品を購入する際と同じ感覚なのであった。
 こうして僕は未来を知らされる権利を得た。
 サイトの右上に表示されている「000001」という数字が、何故か気にかかっていた。

「明日は会社を無断欠勤しなさい」
 僕の携帯端末が、そんな命令文を表示した。
 またかよ。
 僕は心の中だけで舌打ちをした。でも恐らく自分の顔に不満げな表情が浮かんでいることだろう。
 今は通勤電車の車中だ。
 隣には同僚が立っていて、忙しそうに自分の携帯端末を操作している。
 先程までお互いの仕事について愚痴を言い合っていたところで、今日も頑張ろうと励ましを言い合ったところであるのに今更…。
 未来を知ることが出来る権利、とは言えど、実際は具体的な未来ではなく曖昧な命令しか与えられることはないのだ。
 けれど小心者の僕である。腹が痛いとか言い訳を言って、途中下車することにした。
 その後、同僚が列車の事故で死んだのだと聞いた。
作者にコメント

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