お題:苦い体験 制限時間:15分 読者:69 人 文字数:645字

写真の女
 七瀬さんが、大西とキスしている。僕の片思いが砕ける音がした。
 そもそも、こんな光景を目の当たりにしてしまうのは、彼らが全く人目を気にしていないことにあるだろう。大学の近く、大通りに面した公園でキスしてりゃ、そりゃ見つからないほうがおかしい。
 物陰から彼らのことを遠巻きに見る。もしかしたら、キスしたのには別の原因があるのでは?なんて思ってしまったからだ。我ながらストーカー気質、未練がましいやつだ。しかし、互いの手が触れて照れている様子や、にやけている顔がとても幸せそうで、どう見てもカップルだ。あいつら、付き合ってたんだな。
 しかし、ここで状況が一変する。白い髪の、端正な顔をした女性が二人の目の前で止まったのだ。
「何ですか?」
 七瀬さんが訝しがっていると、その女性はにっこりと笑って、
「少しだけ、その甘い雰囲気を分けていただきたくて」
と言い出す。訳が分からない。
「ああ、すみません。少し写真を撮らせてほしいだけなので」
 そういうと、懐から名刺を取り出す。どうやらとある雑誌の記者らしい。七瀬さんも大西も、照れくさそうな感じだったものの、写真を撮るだけなら……、と了承した。
「はい、チーズ」
 彼女はさっと写真を撮ると、お礼もそこそこに去ってしまった。何だったんだろう。
 しかし、ここで不思議なことに、彼らの甘い雰囲気はすっかりなくなってしまっていたのだ。
 これは一体どうしたことか。そう思っていると
「あなたの苦さも分けてください」
 女性が、にっこり笑った。
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