お題:悲観的な山 必須要素:ペペロンチーノ 制限時間:15分 読者:37 人 文字数:1355字

俺は言った。
 山盛りのスパゲティを食べてみたい。なぜそんなことを言ってしまったのか。いや、たしかに、そういう気分ではあった。あったが、案外食べてみると、あれ、こんなに食べられなくねえか。と、冷静になってしまう。さらにいうと頼んだ種類がペペロンチーノ。なんともこう、少し背伸びをした注文であるのだから、違和感この上ない。美味しいのが救いだけれども。しかし、食べきれなかったらどうしようか。

「凄いわね。山盛りパスタ自分で頼んでおいてそこまで悲しい顔する人なんてアンタだけなんじゃない?」
「ぐ、ぐむう」
 男と女。成長期とその後。色々とあるが、彼女はとにかく控えめのミートソースを頼んで、品よく口に含んでいく。それをずっと見ているのもまた美味しさがあるのだが、それだと、自分のスパゲティは減らない。
 口に含む。もう何回目であろうか? しかしやはり美味しい。美味しい。美味しい。三口目まではやはり、美味しい。しかし四口目にいくと、なにかが足りない。五口、六口、七口。まだまだ足りない。八口目で、あ、なんか違う。となる。そこで、フォークを止める。目の前にいる彼女の皿の量は、変わっているような、変わらないような。

「ハムスターみたい」
「飼ったことあるの?」
「無いわね。あくまでイメージのハムスターね」
「そうか」

 レモン水を口から喉へ流し込み、リセットする。皿を見てみると、おお、山が丘くらいに減っている。案外、いけるものらしい。あとこれくらいなら、美味しいまま楽しめるだろう。

「あのさ」
 そんな山を越えた先に、彼女が話しかけてきた。少しだけ、声のトーンは低めだった。なに、っとフォークにクルクルとスパゲティを絡ませながら返事をした。
「ちょっと食べる?」
「え?」
「いや、別に、まだ食べられるわよ。でもほら、なんか、味に、飽きちゃった」
「早くねーか?」
「どうもミートソースは人気メニューじゃなかったみたい」
「はあ…… まあいいけど」

 メニューを見てみると、いろんなメニューがオススメのシールが貼られている。もちろん自分が頼んだペペロンチーノもしかり。しかしながら、彼女が頼んだミートソースだけは、そのシールが貼らていない。
 フォークに巻いていたペペロンチーノを口に含み、彼女の皿をこちら側へ持っていく。そうすると、彼女は黙ってペペロンチーノを持っていく。なるほど、交換、という奴なんだろう。
 ペペロンチーノが口腔内から喉を通り胃の中へ入っていったのを確認してから、オススメシールが貼られていないミートソースを食べてみる。
 一口、二口。まあ美味い、やはりオススメが貼られていなくても、関係ないのだろう。
「あ、こっちすごく美味しい! ねえそっち全部あげるから、こっち残りちょうだい?」
「んあ、いいけど」
 どうやら彼女はペペロンチーノを気に入ったらしい。先程までのスローペースは信じられないくらいに、丘が削られていく。まあこちらも食べていかなければ。
 一口、二口。美味しい。三口目、ん? 四口五口、なんか足りない。六口。ここで皿が見えた。このまま終わらせよう。七口八口九口十口、完食。

「美味しかった!」彼女はいった。
「ミートソースがオススメされてない理由がわかった」俺は言った。」
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