お題:暗い哀れみ 制限時間:1時間 読者:54 人 文字数:1006字

たこやき ※未完
 今以て立ち返るに、僕は所謂「デキる」人間ではなかったと思います。
 素行こそは真面目でしたが、学校の成績はどのような時でも学年の中頃で収まるくらいで、運動に至っては底を浚った方が早いくらいでした。
 性根も堅物で、遊ぶときは遊ぶということが出来ず、そのせいもあって、友人など片手で数えて余るほどしかいませんでした。

 クラスで言えば日陰者の集まりに所属しており、誰に咎められたわけでもないのに、ただでさえ足りぬ上背を折り曲げて、他人の面を窺いながら日々を過ごしていました。
 そんなものですから、私にとって学校生活というのは影であり、取り立てて面白いものではありませんでした。

 しかしながら12年の長い学生時代を過ごしたものですから、そのような影にも、楽しかった出来事と言うのは幾つかあるのでございます。

 当時、高校二年生だった私は、やはりクラスの日陰者として、日陰者なりに隅で呼吸をしておりました。
 授業態度は真面目に、部活は文化部が軽視されておりましたので、形だけ運動部に。
 取り立てて好きなものもなかったので、爪弾きにだけはされぬ様、周囲の者と嗜好を合わせ、上っ面の会話ばかりを整えていたのです。

 そのように日々を過ごしながら、ある時、クラスで文化祭の出し物を行うことになりました。
 何をやるかで、クラスの陽気な方々は、喧々諤々と意見を飛ばしていました。
 このような場では日陰者の意見など吹けば飛ぶような塵に同じですから、反感を買わぬように、話に参加している素振りだけして、話の行方を窺っておりました。

 これといった意見を出さぬまま、私のクラスではたこ焼きを作って売ることになりました。
 まあ無難な所に落ち着いたなと、意見も出していない分際で、内心高みを決め込んで、居ても居なくても変わらぬようなビラ配りの役を任ぜられ、いつもの日陰者連中でそれなりのビラでも作るかと考えておりました。
 材料の調達や費用の計算、実際に作成するもの、看板の作成と言った所謂中核を担うのは、やはり陽気な方々です。
 クラスにいながらいないかのような扱いの私でしたが、そういった中核の仕事というのは得てして責任も重いため、このときばかりは日陰者で良かったと思ったものです。

 各々準備を進めていって、文化祭の、そう、二日前のことでした。
 学校に届いた材料の量がおかしい。誰かがそう言いました。
作者にコメント

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