お題:平和と屍 制限時間:15分 読者:38 人 文字数:1088字

一寸先は異なる景色 ※未完
はじまりはいつもすぐそばにある。

そう言ったのは、誰だっただろうか。

記憶の奥底に眠る、顔も知らない誰かの言葉。

その言葉が、胸の内を突き刺している。

そう、今まさに、新たな物語が始まろうとしていた。

目の前にはナイフを持った男が一人。

こちらの武器になりそうなものは、ハンドバッグが一つだけ。

「ふーっ……」

小さく息を吐く。

始まりは唐突だった。

ただ、相手が強盗だった、それだけだろう。

もしかしたら、強姦目的なのかもしれないけれども。

そんな思考をしている間にも、打開策を練る。

ここはスラム。

叫んでも誰も来ない。

ましてや、こっちは女性だ。

人が増えたりなんてしたら、それこそ最悪の事態になるだろう。

(……こんな時に限って、ユウはどっかにいるんだから)

私の相棒、ユウがいれば、そもそもこうなる前になんとかケリがついたかもしれないのに。

(いない者に嘆いても仕方ない)

今は目の前の敵を倒す、それだけだ。

(ナイフを構えているだけで、間合いを読んでいる…というところか)

正直、鋭利な刃物に突き刺されればひとたまりもない。

というか、刺された時点で負けは確定だ。

なぶられるかもしれないし、殺されるかもしれない。

(…ま、この街じゃそんなの当たり前だ)

やられる方が悪い。

力が無いのが悪い。

それだけの話だ。

だから、私は抗う力を求めた。

そして、手に入れたんだ。

屍にならないように。

未来を掴む為に…。

(死ねない)

母を殺したあの男の笑顔が脳裏を過る。

それと同時に、私をあざけ笑うユウの姿が浮かぶ。

(アイツに笑われて死ぬのだけは、御免だ)

バッグを肩から手に持つ。

紐を持ち、手に握る。

(リーチはこちらの方が長い…)

だが、詰められたり切られたりした場合は、こちらの負け…つまり、"死"だ。

当たり前の摂理。

私たち"無い者"にとっては、日常。

"在る者"の元にある平和とは縁遠い情景。

これが、私にとっての"生"。

(久しぶりだ)

身体が芯から燃えるような感覚。

死ぬか生きるかの瀬戸際で燻る心臓。

ドクンドクンと、音が早くなる。

(まだだ…)

沈黙の元、二人の距離は縮まる。

「うらぁっ!」

先に男が仕掛けてきた。

(……遅いッ!)

切っ先を寸でのところで避けて、バッグを後頭部目掛けて振る。

だが、それを読まれていたのか、頭を低くされた。

(しまっ!)

降り注ぐナイフの2撃目。

けれど、それは私の前に届くことはなかった。

作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:メジャーな彼氏 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:764字
何となく、私は一人でいいと思う。いや、一人でも良かったのかもしれないと思っている。そう思っているだけで、実際は愛する彼がいて、恐らく何事もなければこのままいずれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:俺は病気 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:448字
朝、目がさめると、壁が目の前にあった。 いや、壁ではない。少し視線を動かしてみると電気が付いている。寝ぼけた頭でもわかる。これは天井だ。 はっきりと目が覚めて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
不器用な嘘 ※未完
作者:谷矢チカフミ お題:賢い嘘 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:446字
不審そうな視線に笑顔を返せば、結局は誰も口出しをしない。忠義だの恩だのと言う者達は、主のお気に入りである参謀の私に口出しは出来ない。笑いながらお決まりの言葉を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:最弱のサラリーマン 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:1071字
静まり返った街中を、レールを軋ませながら電車が走り抜ける。酒で酔って寝ている人、大声で喋る化粧の濃い女性、疲れ切った顔で携帯を見るサラリーマンの群れ。私もその中 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
トラブル回避 ※未完
作者:にい お題:弱いゴリラ 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:886字
真正面から歩いてくる男と目が合ったとき、喧嘩をふっかけられると直感した。血に飢えているやつは目でわかる。そして大体、野獣のような顔つきをしている。幅の狭い道だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:弱いゴリラ 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:396字
威嚇された一頭のゴリラがすくみ上って、こちらに向かってきた。「今回も、失敗ですね」「うーん、ちゃんと自分を主張できれば、他のゴリラに引けは取らないはずなんだけ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:茂吉 お題:猫の窓 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:435字
「なんで猫が家の中にいるんだ?」 愛猫で、さぼトラのペレが絨毯の上に座って、蒼い目をこちらに向けている。家の中には決して入れないようにしていた。室内が汚れること 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
信頼の価格 ※未完
作者:匿名さん お題:高い税理士 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:370字
誰かが言った。「同じ仕事を頼むなら安いほうにするよ。」別の誰かが言った。「そんな金額、払えるか!」そんな言葉を何度聞いただろうか。高い税理士。それが俺の世間での 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@いい日旅立ち お題:アルパカのにおい 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:884字
お前の眠る部屋は家にないからと両親に追い出された俺が向かった先は、子度の頃から一緒に育ったアルパカたちの小屋。アルパカたちは俺を歓迎してくれるようで、キレイな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:アルパカのにおい 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1073字
「ということで、私たちはこの『アルパカのにおい』を発売することにした」「はあ、そうですか」「で、キミはこれの営業に行って貰いたいのだが」「はあ、わかりました」「 〈続きを読む〉

イトカ/欄橋(らんばし)の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:12月の手 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1256字
暗い部屋の中。ぴちゃり。何かが落ちる音がする。(そっか…私)赤く滴る手を見つめながら鏡を見る。そこに映っているモノ。それを"壊す"ために手を取ったんだった。(… 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:高貴なつるつる 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1554字
世界は悪意にあふれている。こう唱えたのは、果たして誰であったか。誰か一人の善意が、悪意へと変わるのは容易い。物の見方を変えてしまえば、世界は容易に形を変える。だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:紅茶と高給取り 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:1434字
目前に広がる夕焼け。世界を覆うようなオレンジ色に感銘を受ける。こんな世界で生を受けたことに感謝しながら、下を見る。動き続ける粒の数々。こうしていると、この世の全 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:彼のぬるぬる 必須要素:マフィン 制限時間:1時間 読者:23 人 文字数:2574字 評価:0人
カーテンから零れる光で、意識が浮上する。「んー…」ゆっくりと背伸びをする。瞼を擦り、目脂を取る。(顔、洗わなくちゃ……)フラフラと立ち上がり、洗面台へ向かう。「 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:限界を超えた14歳 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:661字
荒れ果てた大地を踏みしめながら、前へ進む。(この辺りに敵がいるはずですが…)指令では、この辺りに伏兵がいるという話だ。(…初撃には気をつけないと)そう思いながら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:輝く抜け毛 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:634字
燃え盛る街を背に、敵を見据える。(相手は同じHIVシリーズ…)思考を回し、これからの行動を決める。(あのフォルムは恐らく150型…)至る所にあるジョイントの数と 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:あきれた罪人 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1223字
荒れた大地をゆっくりと歩く。揺れるコート。吹き荒れる砂埃。今まさに、俺は旅をしている。「…ねぇ、そんな感傷に浸ってないでさぁ、答えてよ」「…なんだ」そう、一人で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:遠い宗教 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1290字
0と1。その境にあるものは、果たしてなんなのか。曖昧という言葉に隠されたもの。それは、真であり、裏である。では、0がいくつ並ぼうが、1がついていれば1なのだろう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:疲れた目 制限時間:15分 読者:32 人 文字数:1018字
渇く。今、黒を見ているから。飢える。赤を求めているから。目。今、僕は見ている。何を?何を。目は嘘をつかない。脳を騙さない。赤が欲しい。きっと足りないから。サクッ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋(らんばし) お題:イギリス式の平和 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1174字
空に立ち上る黒き煙。それが、終わり、あるいは始まりの合図だった。人々は理性を失ったかのように、暴れ始める。怒号が飛び交う中、ものを壊し、殴り、蹴り、刺し、屠り。 〈続きを読む〉