お題:平和と屍 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:1088字

一寸先は異なる景色 ※未完
はじまりはいつもすぐそばにある。

そう言ったのは、誰だっただろうか。

記憶の奥底に眠る、顔も知らない誰かの言葉。

その言葉が、胸の内を突き刺している。

そう、今まさに、新たな物語が始まろうとしていた。

目の前にはナイフを持った男が一人。

こちらの武器になりそうなものは、ハンドバッグが一つだけ。

「ふーっ……」

小さく息を吐く。

始まりは唐突だった。

ただ、相手が強盗だった、それだけだろう。

もしかしたら、強姦目的なのかもしれないけれども。

そんな思考をしている間にも、打開策を練る。

ここはスラム。

叫んでも誰も来ない。

ましてや、こっちは女性だ。

人が増えたりなんてしたら、それこそ最悪の事態になるだろう。

(……こんな時に限って、ユウはどっかにいるんだから)

私の相棒、ユウがいれば、そもそもこうなる前になんとかケリがついたかもしれないのに。

(いない者に嘆いても仕方ない)

今は目の前の敵を倒す、それだけだ。

(ナイフを構えているだけで、間合いを読んでいる…というところか)

正直、鋭利な刃物に突き刺されればひとたまりもない。

というか、刺された時点で負けは確定だ。

なぶられるかもしれないし、殺されるかもしれない。

(…ま、この街じゃそんなの当たり前だ)

やられる方が悪い。

力が無いのが悪い。

それだけの話だ。

だから、私は抗う力を求めた。

そして、手に入れたんだ。

屍にならないように。

未来を掴む為に…。

(死ねない)

母を殺したあの男の笑顔が脳裏を過る。

それと同時に、私をあざけ笑うユウの姿が浮かぶ。

(アイツに笑われて死ぬのだけは、御免だ)

バッグを肩から手に持つ。

紐を持ち、手に握る。

(リーチはこちらの方が長い…)

だが、詰められたり切られたりした場合は、こちらの負け…つまり、"死"だ。

当たり前の摂理。

私たち"無い者"にとっては、日常。

"在る者"の元にある平和とは縁遠い情景。

これが、私にとっての"生"。

(久しぶりだ)

身体が芯から燃えるような感覚。

死ぬか生きるかの瀬戸際で燻る心臓。

ドクンドクンと、音が早くなる。

(まだだ…)

沈黙の元、二人の距離は縮まる。

「うらぁっ!」

先に男が仕掛けてきた。

(……遅いッ!)

切っ先を寸でのところで避けて、バッグを後頭部目掛けて振る。

だが、それを読まれていたのか、頭を低くされた。

(しまっ!)

降り注ぐナイフの2撃目。

けれど、それは私の前に届くことはなかった。

作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ダツ お題:ワイルドなあそこ 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:1110字
あそこに立てれば、どことなく、俺はワイルドになれるのではないだろうか。なんの根拠もない。ないが、それでもどこか魅力的なものがある。 一歩一歩近づいていきながら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:榮倉慶 お題:俺の狼 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:518字
森の中を歩いてると一匹の狼に出くわした。咀嚼音を辺りに響かせて食ってたので出くわす前に存在には気づいていたがあえて出会いにきた。別に狼を捕まえて食いたかったわ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:八等分された日ノ宮理李 お題:俺の狼 制限時間:15分 読者:12 人 文字数:916字
人を襲うとどんな動物であろうと殺傷処分を受ける。 何人もの仲間たちがそれで次々に消えてった。 最初のうちは悲しくてやりきれない気持ちでいっぱいになった。けれど 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:うるさい犬 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:578字
俺は田中一郎とても平凡な名前で平凡な日常だ俺の近所ではとてもうるさい犬がいる。俺はそつがあまり好きではない。なぜなら俺の荷物を持って行って穴に埋めていたのを見て 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ お題:うるさい犬 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:773字
犬ってすごく可愛いですよね。 なんてことを私はいつ言ったのかは覚えていませんが、ですが犬はもちろん可愛いのです。 それでいて、こうやってほぼ毎週一緒に散歩に出 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:水床海老 お題:気持ちいい許し 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:949字
ご飯を炊き忘れた。 そろそろ夕食にするかと炊飯器を見れば、そこにあったのは水に浸された二合の米だけで、期待していたほかほかのご飯は存在しなかった。 寂しい一人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:榮倉慶 お題:これはペンですか?違うわ、それは魚 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:682字
「これはペンですか?」「違うわ、それは魚よ」 終わりの見えないやり取りを先から続けている。昨日住宅街のゴミ捨て場で拾ったこの男はどうも外国人だったらしい。昨晩は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
無題 ※未完
作者:DDT お題:純粋な病気 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:308字
電車を降りたところで呼び止められた。女子高生だ。ラッシュの波に押されて流されそうになったので、とりあえず腕を掴んでエスカレーター脇まで移動した。その二の腕の細さ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:悲観的な経歴 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:834字
自分の過去に、自信が持てず、悲観的になると、その後の生き方も狭くなる。 履歴書の空白を説明できない者は、代る何かを得られていないだけなのだが、それ以上に後退し 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:悲観的な経歴 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:360字
「随分と、特殊な経歴をお持ちですね……」「そうなんです……あはは」 目の下にクマのある、ひどく病弱そうにやせた男は空笑いをした。「義務教育を終える前に出国して、 〈続きを読む〉

イトカ/欄橋の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:腐ったテロリスト 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1382字
廃れた洋館で、少女はただ一人、還らぬ人を待つ。何年も、何十年も、未来永劫、ずっと…。それは、彼が残した"呪い"。彼にとって、"祝い"であった"それ"は、口が災い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:昼間の尿 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1197字
物語が始まるとは、どういうことだろう。連続した主観の中に生まれる、"誰か"の思考。それが、物語の始まりであると私は思う。時間軸の繋がっている自我の中で、他人が割 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:絵描きの転職 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:1502字
人生常に崖っぷち。そんな言葉を言った人が、過去には何人もいた。後世にそんな言葉を残したということは、きっとその人の人生も崖っぷちだったのだろう。いつか来る終わり 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:高いダイエット 制限時間:15分 読者:26 人 文字数:1292字
表と裏。二分された世界。片や陽に照らされ煌めくものであれば、一方で常闇に誘われて暗きものである。その二つは決して相容れることはない。何故なら、光あるところに闇が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:理想的な犯人 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1229字
この世界の入り口は何処にある?それについて考えた人はどれくらいいるだろうか。目の前に答えが提示されているからこそ、抱かない疑問。母の中より、胎児として生まれ落ち 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:天才のエデン 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1421字
今日の私。昨日の私。時間という連続性がある以上、昨日と今日は一致している。そこに不確定要素はない。そう、本来であればそう考えるのが妥当だ。けれど、それを根底から 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:ちっちゃな百合 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1322字
「……ッ!」こんなの、聞いてない。手汗がにじみ出て、寒気が身体に迸る。いつから?いや、一体どこから違和感があった?その答えは、きっと過去にある。遠い昔でもなけれ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:朝の小説修行 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:1088字
「嘘…だろ…?」目の前の光景に息を呑む。瞳に映るのは、大きなカプセル。コポコポと泡を立てながら、稼働しているその中にあるもの。「……なんだよ……これ」そのどれも 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:飢えた抜け毛 制限時間:15分 読者:30 人 文字数:1198字
「ねぇ…」小さく問いかける。「…聞こえてる、かな」「……」返事は戻ってこない。「…私ね、頑張ったんだよ」「……」「今まで…ずっと…貴方のことを見ていたの」いつの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:光の国 制限時間:15分 読者:34 人 文字数:1347字
毎夜毎夜、どこからか声が聞こえてくる。(ねぇ…)私は、その声に知らないふりをし続けていた。次の日も、その次の日も。どんなに声が聞こえても、決して反応しない。それ 〈続きを読む〉