お題:平和と屍 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1088字

一寸先は異なる景色 ※未完
はじまりはいつもすぐそばにある。

そう言ったのは、誰だっただろうか。

記憶の奥底に眠る、顔も知らない誰かの言葉。

その言葉が、胸の内を突き刺している。

そう、今まさに、新たな物語が始まろうとしていた。

目の前にはナイフを持った男が一人。

こちらの武器になりそうなものは、ハンドバッグが一つだけ。

「ふーっ……」

小さく息を吐く。

始まりは唐突だった。

ただ、相手が強盗だった、それだけだろう。

もしかしたら、強姦目的なのかもしれないけれども。

そんな思考をしている間にも、打開策を練る。

ここはスラム。

叫んでも誰も来ない。

ましてや、こっちは女性だ。

人が増えたりなんてしたら、それこそ最悪の事態になるだろう。

(……こんな時に限って、ユウはどっかにいるんだから)

私の相棒、ユウがいれば、そもそもこうなる前になんとかケリがついたかもしれないのに。

(いない者に嘆いても仕方ない)

今は目の前の敵を倒す、それだけだ。

(ナイフを構えているだけで、間合いを読んでいる…というところか)

正直、鋭利な刃物に突き刺されればひとたまりもない。

というか、刺された時点で負けは確定だ。

なぶられるかもしれないし、殺されるかもしれない。

(…ま、この街じゃそんなの当たり前だ)

やられる方が悪い。

力が無いのが悪い。

それだけの話だ。

だから、私は抗う力を求めた。

そして、手に入れたんだ。

屍にならないように。

未来を掴む為に…。

(死ねない)

母を殺したあの男の笑顔が脳裏を過る。

それと同時に、私をあざけ笑うユウの姿が浮かぶ。

(アイツに笑われて死ぬのだけは、御免だ)

バッグを肩から手に持つ。

紐を持ち、手に握る。

(リーチはこちらの方が長い…)

だが、詰められたり切られたりした場合は、こちらの負け…つまり、"死"だ。

当たり前の摂理。

私たち"無い者"にとっては、日常。

"在る者"の元にある平和とは縁遠い情景。

これが、私にとっての"生"。

(久しぶりだ)

身体が芯から燃えるような感覚。

死ぬか生きるかの瀬戸際で燻る心臓。

ドクンドクンと、音が早くなる。

(まだだ…)

沈黙の元、二人の距離は縮まる。

「うらぁっ!」

先に男が仕掛けてきた。

(……遅いッ!)

切っ先を寸でのところで避けて、バッグを後頭部目掛けて振る。

だが、それを読まれていたのか、頭を低くされた。

(しまっ!)

降り注ぐナイフの2撃目。

けれど、それは私の前に届くことはなかった。

作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:未来の負傷 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:504字
おれはいつも未来のことを考えている。備えあれば憂いなしだ。今、こうして会社に向かう電車の中でも客先のプレゼンで話す内容を反芻して備えている。プレゼンが終わった後 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ=D・U=WWE夫=脱衣拳 お題:フニャフニャの風 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1081字
春の風。鋭いものの、そこに確かに暖かみと、どこか優しさを感じることが出来る。と、言えるのは私が花粉症ではないからであり、風が吹くたびにマスクをした人たちがとて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:人妻のヒーロー 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:390字
彼女いない歴=年齢の俺。彼女欲しい。 最近気になっている人がいる。隣に住む斉木さんである。 会う度に笑顔で挨拶をしてくれる。きっと俺の事が好きなんだと思う。で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:捨てられた駄洒落 制限時間:15分 読者:1 人 文字数:378字
アルミ缶の上にミカンが置かれている。飛んでいる布団がある。チーターが落ちている。何だここは?「ここは捨てられた駄洒落の行くところ。」「うわっ」びっくりした。いき 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ふわ ゆー お題:東京の俺 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:472字
東京の俺から電話がかかってきた。「久しぶりだね。元気でやってるかい?」「まんずまずだっちゃよ。そっちこそ体は悪くしてねえべか?」「うわあ、すげえ訛ってんな。大丈 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:小伏史央 お題:高貴な勝利 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:400字
神の意思のもとに我が背に続け。我らの道の先に勝利がある。 馬に跨り、鎧に身を包んだ騎士は、眼前に集ったガラトキの民にそう呼びかけた。彼らは騎士の声に導かれ大き 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ふわ ゆー お題:日本式の失敗 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:323字
日本式の失敗か資本主義のオッパイかと問われれば、世の男性の3分の2は後者を取るだろう。残り6分の1はケツ派で、残り6分の1が足裏フェチである。さて、今私が犯して 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:どこかの発言 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:492字
わたしのゆめ。本を持った少女が話しかける。わたしのゆめは。囁いているようで、泡となって消えてしまうような声だった。なんだったかおぼえてる?そんなものわからないよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:つくのきひめ@再開します お題:名前も知らない娼婦 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:972字
彼女はいつも同じ通りの角に立っていた。時代遅れの真っ赤なドレスを着て、いつも同じ煙草を吹かす。濃すぎる程の化粧。ドレスに負けない程の深紅の口紅。雨が降ろうが雪が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:しらいわと お題:僕が愛したぬめぬめ 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:319字
ざーざーとふる雨の中。ぼくは、道にかたつむりを見つけた。「お前、かたつむりみたいだよな」 今日の長休み。おにごっこをしていたら、同じクラスのヒロくんがそう言っ 〈続きを読む〉

イトカ/欄橋の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:うへへ、ダイエット 制限時間:15分 読者:33 人 文字数:1324字
荒れ果てる大地。その中でただ一人佇む。(いや、二人、か)私の足から出ている影。"何も無いところ"から伸びる影。その2つを見つめながら思い直す。私には姿が見えない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:青いヒロイン 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:1289字
そこにいるのは、美しい青い髪をした少女。ここにいるのは、臆病だった少年。二人しかいない荒野。二人以外消えてしまった世界。そこで僕は、思いっきり叫ぶ。「君を…君だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:平和と屍 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1088字
はじまりはいつもすぐそばにある。そう言ったのは、誰だっただろうか。記憶の奥底に眠る、顔も知らない誰かの言葉。その言葉が、胸の内を突き刺している。そう、今まさに、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:真紅の怒りをまといし体 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1164字
光。それが無ければ、色を見ることが出来ない。それが″目″の特徴でもあり、欠点でもある。光が無ければ色は見えない。逆も然り。光があれば色は映る。″ソレ″が固有の波 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:元気な霧 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:697字
あれから2日経った。今日も雨は降り続けている。幸いにも建物の中まで雨は浸透しなかった。(……お母さん)どうして私の母は殺されなければいけなかったのか。昨日は一日 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:昼の悪魔 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:950字
壁を思い切り殴る。(嘘…)徐々に手に痛みが渡ってくる。(嘘よ…そんなの…)頭の中で先ほどの会話を反芻する。『貴方は確か…あぁ、そうそう、マイのコピーね』この人は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:シンプルな消費者金融 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1090字
平凡な日常。ただ繰り返されるだけの日々。危険を冒さずに毎日を平穏に暮らせるなんて、一体どれだけの人がそれを望んでいるだろうか。ただ一言、素晴らしいと、そう思う。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:腐ったぬるぬる 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1108字
「走れっ!」怒声が響く。色々な葛藤がよぎる。死なないで、とか、一緒に行こう、とか。それでも、彼は私の背中を押して言ったんだ。私はそれに応えなくちゃいけない。「… 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
2/1 ※未完
作者:イトカ/欄橋 お題:煙草と血痕 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:923字
「いたぞっ!」警備兵の叫ぶ声が聞こえる。後をつけさせるように"わざと"足音を立てながら逃げる。こちらに意識を向けるように…。(頼むぞ…)小さく空へ願う。ここにい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋 お題:未熟なピアノ 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:1373字
未来なんて誰にでも平等にあるもの。ずっとそう思っていた。それが当たり前なんだと、思い込んでいた。けれど、そうじゃないことに気づいてしまった。ある人の未来は明るく 〈続きを読む〉