お題:求めていたのは姫君 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:666字

プリンセス・プライド
 「なりたいのは、お姫様じゃないのよね」
 「なに? じゃあ、王子様役?」
 ウィンドウショッピングにも疲れ、コーヒーショップに入った私たちは、いつものように与太話を始めていた。

 「男装趣味は無いっ」
 カロリー少なめのアメリカンを啜りながら、きっぱり否定してやると、この娘は、畳みかけてきた。
 「なら、”自らの力で幸せになる”というパターン?」
 「うーん、それも何か違うんだよね」
 自分大好きな私でも、何事も自分だけでやろうとは思わない。必要な助けはどんどん求めれば良いと思う。物書きや格闘家じゃあるまいし、成果を独り占めしたがる趣味は、私にはなかった。

 「そう、つまり、互いを見つめ合うより、同じ方向を見て喜ぶ、そんなタイプの、人生のパートナーが欲しいわけ」
 私がそう結論づけると、彼女は笑った。
 「なーんか、どこかのドラマかアニメでありそうね、そういうの」
 「えー、いっとくけど、私オリジナルだよ、これ?」
 夏季限定のメロンスムージー(※タピオカ入り)を飲みながら指摘する彼女に、私はブーたれたのだった。


 そして、20年後。
 私たちは、コーヒーを出す、つまり、店を経営する側に回っていた。
 宣伝と経営、そして、ウェイトレスは私が、営業と仕入れ、そして、コックは彼女が、それぞれ担当している。
 「はい、日替わり、それからコーヒーね」
 彼女が調理場から差し出すお盆を、私は受け取りながらうなずく。
 今日も、お店は繁盛していた。


 求めた者は、一人の君。その人は、私とずっと一緒にいるのだ。
作者にコメント

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