お題:興奮した能力者 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1252字
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マウスと脆弱性
 案外それは、脆いものだった。
 どこかで聞いたことがある。人は他人から渡される軽いものを重いものと思い込んで受け取ってしまうと、予想以上に力を入れすぎて骨を折ってしまうことがあるのだと。
 自分の場合、骨は折れなかった。「受け取る」という要素がそこになかったからなのかもしれない。
 とはいえども、少しやりすぎてしまっただろう。まるで落としたガラス瓶のようにガチャガチャで、雨の日の花壇のようにぐちゃぐちゃだ。
 まあいい。これで自分の力がつかめたのだから。私は私を確認することに成功した。それだけでいいのだ。
 私にとって、いままでそんなものは信じる機会も、その機会が訪れるというきっかけすら存在しないと断じていた。だって非科学的じゃないか。私は科学的なものをただただ愛するのだから、そんなものは信じたくないのだ。だが、それはあった。
 自分はその現実に直面して、こう考えることにしたのだ。
「非科学的」とは、「超科学的」でもあるのだと。
 そう考えれば、すべてつじつまがいく。オーパーツなんていう胡散臭いものはその存在が否定されているらしいが、それはどうとして感覚的にはあれと同じだ。あれだって非科学的に見えるが、肯定論者の言い分からするとあれは古代技術の「超科学」なのだと。
 まあ、そういうわけだった。私はそれに、直面してしまっていたのだ。その非科学的な、科学を超えた先にあるものに。
 
 ……訳を話すとなるとそれだけではない。科学を超えた先にあるものを、試したかったのだ。科学を超えた能力を手にしているのだから、この実験体質な私が欲望を抑えられるはずがない。試験したかった。そこらへんにある――脆くか弱く折れやすいマウスで。
 マウスを二三匹ほど始末してみて、初めて快感を得られた。成し遂げたという快感を。その虜になってしまった。
 だから、どんどん始末してやった。息の根を止め、生命の根を断ってやったのだ。まるで神にでもなったかのように。すでに人は超越しているのだから、さして過言なことではないだろう。確かにその時の私は、神のようだった。
 興奮、していた。
 もう百匹ほど、生命の根を断っていた頃だろか。このままだと、身近にいるマウスですらも、殺してしまいそうになっていた。それは控えたかった。唯一、なぜか脳が歯止めをかけたのだった。
 どうにかして落ち着かせなければならない。そう、思った。
 だから今、こうして日記を書いているのだ。どこで終わるかはわからないが、今こうして、クラウド上のドライブにメモを記入している。文字を書くと人はたいてい思考が穏やかになるというらしい。だから、今こうして書いている。
 ――しかしやはり、なぜか、収まる気配は見当たらない。
 どうしたものか……。すでに身近にいるマウスも、三匹ほど殺してしまった……私の手も血に濡れている。

 この腕に能力が秘められているのだとしたら、切断するほか、ないのだろうか。

 ……まあいい、どうにかなるのだ。諦めた。
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