お題:左の団地 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:530字
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おばけ団地
学校からの帰り道、僕の家まであと角ひとつの所、左手に団地があった。4階建てが3つならんだ、寂れた小さな団地。通称、おばけ団地。

そこにアイツは住んでいた。

よく同じ服を着てて、あんまり喋らなくて、少し臭う。クラスのやつらに陰口たたかれても、「おばけ団地の貧乏くん」なんてあだ名を付けられても、なんにも言い返さない。みんなに嫌われてた。

僕も嫌いだった。なんか見ててイライラするんだ。トロくて、不幸ですって顔して、何されてもしょうがない、自分が悪いんだって思ってるような。アイツのそんなところが虫唾が走るくらい嫌いだった。

6年生になって、卒業式の少し前、いつもみたいに家に帰る途中、おばけ団地の入口にアイツがいた。アイツと、低学年くらいの子供たちが数人。
そいつらはみんなアイツの楽しそうに話しかけてて、キラキラした顔で騒いでて、

アイツが見たことの無いような楽しそうな顔をしていた。優しい声を出していた。

アイツがこっちを向きそうになって慌てて隠れた。今のアイツに僕は見られちゃいけない、と何でか思った。


僕は大人になって、町を出て遠い所に行って、それでも時々あの時のアイツを思い出す。
この前久々に帰ったらおばけ団地は更地になっていた。

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