お題:絶望的な小説の書き方 必須要素:にゃんまげ 制限時間:30分 読者:60 人 文字数:1025字

吉岡マサルは片想い
おそらく、人類が道具を使わないで出せる最大級の騒音をたてながら、吉岡マサルは文芸部の部室に現れた。
「マルちーん‼オレに小説の書き方を教えてくれぇえ‼」
「…すまない、僕の耳がおかしくなったようだ。」
「え?マルちん目だけじゃなくて耳まで悪くなったの?ヤバいじゃんそれ!アダ名じゃなくていよいよ本当にジジイじゃん!じゃあ、もう一回な!オレは!小説を書きたい‼」
今度もはっきりと聞こえた。戯れに『やまなし』を読ませてみたら一ページ目で撃沈して眠りの底に落ちていったこの男が、小説を書きたいと言っている。
「…頭でも打ったのか…可哀想に、今すぐにでも外科に行くべきだ。安心したまえ、ノート程度なら取っておいてやろう。」
「マルちん!オレはマジだよ⁉」
「信じられん…明日は火星人が攻めてくるとみた。」
「マルちんってばあ…。しょうがない…マルちんだけに教えるからさぁ…オレが小説を書きたい理由…。」
別段興味も無かったが、吉岡マサル曰く、彼は隣町の高校に通う女子生徒に一目惚れしたそうなのだ。そして、彼女は相当な読書家だと評判であるのだそうだ。
「頼むよマルちん…一応書きだし程度なら書いてあるからさぁ、どこが悪いとか直してくれよぉ…ボロクソでもいいからさあ…。」
仕方ない、小学校からの腐れ縁のよしみだ。
「良いだろう。見せてみたまえ。」
「ほんと?!やったー‼」
吉岡マサルはカバンの中からぐしゃぐしゃの原稿用紙を引っ張り出し、高らかに読み上げた。
「『むかしむかしあるところに、にゃんまげがいました』‼」
…こんなにも絶望的な小説の書き方は初めてだ。吉岡マサルの読書経験はどうやら幼稚園で止まっている模様だ。
「どう?!マルちんどう?!」
…しかもどうやらこれだけらしい。
「色々突っ込み所はあるが…何故にゃんまげ?」
「え‼オレがにゃんまげ好きだから‼かわいいじゃんあれ‼」
「…とりあえず、君の趣味を押し付けるのはやめたまえ。…彼女はどういうものが好きなんだい?」
「え?どっちかっていうと年上派だって!」
僕は好きな小説を聞いたつもりだったのだが、吉岡はかまわず続ける。
「あ、でも今好きな人は同学年で、分厚いメガネかけた、おじいちゃんっぽい人だって!その人に憧れて本を読みはじめたんだってさ!そんな芸能人いたっけ…。」
吉岡マサルの顔がみるみる青褪める。
…どうやら僕は意図せずに、幼馴染みの恋敵になってしまったようだ。

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