お題:許されざる計画 必須要素:もみあげ 制限時間:15分 読者:52 人 文字数:1095字
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なんでも無い話は海の絵のように
 きっかけが何だったのかは覚えていない。
 だけど彼女は海の絵を描きだしたし、先生は髪の毛を減らし始めたし、僕はもみあげを伸ばしだした。
 僕らのスタートには、それぞれ何の関係も無いのかもしれない。
 そんな寂しいことを思う。僕らは繋がれない。一人きりで空を見上げている。

 彼女の絵がキャンバスの4分の1を埋めるころ、先生のハゲ方は円形脱毛症であることが判明した。
 これだって二人の間には何の関係もないことだ。
 僕のもみあげが若干カールし始めたことも、おそらく二人とは関係ない出来事だっただろう。
 寂しさを抱えながら人は生きていくのだ。冷たい海を見つめている。

 最初に彼女に声をかけたきっかけも覚えていない。
 きっと、僕は寂しかったのだ。
 ただ一人でハゲていく先生。ただ一人でもみあげがカーブしていく僕。
 そしてただ一人で海の絵を描く彼女が、一人で生きていく他人同士の僕らが、いつか繋がり合えるのを願っていたのかもしれない。

「海の絵を描いてるんだ。なんで?」

 そう問いかけてた僕に対し、彼女はぶっきらぼうに答えた。

「好きだから、って以外の答えがあるとでも?」

「そりゃそうだ」

 きっと彼女は無遠慮な質問をぶつけてきた僕のことが嫌いだっただろう。
 あるいはいきなり話しかけてきた男に対する警戒心もあっただろう。
 だけど僕は自分に言い聞かせるようにしてそんな感情を無視した。
 自分のやりたいように、自由気ままを気取り、彼女の隣に腰掛けて言った。

「町田先生ってさ、ハゲてるの知ってる? 10円ハゲ」

 彼女はやや眉間に皺を寄せたあと、どうでもいいとばかりの表情だったけど、僕の質問に答えてくれた。

「ミヤコ達が言ってたから知ってる」

「なんで先生は一人でハゲていくんだろうね?」

 彼女は今度の質問には答えてはくれなかった。
 あるいは質問の意図が十分には理解できなかったのかもしれない。
 眉間に皺を寄せながらこちらを見返す彼女に、僕は言った。

「どうして人は一人でハゲていくんだろうってさ。一人きりって寂しいと思うんだ。ハゲるにしたってみんなで一緒にハゲた方が優しい世界だよね」

「その考え方はおかしい」

 ツッコミを入れてくる彼女に、僕は言葉を続ける。
 自分らしく、気ままさを演じて。

「僕のもみあげもカーブしてきたんだ。笑っちゃうよね? もみあげカーブだよ。みんなのもみあげもカールすればいいのに」

 彼女は少し苦笑を漏らした。

「結局は自分だけ変なもみあげなのが嫌なんでしょ?」

 そりゃそうだ。
 僕は笑った。
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