お題:捨てられた地下室 必須要素:全力のグロテスク 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:846字

スイカのように身を抉られる私 ※未完
 グチャグチャという粘り気の混ざった不快な足音が聞こえる。少し離れたところで、恰幅のいい大男がいそいそと歩いているのが見える。医者が手術中に着るような薄緑色のエプロンをしていて、足元を見ると黒い長靴を履いている。
 ぼんやりとした意識が、灯りがついたように徐々に覚醒していく。白く霞んでいた視界が晴れ渡っていく。すると、目の前にいる大男だけではなく、ここがどんな場所なのかも把握できるようになってきた。
 汚れたタイルが並んでいる床。銀色に光るテーブルのようなものが、あちこちに散乱している。天井には蛍光灯が並んでいるが、明かりが点いているのは数本だけであり、しかも途切れ途切れに光っていて、今も息絶えそうだ。
 同時に、なぜ自分がこんなとこいるのだろうと思う。
 体を動かそうとして、そして私は気づいた。

 両手と両足が縛られている。
 口にはテープが張られている。

 その瞬間、パニックに陥った。
 目を大きく見開き、ジタバタと身体を動かし、叫び声を上げようとする。だが、縛られているせいでその場で魚のように跳ねるだけしかできず、叫び声もテープに遮られて小さい唸り声にしかならない。
 ガシャン!と、近くで響くような音がした。
 エプロンを着けた男が、こちらを見ている。手はテーブルの上に置かれ、何かを掴んでいる。男の掴んでいるものが何なのか分かった瞬間、全身が凍り付いた。
 スイカを食べるときなどに使う、先の割れたスプーン。
 どこの家庭にあってもおかしくないものだが、この非日常的なシチュエーションと、獲物を前にした獣のように血走った男の目を見て、絶望的な危機感が身体中を駆け巡った。
 必死に全身を跳ね上げて逃げようとする。だが、どんなに全力を込めても数メートルも進むことができない。男はその姿を見ながら、早足で近づいてくる。
 ダメだ、捕まる。そう思っても、少しでも離れようと狂ったように体をうねらせることしかできない。
 そして、男は乱暴に私の頭を地面に抑えつけた。衝撃が
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