お題:2つの王子 制限時間:1時間 読者:127 人 文字数:588字

2つの星
 どうして世界は僕に二択を迫るのか。コーヒーか紅茶、白米かパン、魚か肉、あの子とあの人。どちらかを選ぶことでどちらかと耐えがたい別れを迎えなければいけないなんて、世界は実に不自由だ。
 ある暖冬の朝のことだった。ふと思いつきで別れを告げるとあの子はひどく傷ついた顔をして、アーモンド型の大きな眼からはらりと涙を流した。
 泣かせたくていったわけではなく、むしろ、このままで二人とも腐っていくのが互いのためにならないとそう思ったからだったのだけど、どう説明したってそれはあの子にとってくだらない言い訳に過ぎなかった。それほどまでに愛されていたのかもしれないし、それほどまでに依存されていただけかもしれない。真相はともかく、あの子は僕だけを選んでいたのだった。

 未知数の博打に出るだなんて我乍ら破滅的だと思う。あの子を捨てるだけの価値があるのかと問われれば、わからない。結局のところ僕はあの子を愛したかったのではなく、救いたかっただけなのだ。傲慢に聞こえるだろう。けれど、それが真実だ。

 もう一度人生をやり直すとして、やっぱり僕は性懲りもなくあの人を選ぶんだろう。そしてあの子を救いに行くのだろう。それにどれだけの意味があるのかはわからない。或いはまったくの無意味かもしれない。それでも僕はそうするしかない。そうせざるを得ないのだ。きっと、誰にも理解はされないだろうけど。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ぶぉるびっっく!@ネコ信者 お題:2つの王子 制限時間:1時間 読者:69 人 文字数:1446字
母「ほらぁ!早く起きなさい!」主人公「あ、あと21,600秒寝かせて・・・」母「え・・・?に、21,600秒・・・?」母「え、ちょ、1分が60秒で・・・1時間が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:たっくん お題:2つの王子 制限時間:4時間 読者:282 人 文字数:3492字
私の最近みる夢は何だかグロテクスで大抵の場合、実家のリビングで誰かが首を吊っていて私はその光景をぼんやりとした視線で眺めあるとき唐突に目が覚める。そのたびに私 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:茶色いあそこ 制限時間:1時間 読者:5 人 文字数:1982字
「ここか、スズキいい家住んでんなあ」 そう言ってヤマダが見上げた先には洋館というに相応しい趣がある家があった。特に目を惹くのはバルコニーだ。家から大きく乗り出し 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
タイムラグ ※未完
作者:akari お題:漆黒の闇に包まれしアルパカ 制限時間:1時間 読者:4 人 文字数:584字
「あなたほどの人がなぜ堕ちた!」「これが本来の私だ。君たちのやり方は手ぬるいと始めから思っていたのだよ!」 目の前で繰り広げられる三文芝居。パンフレットによると 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
gg ※未完
作者:匿名さん お題:僕の別居 制限時間:1時間 読者:2 人 文字数:4字


ユーザーアイコン
作者:akari お題:官能的な消しゴム 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:566字
とりあえず、今日あった出来事を徒に綴ることにする。 『朝起きると、目覚ましが始業三十分前を指し示していた。 慌てて飛び起きて着替えるも、裏表逆でやり直し。朝食 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なないろサイダー お題:1000の天国 制限時間:1時間 読者:20 人 文字数:2859字
目を閉じていた。たぶん眠っていたのだろう。意識がぼんやりと頭をもたげる。何かあたたかさを感じて、自分はそれを心地よい、と思った。そこではた、と目を開けた。「なあ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
組み立てる ※未完
作者:藍沢凪 お題:暑い父 制限時間:1時間 読者:12 人 文字数:1596字
都心部を離れると途端に街の明かりが乏しくなるものだけれど、俺たちが車を走らせているところに至っては街灯なんて一つも見当たらない。車のヘッドライトだけが闇夜を切り 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
ノンストップ ※未完
作者:akari お題:恋の挫折 制限時間:1時間 読者:11 人 文字数:1049字
曇天のベンチは人気がない。よって、ハンモック代わりにしても誰からも怒られない。 その事実にいち早く気づいた俺は、部室からこの公園へ居場所を移した。今は梅雨時。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:小さな、と彼女は言った 制限時間:1時間 読者:6 人 文字数:336字
(一瞬だ・・一瞬だから大丈夫なはずだ、痛くない・・・痛くない!)『痛くなかったな』これでもう不老不死になれたのか?まぁいいだろう、たった1億円で不老不死になれる 〈続きを読む〉

おいしいみずの即興 小説


ユーザーアイコン
腐血 ※未完
作者:おいしいみず お題:腐った血液 制限時間:4時間 読者:86 人 文字数:343字
そして音が消えた。もう間も無く思考を巡らせるだけの力も尽きる。最期に私が想うのは、懺悔と、やはりあの人への果てのない愛だった。父の名を知らない。私は物心ついたと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:2つの王子 制限時間:1時間 読者:127 人 文字数:588字
どうして世界は僕に二択を迫るのか。コーヒーか紅茶、白米かパン、魚か肉、あの子とあの人。どちらかを選ぶことでどちらかと耐えがたい別れを迎えなければいけないなんて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
抜毛 ※未完
作者:おいしいみず お題:ゆるふわな抜け毛 制限時間:4時間 読者:113 人 文字数:966字
かの少年が裁かれるという噂はこの狭い町で瞬く間に広まった。人から人へ伝染していくそれは町民たちの思考を支配し、もはや一種の病のようだった。 私はこの町の誰より 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
バラ ※未完
作者:おいしいみず お題:彼女の百合 制限時間:4時間 読者:104 人 文字数:141字
卓上に飾られた花瓶の花を撫ぜ、彼女が物憂げにため息をついた。固く閉じられた大きな蕾はうすく色づいているけれど、未だ開くきざしはない。「まださかないの」 私が言 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:うへへ、逃亡犯 制限時間:4時間 読者:122 人 文字数:425字
もう二度と会うことはないと思っていた人と再会してしまった。あの人は僕の半身のような存在だったから、会わない間僕はずっと不安定な物体のままだった。それでも僕らが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:今度の狸 制限時間:2時間 読者:118 人 文字数:205字
現在が過去の積み重なったものであるとしたらわたしがつらいのは私の積み上げた何かのせいなのだろう。選択肢をあやまってきたことでできた傷が痛むのだろう。どうしたって 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:私が愛した海風 制限時間:2時間 読者:197 人 文字数:283字
どこにも行くところなどないのだ。島の風が私を追いつめる。海風に錆びる鉄のように、私の血も体も錆び付いていく。牙を折られ、爪を抜かれた獣はもはや猛るだけの力もな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:素人の職業 制限時間:30分 読者:219 人 文字数:1143字
寿司にタンポポを乗せるような仕事をしている。実際にしているわけではなくあくまで比喩だが、実際の僕の仕事と寿司にタンポポを乗せる仕事に大した差異はない。 つまる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:楽観的な空 制限時間:4時間 読者:284 人 文字数:509字
一つとしてこの人生に於いてやり遂げたことがあったろうか? 色めく街に今日も豊かな音楽が満ちる。これはうわさの音楽家が手がけた作品だ。今となっては名前しか知らな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:おいしいみず お題:ちっちゃな故郷 制限時間:15分 読者:339 人 文字数:661字
私の町はいまや海に沈みつつある。寄せては還るように見えるようで、波は徐々に地面を飲み込んでは戻り、そして進む。数ミリ単位の侵食が、いまや我々を窮地へ追いやって 〈続きを読む〉