お題:2つの王子 制限時間:1時間 読者:31 人 文字数:588字

2つの星
 どうして世界は僕に二択を迫るのか。コーヒーか紅茶、白米かパン、魚か肉、あの子とあの人。どちらかを選ぶことでどちらかと耐えがたい別れを迎えなければいけないなんて、世界は実に不自由だ。
 ある暖冬の朝のことだった。ふと思いつきで別れを告げるとあの子はひどく傷ついた顔をして、アーモンド型の大きな眼からはらりと涙を流した。
 泣かせたくていったわけではなく、むしろ、このままで二人とも腐っていくのが互いのためにならないとそう思ったからだったのだけど、どう説明したってそれはあの子にとってくだらない言い訳に過ぎなかった。それほどまでに愛されていたのかもしれないし、それほどまでに依存されていただけかもしれない。真相はともかく、あの子は僕だけを選んでいたのだった。

 未知数の博打に出るだなんて我乍ら破滅的だと思う。あの子を捨てるだけの価値があるのかと問われれば、わからない。結局のところ僕はあの子を愛したかったのではなく、救いたかっただけなのだ。傲慢に聞こえるだろう。けれど、それが真実だ。

 もう一度人生をやり直すとして、やっぱり僕は性懲りもなくあの人を選ぶんだろう。そしてあの子を救いに行くのだろう。それにどれだけの意味があるのかはわからない。或いはまったくの無意味かもしれない。それでも僕はそうするしかない。そうせざるを得ないのだ。きっと、誰にも理解はされないだろうけど。
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