お題:鈍い絶望 制限時間:30分 読者:16 人 文字数:699字

サヨナラ絶望の一歩手前
 無様に逃げ回るので精一杯だった。
 勢いよく近くの岩陰に潜り込む。瞬間、先ほどまで自分がいた場所に、勢いよく猛火が放たれる。回避があと少しでも遅れていれば、自分の肉体は灼熱で焦がされていただろう。わずかにはみ出ていた、ロングスカートの端が、一瞬で灰と化した。
 間一髪だった。その間一髪を、もう何十回も繰り返している。運動と緊張で乱れた息を、音を殺しながら整えようと努める。
 「――惨めだな。獣のように、あちらこちらと、行ったり来たり」
 その時、岩陰の向こうから、低く厳かな声がした。猛火を放った張本人であり、私を仕留めようとしているヤツ。その言葉からは、圧倒的な余裕と、私への蔑みを感じ取ることができる。姿の見えない相手を、忌々しく思い、岩壁を通してキッと睨みつける。
 反撃できるものなら、そうしている。だが、相手はカスりでもしたら致命的に成り得る、高威力の攻撃を立て続けに放ってくるのだ。全力で回避することに集中せざるを得ず、とても反撃の隙をうかがうことはできない。
 どうすればいい――どうしていいか分からない。
 「観念したらどうだね。大人しくするなら、一瞬で葬ってあげることができるのだが?」
 そんな私の焦りなどいざ知らず、相変わらず高慢な態度で語りかけてくる。
 ふと、足に鈍い痛みを感じた。まさか、という焦りを抱きながら、スカートを膝までまくり上げて、痛みを感じた部分を手で探る。明らかに、腫れている。
 痛みはそこまで強くない。だが、これが次第に積み重なっていったら?
 詰将棋のように、じわじわと追いつめられていく自分を想像した。
 冷たい血が全身を駆け巡る。

 
 
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