お題:春の平和 必須要素:下駄箱 制限時間:30分 読者:52 人 文字数:804字

春の花びら、めぐり、舞い戻ってくる ※未完
 春の風が吹いた。
 窓際に座って読んでいた本が、ハラハラと揺れる。
 顔を上げて外を見る。広く澄み渡っている青さの空。電気を点けていない薄暗い六畳間と比べて、とても美しい景色に見えた。開いたページの上に親指を挟み、風にめくられないようにしながら、しばらく、ぼうっと見とれていた。
 桜の花びらが、いくつも、ひらりと舞っている。この近くには桜の木はなかったはずだ。隣駅の公園から、遠く風に乗ってやってきたのだろうか。やがて、その中の一枚が、すいすいと空を泳いで、やんわりと開いたページの上に着地した。
 桜の花びらというのは、細長いハートのような形をしている。
 ふと、そんなことを思って、そして、『そんなことを思った』ことが過去にもあったことを思い出した。

 高校三年生の春だった。吹奏楽部の活動を終えて、コンビニでファンタでも買って帰ろうかと思いながら、下駄箱を開けた。そこにあるはずの僕の靴が無かった。代わりに、桜の花びらが一枚ちょこんと置かれていた。とても綺麗な花びらだった。だから、偶然舞い込んだ花びらではなく、誰かが意図的に置いたものだと思えた。
 そして、一人だけ心当たりがあった。
 「びっくりした?」
 声がした方を振り向く。彼女は屈託のない笑顔で僕を見ていた。思わず、ため息が出る。
 「靴、返して――」
 「花びら、プレゼント」
 彼女は下駄箱を指差す。嬉しそうに。
 平和なやつだな、といつも呆れたように思う。だけど、その平和な彼女が僕は嫌いではなかった。

 「なーに、してんの?」
 薄暗い六畳間から、ふと声がする。
 いつの間に入って来たのか、彼女がそこに立っていた。
 「いつからいたの」
 「つい、さっき来たばっか。気づいてなさそうなんだもん。」
 不満げに口を尖らせる。
 「で、何してんの?」
 立て続けに、彼女は問いかけてくる。
 「ああ、うん」
 彼女の方とは逆に
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