お題:意外なところてん 制限時間:1時間 読者:68 人 文字数:876字

所天 ※未完
 ダイニナカ島に住む島民は少し変わっている。
 小さな顔に大きな目をしていて、目には鋭い瞳孔がある。ピンと先の尖った両耳に、お尻からはにょろりと尾が伸びる。
 手には触るとふかふかしていそうな肉球、そして艶やかな体毛。何に似ているかと言われると猫に似ている。
 寧ろ猫そのものと言っていい。猫が二足歩行して服を着ているのだ。
 諸所諸々の事情によってこの島に流れ着いたとき、俺はこの島民たちの姿を見て随分と驚いたものだが、人間というのは存外適応能力の高いらしい。
 最初はおっかなびっくり接していたのも束の間、今では友人、いや友猫と呼べる人猫も多いし、ルームシェアしている同居猫もいる。

 「ところてん祭り?」

 「そうそう、ところてんところてん。勇樹はまだ知らないだろうけど、この時期になると村の人たちがテンツキ藻っていう紅藻を持ち寄って、夜にところてんを作るのさ」

 早朝。俺は同居猫であるテンテルと朝食を囲っていた。テンテルは顔立ちの良い灰猫で、生粋の祭り好きらしく、何かしら祭事がある度、朝食の話題に持ち出してくる。
 ダイニナカの島民と比較的早く交流を深められたのは、テンテルが何かある都度俺を祭へ誘ってくれたおかげだ。

 「ところてんってあのところてんか?ゼリー状の、つるつるした」

 「あのってのがどのことかは知らないけどところてんはところてんだよ。あれはゼリー状っていうかちょっと疑問だけど」

 いまいち要領を得ない返答に俺は首を傾げるも、そもそもどこもかしこも二足歩行猫だらけのこの島で要領を得ようとすること自体が無理に近いと考え直す。
 
 「参加するでしょ?」

 聞くまでもないふうにテンテルは切れ長の目を線のように細くして笑う。

 「もち」

 二つ返事で俺も笑い返した。



 夜になるとテンテルはその身一つで俺を伴い街を出た。

 「どこにいくんだ? ところてん作るんだろ?」

 「ところてん作るのに街中じゃ駄目でしょ?」

 呆れたようなテンテルの物言いに、俺はもはや思考停止する。

 ダイニナカ島
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ハチマル お題:意外なところてん 必須要素:とんかつ 制限時間:30分 読者:66 人 文字数:916字
我が子の好物が解らない。恥ずかしい事だが。今まで妻に委せっきりにしていたツケだ。そもそもあまり父親と子供はベタベタするモノではないと思っていたからだ。ウチの父 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:免れた性格 制限時間:1時間 読者:5 人 文字数:1437字
僕の住んでる町は日本人の誰が見ても全ての人が口を揃えて、ど田舎と答えるだろう。この頃コンビニという建物が、都会には少し歩けばすぐ見つかり、そこで必要なものを買い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:君の潮風 制限時間:1時間 読者:4 人 文字数:1855字
葉桜の並木道をタナカは自転車で駆け抜ける。裏にあたる校門を飛び出し左折。家は右折して10分の所にある。少し走ると海岸沿いに着いた。それをまっすぐ走り抜ける。所 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:人妻の吐息 制限時間:1時間 読者:0 人 文字数:1068字
雪がはらはらと舞い落ちていく。もう季節は12月。寒くて寒くてしょうがない。私は仕事を終え、缶コーヒーを飲みながら人を待っていた。指定された場所が公園。本当は暖か 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:黄身鳥 お題:計算ずくめの「うりゃぁ!」 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:3987字
「ちがう! お前の叫び声には魂がこもってねえんだよ! もっと! お前の中の熱い何かを呼び覚ませよ!」 先輩の怒号が響く。 俺は下っ端スーツアクターだ。大学のバ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
※未完
作者:匿名さん お題:意外!それは惑星 制限時間:1時間 読者:1 人 文字数:1544字
世の中、そうそう予想外の出来事というのは起こらないものだ。 仮に起こったと感じても、それは自分にとって“都合の悪い”展開になったというだけの事で、決して予想で 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:残念な海辺 制限時間:1時間 読者:11 人 文字数:1764字
「あちゃーこれは失敗したな」 夏。カンカン照りの中、タナカとヤマダは海水浴場の駐車場へ車を停めるところだ。幸い車は停められたが、助手席から降りたところでタナカは 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イグモ@小説 お題:高貴な小説訓練 制限時間:1時間 読者:20 人 文字数:1208字
起 何をやってもすぐに飽きてしまうお嬢様が小説の訓練を始める承 屋敷の者は誰も小説の書き方を知らない転 小説にハマったお嬢様が屋敷の者に小説を教え始める結 お屋 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:東雲しいかは文を書きたい お題:それいけ作品 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:631字
最悪。 ぼそ、と吐き捨てるように呟きながら私は天を仰いだ。 期末のテストが返された。結果は散々。赤点の教科もいくつかある。 「勉強、してなかった訳じゃないのに 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:くさい母 制限時間:1時間 読者:12 人 文字数:1954字
もうずっと、母から嫌なにおいがしていた。「ああおかえり、ご飯食べて来たの?」 台所からひょいと出した顔は少し疲れていて、スーツを着たままのその姿からも母が帰っ 〈続きを読む〉

ppw21の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:昼の病気 制限時間:30分 読者:19 人 文字数:505字
朝はいけない。前夜の疲れか、日ごろの不摂生故か。やたら目が乾き、頭は年越し前に坊主が叩く鐘のような音が鳴る。 夜もよくない。一日の疲れがどっと出るようで、瞼は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:哀れな時雨 制限時間:1時間 読者:35 人 文字数:1041字
空は白々とした布が掛かっているかのようだった。透けて、日光の鈍い輝きが、申し訳程度に差し込んでいる。「どっちつかずだなあ」降りそうでもあり、降らなそうでもある。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:素晴らしい唇 制限時間:1時間 読者:20 人 文字数:1688字
空模様は鉛を通り越して鉄のようだった。黒々とした雲からはしとどに雨が降り注ぎ、白い天幕を打って大きな音を立てている。往来を行く人々は傘を差すものもいれば、突然の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:正しい魔物 制限時間:30分 読者:26 人 文字数:755字
実にあっけない。 最期に思ったのはそんなことだった。 勉学に勤しみ、友と遊び、部活に励んだこの人生も、一度車に跳ねられただけで根こそぎ奪い取られてしまう物なの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:鳥の性格 制限時間:30分 読者:23 人 文字数:716字
「お前は酉年だから、三歩あるっちまうとコケッ!っと忘れちまうんだな」 忘れもしない小学校の三年生の三時限目さんすうの時間。その終わりに僕はこんなことを担任から言 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:信用のない流刑地 制限時間:30分 読者:25 人 文字数:786字
返却されたテストは赤かった。 丸で囲まれた回答は片手で数えるに足りて、チェックされた回答は両手で数えるに足らない。 海外ではチェックが正解の意味になる場所もあ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:去年の帰り道 制限時間:30分 読者:17 人 文字数:669字
最近は自転車で通勤するようになった。 下を向くと、日毎にお腹の面積が増しているような気がしたからだ。 自転車に乗るようになってからは均衡を保っている。内臓脂肪 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:混沌のサッカー 制限時間:30分 読者:25 人 文字数:1473字
石を積んでいる。 滔々と流れる川の岸で薄く平たい石を集めて。 石を積む。 なぜそうしているのか、なぜそうしなければならないのか。 これを始める前に説明されたよ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:去年の第三極 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:739字
父と母の喧嘩は絶えたためしがない。少なくとも物心が付いてから今までの間に、俺はあの二人が穏やかな会話をしている光景を見たことが無い。 険悪というと少し違うが、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:殺された洞窟 制限時間:30分 読者:28 人 文字数:940字
街を外れて山道に折入った先に洞窟がある。名は知らないが見たことはある草木で生い茂り、ぱっと見た限りではそうだと気付かない。 けれど、街に住む小学生くらいの年代 〈続きを読む〉