お題:意外なところてん 制限時間:1時間 読者:63 人 文字数:876字

所天 ※未完
 ダイニナカ島に住む島民は少し変わっている。
 小さな顔に大きな目をしていて、目には鋭い瞳孔がある。ピンと先の尖った両耳に、お尻からはにょろりと尾が伸びる。
 手には触るとふかふかしていそうな肉球、そして艶やかな体毛。何に似ているかと言われると猫に似ている。
 寧ろ猫そのものと言っていい。猫が二足歩行して服を着ているのだ。
 諸所諸々の事情によってこの島に流れ着いたとき、俺はこの島民たちの姿を見て随分と驚いたものだが、人間というのは存外適応能力の高いらしい。
 最初はおっかなびっくり接していたのも束の間、今では友人、いや友猫と呼べる人猫も多いし、ルームシェアしている同居猫もいる。

 「ところてん祭り?」

 「そうそう、ところてんところてん。勇樹はまだ知らないだろうけど、この時期になると村の人たちがテンツキ藻っていう紅藻を持ち寄って、夜にところてんを作るのさ」

 早朝。俺は同居猫であるテンテルと朝食を囲っていた。テンテルは顔立ちの良い灰猫で、生粋の祭り好きらしく、何かしら祭事がある度、朝食の話題に持ち出してくる。
 ダイニナカの島民と比較的早く交流を深められたのは、テンテルが何かある都度俺を祭へ誘ってくれたおかげだ。

 「ところてんってあのところてんか?ゼリー状の、つるつるした」

 「あのってのがどのことかは知らないけどところてんはところてんだよ。あれはゼリー状っていうかちょっと疑問だけど」

 いまいち要領を得ない返答に俺は首を傾げるも、そもそもどこもかしこも二足歩行猫だらけのこの島で要領を得ようとすること自体が無理に近いと考え直す。
 
 「参加するでしょ?」

 聞くまでもないふうにテンテルは切れ長の目を線のように細くして笑う。

 「もち」

 二つ返事で俺も笑い返した。



 夜になるとテンテルはその身一つで俺を伴い街を出た。

 「どこにいくんだ? ところてん作るんだろ?」

 「ところてん作るのに街中じゃ駄目でしょ?」

 呆れたようなテンテルの物言いに、俺はもはや思考停止する。

 ダイニナカ島
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:ハチマル お題:意外なところてん 必須要素:とんかつ 制限時間:30分 読者:56 人 文字数:916字
我が子の好物が解らない。恥ずかしい事だが。今まで妻に委せっきりにしていたツケだ。そもそもあまり父親と子供はベタベタするモノではないと思っていたからだ。ウチの父 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:地獄の祖母 制限時間:1時間 読者:5 人 文字数:1467字
閻魔王の宮殿は意外と綺麗に整っているんだなと辺りを見渡して思った。天井は高く、漆塗りの光沢ある赤を基調として黒や金が散りばめられた大きな柱や扉。そして私がいる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:白宮 紅 お題:つらい成熟 制限時間:1時間 読者:22 人 文字数:1971字
「今日の授業では、皆さんに作文を書いてもらいます。」金色の長髪が美しいエレン先生が、私達に向かって微笑む。しかしそれとは対象的に、あちこちから「えぇ〜」と不満げ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:昼間のマンション 制限時間:1時間 読者:8 人 文字数:1584字
今日はとっても晴れてる快晴だ、窓を開けていつもより白く輝いて異様な存在感のある団地の給水塔が視界に入る。どこからともなく現れたプロペラ機の宣伝に耳を済ます。「△ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:くろink。 お題:でかい帝王 制限時間:1時間 読者:8 人 文字数:2227字
恐らく意識し始めたのは7、8歳のころからだったと思う。私の眠るとき見る夢にはしょっちゅうといって良いほど帝王が出てきた。帝王と名乗る存在が、様々な容姿で、何らか 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:くろink。 お題:阿修羅消費者金融 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:2394字
何でこんな名前にしたのか、全く一度問いただしてみたいものである。俺が潜入捜査官として配属されたのは「阿修羅消費者金融」と立札のかけられた小さなビルだ。潜入するか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:白宮 紅 お題:阿修羅消費者金融 制限時間:1時間 読者:22 人 文字数:1140字
1年前。僕は、職を失った。28歳の歳でニートになってしまったのである。高校を卒業してからずっと働いていた飲食店のブラックさに、遂に痺れを切らしてしまったのである 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:明るい墓 制限時間:1時間 読者:8 人 文字数:2030字
ツーリング仲間の友人シゲルから電話がかかってきた。「よう、久しぶりだな」「あぁ、元気か?」「相変わらずだよ、明日暇か?」「いいよ、どこを走る?」「いいや、飲み 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夏風邪 お題:悔しい体 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:364字
オリジナルに似せて作られた、すべて人造物のこの身体。破けた肌から、ごぼごぼと紫がかったオイルが漏れていく。体のすべては取り換え可能なパーツ、精神はこの身体に宿っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:なんかやる お題:調和した、と彼は言った 制限時間:1時間 読者:13 人 文字数:2004字
その男はまさしくテロリストという風体である。短く刈り上げた白髪混じりの短髪にサングラス、肩幅から考えると少し膨らみのある黒のコートといういでたち。暗闇の中、細 〈続きを読む〉

ppw21の即興 小説


ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:走る作家デビュー 制限時間:1時間 読者:16 人 文字数:675字
「弱ったな...ネタが思いつかない...」 土曜、朝十時。扇風機の送風で身体に宿った熱を誤魔化しながら、彼は唸る。 名は山田太郎。齢は29歳にして、独身。その 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:孤独な成熟 制限時間:2時間 読者:17 人 文字数:667字
中学校は一駅先の町にある所を受けた。幼稚園来の親友とはしばしば思い出したように旧交を温めたが、やがて中学校で出来た友人との仲が深まるにつれ疎遠になった。 中学 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:僕が愛した宴 制限時間:1時間 読者:51 人 文字数:708字
時折吹き抜ける風が周囲の木々を騒めかせ、煌々と光を放つ熾を爆ぜさせる。 パチリと飛んだ火花が顔の表皮をさらっては熱さを残して消えていく。 「俺さ」 揺蕩う火の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:来年のダンス 制限時間:1時間 読者:48 人 文字数:899字
「俺さ、ダンス苦手なんだよ」 意を決して放った一言に、きょとんと眼を丸くして、それからトニーは鼻で笑った。「あー、いいかマイク。お前には、そのー、ショッキングな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
たこやき ※未完
作者:ppw21 お題:暗い哀れみ 制限時間:1時間 読者:54 人 文字数:1006字
今以て立ち返るに、僕は所謂「デキる」人間ではなかったと思います。 素行こそは真面目でしたが、学校の成績はどのような時でも学年の中頃で収まるくらいで、運動に至っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:突然の命日 制限時間:1時間 読者:67 人 文字数:1379字
数カ月前、国際連合が全世界に向けて一つの宣告をした。 半年後、宇宙より飛来する巨大な隕石によって、地球は致命的なダメージを被り、崩壊する。 初めの内はノストラ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:ロシア式の悪 制限時間:1時間 読者:72 人 文字数:1100字
「友よ、ロシア式の悪とはなんだ?」 友人の唐突な質問に俺は図らずも片眉を上げる。 いつものことながら何かにつけ、不躾な奴なのだ。 ついこの間も、弁当の中に入って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:意外!それはバラン 制限時間:1時間 読者:67 人 文字数:862字
「こんなはずれに呼びつけて、何用だ? バラン」 クロコダインはぐるりと辺りを見渡す。人里どころか草木の一本も生えていない岩肌の見える荒地だ。 本来であればこの 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ppw21 お題:寒い諦め 制限時間:1時間 読者:72 人 文字数:626字
冬が近づいてくると、俺は決まってあることをする。 ふと、寒いなと感じたときに空に向かって息を吐くのだ。白くなればそれなりに寒くて、白くならなければまあまあ寒い 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
所天 ※未完
作者:ppw21 お題:意外なところてん 制限時間:1時間 読者:63 人 文字数:876字
ダイニナカ島に住む島民は少し変わっている。 小さな顔に大きな目をしていて、目には鋭い瞳孔がある。ピンと先の尖った両耳に、お尻からはにょろりと尾が伸びる。 手に 〈続きを読む〉