お題:恥ずかしい恋 必須要素:バイブ 制限時間:30分 読者:92 人 文字数:1027字

そういうことなら家でやってくれ ※未完
 マンガ喫茶におけるカップルシートの存在意義に思いを馳せる。わざわざ「カップル用」と銘打った半個室を用意しておきながら、行為に及ぶのを禁ずるというのは残酷であると思う。間違っていると思う。店側の神経を疑わざるを得ない。
 だから、隣のシートのカップルは店のルールには背いているかもしれないが、道理には背いていないと思う。少なくとも僕は。
 男の「いいだろ」という囁き声。女の「カメラがあるよ」という囁き声。そして何らかのスイッチをカチカチやる音と、それに合わせて鳴っては止む振動音。
 当たりだ。いや外れだ。大外れだ。いや、正直になろう。大当たりだ。頭の緩いカップルの隣のシートをあてがわれたのは。僕は何となく読み進めていたマンガをわきに置いて、壁に耳をつける。咎められる謂われはない。彼らも盗み聞きを承知でことに及ぼうとしているのだ。でなければ本物の馬鹿だ。

「ねぇ、やっぱり駄目だよ」
「いいだろ。大丈夫、バレないって」
「でも、恥ずかしいよ」
「そんなこと言ったって、俺もう今更止めらんねぇよ。お前だってそうだろ?」

 沈黙。肯定も否定もしない。つまり肯定。
 僕は息を殺して始まりの時を待つ。心臓が僕を囃し立てる。
 カチカチと鳴る何かのスイッチと、もうそう意味しか孕んでいない振動音。シート間の仕切りはそう高くなく、覗きこもうと思えば覗きこめてしまう。でも僕はそんなに愚かじゃない。バレたら台無しだし、女の方が美人とも限らない。音だけを楽しむのも一興だ。

「ねぇ、やっぱり駄目だよ。やめようよ」
「またかよ。もういいよ。始めるぞ」

 そうだ、もういい。始めてしまえ。

「そうじゃなくて、ほんとにやめよう」

 振動音がぴたりと止んだ。男は何も言わない。

「こんなの、間違ってるよ」
「……そんなの、分かってるよ」

 なんだか風向きが変わってきた。

「こんなの、普通じゃない」
「じゃあどうすんだよ。『証拠』を持って帰らなきゃ、俺たち家に上げてもらえないぜ」
「どうして?」
「だって、ママがそう言ってただろ」
「だから、ママはなんで私たちにこんなことさせるの?」
「前に言ってたじゃんか。家の外は穢れてるんだ。俺もお前も、家の外の奴らと交わっちゃいけないんだよ」
「お兄ちゃん、本当に信じてる? 私たち、もう高校生だよ?」
「……わかんねぇ」
「私、普通に友だち作りたいし、普通に彼氏がほしいよ」
「わがまま言うなよ。おれ


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