お題:少女の家事 制限時間:1時間 読者:93 人 文字数:956字

少女と家事
少女は生まれたときから家族を知らなかった。
物心付いたときには回りにはたくさんの同じくらいの子供と、先生達に見守られていた。

少女は家族を知りたいとは思わなかったけれども、これは他人なんだと言う感覚があった。
他人のために先生は毎日食事を作っていた。少女が脱ぎ散らかした服も洗濯して干して、部屋はいつも綺麗だった。
他人のためにどうしてそんなに頑張れるのか少女は分からなかった。
いつか聞いてみたときに先生は笑ってこう言った。
「あなた達を愛しているからよ」
それだけでそこまで出来るのかとせめよれば、
「あなたはちゃんと周りが見れてて先生感心しちゃうな」
とはぐらかされてしまった。

少女が中学生担った時、必然と小さい子の世話をしなくてはならなくなった。それは結局のところ、先生のお手伝いだった。大きな炊飯器を底からひっくり返したり、洗濯物に何時間もかかったり。やはり割りには合わない。
いつかみたく、質問してみれば
「私はね、それが生き甲斐だと信じているの」
とまだ分からないようなことを言った。
先生は日に日に衰えて、とうとう床に伏しあっと言う間になくなってしまった。
気づけば、少女も高校生になっていて先生と同じように働くようになっていた。
おねしょで汚れたシーツをまっさらにして干したとき、もしかしてこれはやりがいというものなのかもしれないと気がついた。
少女は、そのままその孤児院で働くことにした。先生の生き甲斐を見つけるために。
孤児は年々増えていって、毎日毎日、小さい子達の世話に手を焼いていた。
ある日、一人の女の子がじっと少女を見ていた。
「先生は、なんでそんなに働くの?」
少女はどうしてなんだろうと困ったが、あなた達が幸せならそれで良いからよ、と答えた。
女の子はそれじゃないという顔をして、
「そんなんでいっぱいお仕事出来るの?」
と無垢な顔で聞いてきた。
私はうまくはぐらかしたが、ふと先生も同じことを言っていたことを思い出した。
そして今私は、先生と同じ人生を踏んでいることに気がついた。
これが生き甲斐なのか?これを生き甲斐として生きるしかなくなってしまったのか。
その問いに、人生が追い付かなかった。少女はみるみるうちに病弱になり床に伏して、良く働く女の子を見て目を閉じた。
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