お題:暗い幻覚 必須要素:「なんでやねん」 制限時間:1時間 読者:71 人 文字数:1052字

夢うつつ
眠るのが怖い時がある。
目を閉じて視界が暗くなるその状態で、意識を飛ばすのがとても怖い。
誰かに襲われたらどうしようとか、一人でいることがとても怖くなる。
だからいつも部屋の中を歩いて親や兄弟と寄り添って寝る夢を見る。
今日も、一人で目を閉じる恐怖に怯えながら意識が去っていくのを待つ。
少しして目が開いた時は夢の中だという意識がある。
私が体を起こすと、リビング辺りから何やら物音がする。電気を付けないまま何をしているんだろうと覗くと大きな黒い塊がもぞもぞと椅子の上でもがいていた。
しばらくすると、塊は動きを止めた。
私は恐る恐る近づいてみた。
それは、黒い袋だった。ビニール製で出来ていて抱えるほどの大きさがある。
外がパツパツになるほど中身がつまっていた。
口が紐できつく縛ってある。開けようと紐を解いた。
きゅっと小さな音がして腕が入るくらいの広さが開いた。その隙から細い糸が何本も出て来た。それを引っ張ると、父親の顔が出て来た。
思わず声を上げた。床に父親の顔と黒い袋が転がる。手はべっとり黒く濡れていて部屋には袋から漏れた異臭が漂っていた。
腰が抜け、手足の震えが止まらない。早くこの夢が覚めればいいのになぜか私は夢の中にまだいた。
弟の部屋から何か争ったような音が聞こえる。
私は咄嗟にキッチンから包丁を取り出し、兄弟のいる部屋に向かった。
玄関を横切り、廊下を抜けた部屋の扉は血で汚れている。滑って回らないノブに力を込めてドアを開けた。部屋のものはそれほど散らかってはいなかった。私の思い過ごしだろうと、盛り上がっている布団をめくるとシーツが黒く染まっていた。弟は静かに眠ったまま息を引き取っていた。それだけならよかったのに手と足が逆においてあって、おまけに犯行を起こしたナ包丁が弟の胸に突き刺さっていた。
包丁…?家には一本しかなかったけれど…。
じゃあ誰かが私たちの家に乗り込んで来ているということ?

廊下を通る足音がする。
私は持っていた包丁を持ちなおそうと、握り返した。
「え…?」
包丁が無くなっていた。どうして?足元を探したが無い。私は焦りと恐怖でいっぱいになってそこに立ち竦むしかなかった。
少しして、母親の悲鳴らしきものが聞こえて、玄関の棚にあった花瓶を手に取る。
母親の寝室に行くと、ガラスの破片と一緒に倒れていた。
何度も殴ったのか、母親の顔が判別できないほどに流血していて花瓶の破片がその傷口に何個も散らばっていた。
私はただただ目をつぶるだけしかできなかった。
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