お題:ありきたりな国 制限時間:4時間 読者:123 人 文字数:790字

普遍的な街
がつんと食べたいという気もきっと起こらないのかもしれない。

私が眺めていたのは、食堂のメニュー。
大きさは「並」しかない。
「なあ、お姉さん。大盛とかないの?」
「おお、もり……」
と聞けば、異物を見たような目をする。
大盛という概念が元々無いのか、はたまた禁忌となっているのか。
「うん、ごめんね。じゃあこのチキンカツ丼くれるかい?」
「ああ、……はい…」
最後まで笑ってくれないお姉さんに心が少しおれそうになったが、それよりも腹がへこたれてしまう。
早くも遅くもなく食事は来て、私の唾液がこれでもかと吹き荒れる。
3日、5日?忘れてしまったけれどとにかく久方ぶりの食事だ。空腹は最高の調味料だと、誰かが言ったが何でも極上に旨くなる。
空腹も少しすれば埋まってくるわけで、このチキンカツ丼に疑念を感じるようになる。

うーん、普通だ。
丼に変わった工夫なんて求めちゃいけないのだろうけれど、うーん。これは、一言で言うなら在り来たりだ。この丼に命を感じないというか。
私の止まったら箸と彼らの視線が交差する。
美味しくない訳ではないが感動が少ない。
珍しく私は飯を残して外に出た。
歩いている人をよくよく見れば特別な印象を感じない。スーツ、制服、一目で主婦と分かるような服。
旅人でくたびれたシャツを来てザックザックと歩いている自分の方が奇異に見える。
まあ、私は奇異な存在だと言うことは否定しないがそれにしても、普通過ぎて異常を感じる。

そうか、これがありきたりな国と言われる由縁か。
ここに来る旅人は多い。何でもここを経由しないと目的地である街に着かないからだ。
けれども一様に、この国は異常だと言う。
いや、彼らはきっと普通だ。
普通が普通過ぎて異常を受け入れられないことがきっと異常なんだろう。
今日、ここで宿を取ろうと思ったがやめておこう。旅人にこの国は居づらい。
作者にコメント

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