お題:複雑な地下室 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:837字

伸ばした手の行方
虚空へ向けて手を伸ばす。

何度も、何度も、手を伸ばしてきた。

だけど、捕まえられたものは一つもなかった。

いつからだろう、現実に嫌気が指したのは。

何度やっても届かないこの想いは止むことをしらない。

涙は枯れることなく、嘆きの湖から零れ落ちる。

いつになったら、私は満ち足りるんだろう。

その答えすら見つけられないまま。

今日も私は生き続ける。

この牢獄の中で。

天井から微かに見える光。

それだけが今の私の、たった一つの救い。

暗くジメジメしたこの場所は、人の精神を病ませる。

胸の鼓動も跳ね返り、生を体感する。

トクン、トクン。

いつまで、この″嫌な音″は奏で続けるのだろう。

目障りだ。

こんなものがあったから、私は…!

壁に手を当てる。

打ち所が悪かったのか、手から血が溢れる。

その感覚に、後悔と快楽を覚える。

血を舐める瞬間、全てが私の中に入ってくるような…。

そして、身体から重要な何かが抜け出してしまうような…。

なんとも言えない感覚。

だけど、それは現実。

今の私が生きているのは、痛みがあるからだ。

もしも痛みがなければ、私は幸せだったのだろうか。

そんなことを考え続けても意味がない。

人が人である以上、痛みから逃れることはできない。

それは、人類が古来に犯した原初の罪。

もしも、なんてものはないけれど、彼らの原罪がなければ、私はいなかったかもしれない。

だけど、それで得られる世界が平和で構築されるものなら、どれだけ嬉しいことなのだろう。

全ては憶測でしかなく、今日も時は緩やかに進む。

掴むことができなかった左手も、今では十分に動く。

だけど、それは本当に正しいのだろうか。

今まで溢してきた私が、誰かに手を伸ばすだなんて。

そうして、始まりの思考に戻る。

結局、私は目に見えるものしか興味がない。

たとえそれで世界が崩壊しようとも。

あぁ、だけど、やっぱり、人は…
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
見失い ※未完
作者:たまきっぱい お題:複雑な地下室 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:594字
「…開かないねえ。」「そうだな。」陽の光が差さず、暗くうすら寒い。勝手に地下だと思い込んではいるがその確証すらない施設で、ひたすら歩き回っている。方向音痴の彼ひ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:怪しい光 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:561字
「日産自動車会長のカルロス・ゴーンが逮捕されるってテレビで報道してたけど、知っているかい? 俺、日産の株持ってるんだけど大丈夫かな」と、山田が投資仲間の佐藤に聞 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
あいつと怒り ※未完
作者:匿名さん お題:あいつと怒り 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:269字
直人は優しい男だった。自分が馬鹿にされても、悪口を言われても、あるいは、どんな理不尽な扱いを受けても決して怒ることはなかった。いつも静かで、穏やかに笑っている姿 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨種 お題:悲観的な夕方 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:520字
あとは、これを上に乗せれば――。 息を詰めながら、そっと袋から最後の一枚を取る。擦れてパリと、小さな音がなる。沿った楕円形をした薄く小ぶりの板状のものを、トラ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:苦い口 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:964字
「うえっ……なんだこれ」箸で一口サイズに割って口に運んだその料理を、僕は即座に吐き出した。今食べているのは春巻き定食。春巻き、キャベツ、みそ汁、ご飯、漬物のラン 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:生かされたダンジョン 制限時間:15分 読者:2 人 文字数:618字
東京では、新宿ダンジョンというものが有名らしい。 各線新宿駅の改札が集まり、無数の入り口が存在し、混とんとした道を歩けば、今何階にいるのか、そもそも構内なのか 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:犬の光景 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1256字
たまには一人の時間を持ちたい。 そう言うと、夫は犬小屋を買って来てリビングの隅に置いた。 これをわたしの部屋にしろということなのだろうか。滅茶苦茶さに呆れてモ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:いしゅと お題:昨日の艦隊 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:755字
「主砲、一斉掃射!」マーズ帝国艦隊司令官フレイマンの号令と共に、戦艦各自から無数の光線が敵・ジュピタ連邦共和国の戦列に突き付けられ、無数の光球を宇宙空間に現出せ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:yaichiyo お題:恋の伝承 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:911字
(#82) 遺伝子というものは全く恐ろしいものである。 絶対に恋なんてしないと決めていた私の心に芽吹いた春の予感、それは確実に遺伝子の仕業なのであろう。 そもそ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
青い小説家 ※未完
作者:ぽぽ (小説) お題:青い小説家 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:155字
波の音のする浜辺、波打ち際で男が何やら書いている。 何をやっているのですか?実は私は小説家なのです。こうやって浜辺に小説を書き、この青い海に届けてもらうのです。 〈続きを読む〉

イトカ/欄橋@2日目東ツ48bの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:暗黒の事件 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:999字
どうして、私だけ。どうして、貴方はなんともないの…。嘆いても喚いても、事実は変わらない。ガラスの向こうで笑う貴方。その姿は天使そのもので。ガラスに映る痛々しい姿 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:複雑な地下室 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:837字
虚空へ向けて手を伸ばす。何度も、何度も、手を伸ばしてきた。だけど、捕まえられたものは一つもなかった。いつからだろう、現実に嫌気が指したのは。何度やっても届かない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
不可侵食 ※未完
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:狡猾な殺し屋 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:1348字
人を殺める。その事に快楽を覚えているものがいる。例えば、怯えるその表情が見たくて○すもの。例えば、死した血肉が好きで殺しているもの。それは人それぞれだ。だけど、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:臆病な悪意 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1148字
恋なんて知らない。愛なんて知らない。そうして、自分を欺き続けてきた。自分に好意を寄せている人なんていない。そんな人、いるわけがない。一度そんな風に思ってしまうと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:混沌のフォロワー 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1647字
ここではない何処かへと想いを馳せる。自分はここにいるべきじゃない。むしろ、この場から今すぐ消え去らなければならない。そんな風に自分を追い込む。自分の目に映り込ん 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:宗教上の理由で小説練習 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:879字
薔薇の香りが鼻孔をくすぐる。(今年もこの季節が来ましたのね…)髪の毛を抑えながら空を見上げる。三寒四温が過ぎ去り、仄かな温かさ。透き通る風が肌をすり抜ける際、ほ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:灰色のむきだし 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:1130字
荒廃した土地を一人歩く。視線の先には、過去の栄華と残骸だけが積まれている。(これが…"代償"…か)人々は、叡智を手に入れた。それは喜ばしいことだと、皆が思ってい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:絶望的な食卓 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1081字
敵は複数、それに対してこちらは1人。(こいつは…やばいな…)冷や汗が流れ落ちる。窮地なんてもんじゃない。圧倒的な不利だ。(あの子、ちゃんと逃げられたかな)こんな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:緑の目 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:774字
ここは鏡の迷宮。瞳に映るものは、果たして何か。それが、たとえば自己の虚像だとして、それを誰が受け入れられようか。人は自らを嫌う傾向にある。しかし、鏡無くして自ら 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:イトカ/欄橋@2日目東ツ48b お題:ゆるふわな海 制限時間:15分 読者:18 人 文字数:1263字
暗い世界から抜け出すために、歩き続けた。その先にある何かを求めて。誰も来ないような山奥…ではなく、ここは海辺。本当は山に行きたかったけれど、今山に行ってしまった 〈続きを読む〉