お題:複雑な地下室 制限時間:15分 読者:42 人 文字数:594字

見失い ※未完
「…開かないねえ。」
「そうだな。」

陽の光が差さず、暗くうすら寒い。
勝手に地下だと思い込んではいるがその確証すらない施設で、ひたすら歩き回っている。
方向音痴の彼ひとりを行動させるわけにもいかず一緒についてきたら
こんなことになってしまった。
ここを無事に出られたら損害賠償を請求してやる、と笑いながら話していたのも
何時間前だったのか定かではない。

「というかさっきから同じとこ歩いてる?」
「景色が変わらんから分からんな。」
「だよね…っていうか方向音痴に聞いた僕がバカでした…。」

携帯電話は通じない、ずっと圏外のままだったのでもう電源を切っている。
腕時計なんて持っていないしおかげで時間も分からない。
この地下らしき場所は部屋だけはたくさんあるのに、部屋と部屋が繋がっていたり、
通路だと思っていたものが部屋だったりその逆だったりととにかくつかみどころがなく、
なぜこんなところに入り込んでしまったのかすら謎だ。

「これ点呼時間絶対過ぎてるよねえ~誰か探しに来てくれるかな…。」

階段に座り込む。
歩こうと思えば体力的にはまだ歩けるだろうが、何の指針もなしでは心細さが勝っている。

「探しには、こない。」
「…は?」

ぽつりとつぶやく彼を見上げ、出た声はなんとも気が抜けたものだった。
探しに来るとか来ないとか、迷っている自分たちに分かるはずはないのに。


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