お題:冷たい信仰 必須要素:若者使用不可 制限時間:15分 読者:67 人 文字数:575字

死ぬほど寒い。
「雪が降り始めたわ」
薄暗い部屋に差し込む光を背に、その人物はやけに大きく見えた。
一歩ずつ彼女が部屋に入ってくるに連れて影は広がり、光は細く薄暗くなっていく。
起き上がる私を支えようとする彼女の手を押しのける。
「起き上がるくらい一人でできる」
今日まではな、と私は心の中で付け足した。

そのまま彼女に連れられて外に出てみると、なるほど、すっかり雪景色である。
昨日までみえていた薄ら黒い地表は跡形もなく、白く塗りつぶされている。
この様子では雪は夜中から降っていたのであろう。それを日の出まで私に告げなかったのは彼女の最後の優しさだろうか。

外を歩いていると、徐々に村の人々が集まってきた。みなそれが当然であるかのように
私のあとに続き村の中心を目指す。
村の中心、小さな広場にはすでに牧師が待っていた。
戒律に従い無言の彼の前に、私は仰向けに横たわった。

顔にも、目にも、体にも雪が積もり始める。
村中の人は自らの頭にも雪を積もらせながら、中心に寝転がる私を見つめていた。

「初雪来たれば、年長(としおさ)の者冷たき死を迎えん」
古くから伝わるその一説は、どこで曲解されたか今やこんな儀式になってしまった。
無言で死者を送る儀式に。
冷たい身体を冷たい視線が包み込む中、私は死に向かって歩み続ける。
これでよい。我が冷たき信仰のために。
作者にコメント

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