お題:刹那の四肢切断 制限時間:15分 読者:49 人 文字数:1043字

謎ギミック
「いや、だからさ……。何なのこれは?」
 とある玩具会社の会議室で、試作中の玩具を挟んで、デザイナーに企画の担当者が詰め寄っていた。
「何なのって言われてもね、そういうギミックっていうか、民芸品があってさ、それを参考に……」
「いやさ、そういうのあるんだろうけどさ」
 企画の担当者である山川は、デザイナーの梶が上げてきた人形を持ち上げる。
 人形の胴体からは四本のひもが伸び、その先に腕と足がだらりと垂れさがっている。背中にはレバーがついており、それを引くと人形の四肢が外れて今のような状態になるという玩具だ。
 梶の言うように、民芸品にありそうなギミックだ。木の体をしたシンプルな人形が思い浮かぶ。
「これさ、ヒーロー物の玩具だから……。しかも、放映開始と同時に発売する看板商品!」
 だが、山川の言うように、今回の企画はテレビで放映前の特撮ヒーロー番組の人形なのだ。カラフルな衣装を着た子供たちのヒーローが、背中のレバーで四肢脱落ではしまらない。というか、トラウマ必至であろう。
「ヒーロー物って教育物じゃん。だから、民芸品的なギミックを入れとくことで伝統を学ぶっていうことでさ……」
「いや、ないだろ。というかこんなん悪影響しかないわ。四肢切断ギミックなんてよぉ……」
「切断じゃないでしょ。ほら、ちゃんと繋がってる」
「そういう問題じゃねえよ!」
 胴体と手足を繋いでいるひもを摘まむ梶に、山川は目を三角にした。
「ともかくこれは没だから」
「ええー……」
「いや、現場怒ってくるよこれ。何でうちのヒーローがバラバラなんですか、って」
「ひもで繋がってるってば」
「意味ねぇよ、だから!」
 結局、全身16か所可動の無難なフィギュアの企画となり、そのヒーロー番組「フォトンマン」の放映開始とともに発売されることになった。梶は不満そうだったが、「安全面に配慮できるなら腰の可動を入れていい」というお達しに気を良くし、そのギミックの開発に取り組んだ。


 それから半年後、「フォトンマン」が始まってちょうど3か月経ったある日、そのエピソードは放映された。

「あやうし、フォトンマン! 刹那の四肢切断!」

 放映後、梶からの電話を山川は取った。
「見た? 今日の『フォトンマン』! バラバラになってんじゃん!」
 サブタイトル通り、この日のエピソードでは敵怪獣にフォトンマンがバラバラにされるというショッキングな映像が流れた。
「だからあの企画のまま出しとけばよかったのに!」
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