お題:大人のゲーム 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:592字
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俺の勇者
子供時代の一番の思い出は、何といってもTVゲームで遊んだことだ。おもちゃ屋でずっとほしかったゲームを買ってもらい、帰りの車の中で待ちきれず説明書をなんども読んだ、遠い思い出。あのわくわくした感覚以上のものに、出会わないまま俺は大人になった。

起床、通勤、就寝。俺の毎日はこうして過ぎる。たまの休みは寝たりネットを見たりする、面白みのない毎日だ。金だけがたまっていくが、独身で無趣味の俺には貯金あるのみ。なんとも無機質な日々である。

暇つぶしにと、スマホのゲームい手を出すも、どうにもはまらない、画面に張り付いてしょっちゅうぽちぽちやるのは俺の症に合わないようだ。何かいいことないもんかと、仕事終わりに繁華街をぶらつくと、超大作RPGのリメイクの広告が目に入る。

「ああ、あれか。懐かしいな。俺も昔は熱心にやったよこれ。もう30年たつのか……」

いわゆる、勇者が魔王を倒すシナリオの国民的RPGである。グラフィックが刷新されて、ずいぶん今風にリファインされた、見慣れた見知らぬ勇者のイラストに、俺は久々に心が動いた。

ガキの頃の俺が熱心に操作した勇者は、今も立派に世界を救うヒーローでい続けているのだ。俺よりもうんと年下の、子供の心も中でも。

「ゲームなんて、とっくに卒業したんだがな……」

俺の勇者。俺がどんなに無気力になっても、お前だけはかっこよくいてくれ。どうか。
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