お題:黒尽くめのダンス 制限時間:2時間 読者:50 人 文字数:797字

マンイン・ダンス
黒と黒の間を縫うように歩いていると、足先が思わずステップを踏んでいる。
両脇は、スーツばかり。背負ったままのリュックはどうにかしてほしい。足をそっと付けると踵までくっつかなかったり膝をほどよく曲げた状態で静止したりする。
ギリシャ彫刻並みのよくわからないポーズを決めて横に走っていく。
時折、急停止して舌打ちをする輩がいるが怒ったって仕方ないだろう。君も一緒にここにいるわけだし。
香水振りかけすぎの女性はじわじわときつい。
しかもそういう女性に限って何故か背中に寄りかかってくる。とても不快だがだからと言って舌打ちしたり肘打ちしたりするのは、またエゴであるだろうと思っているのでただ耐える。
特に肘打ちは好かない。
誰もがこの空間を好いているわけでもないし、人波に押され流され圧がかかってしまうという、自分だけではどうしようも無い問題を肘打ちという形でたった一人の他人に押し付ける。これを八つ当たりと呼ばないで何というのか。
こんなんだから社会がよくならないのだろう、とか思っているが降りてしまえばすっかり忘れて仕事のことばかりに頭がいっぱいになってしまう。
うーん、その点、人間としては好印象な能力だと思う。こういう風に自分を誉めてあげないとこの空間は耐えられない。そろそろ足全体で体重を支えたいのだが。
「次はーー駅、ーー駅……」
お、降りないと。と思った瞬間、後ろからものすごい力で押される。歩くからそんなに押さないでくれ。どうしてそんなに他人に横暴なんだ。
ホームに降りれば再び戦場。
階段を上るまでの時間が耐えられない人達が横から割り入ってくる。いいよ、いいよ。分かったから、時間はあるからとりあえず上らせてほしい。
後ろから舌打ちが来る。その舌打ちは誰に向けているのか。
ざっざっざ、と歩く姿はさながら兵隊のおもちゃ。
皆おもちゃ箱を目指して分散していく。
今日も仕事が始まる。
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