お題:とんでもない死 制限時間:2時間 読者:95 人 文字数:1061字

たましいとし
夜寝ている間に死んでいた私の気持ちを誰が分かるだろうか。
変哲の無い1日の終わりに、私は命まで終わらせてしまった。本当に特別なにもしていない。

死んでしまったことにまだ意識が着いてきてないのか、私は魂から自分の冷えた体を見ていた。
ふよふよ、と足が地に着かない感覚は最初気持ちの良いものではなかったが慣れてみればこれほど面白いものはなかった。
一人暮らしで死ぬと見つかるのも遅いだろうと、ネガティブ思考の時にいつも思っていた。
連絡を頻繁に取る友人や恋人がいても、最低1日はかかるんじゃないだろうか。
そもそも、何にもなかったのに急に死んでしまったのだから尚更そんな風には思われないだろう。

この魂はどこまで動けるのだろうか。
窓ガラスをすり抜け、空高く昇る。あんまり昇りすぎると持ってかれる気がしてほどほどにしておく。
とりあえず、恋人のいる場所まで飛んでいこう。
家族はその次にしよう。
自分がどんな形をしているのか分からないけれど、視界というものは存在していた。
線路沿いに飛んでいけば後は歩いていた道を進むだけ。彼のいる部屋の窓ガラスをすり抜ける。
そのとたん、彼が目を覚ました。
「陽葵?」
寝ぼけているのか、本当に分かったのか知らないが窓ガラスを見た。
「陽葵…??陽葵、どうしてここに…?」
「悠翔、ごめんね。私死んじゃったみたいで」
声、というものを使っているわけでは無かったが会話は出来た。
「どうして、死んじゃったの…?陽葵…」
「私も分からないんだ。神様に決められたのかも」
「そんなの、嫌だよ、悠翔…」
「ありがとう、悠翔。あのさ、朝起きたら私のうちに来てそれで警察呼んで欲しいな」
「……うん」
「家族にこれから挨拶してくるから」
「陽葵、帰ってくる?」
「え?」
「ここに、俺待ってるから」
悠翔の優しさに涙、のような感覚がしたが私だってここにいたいけれどもう死んでしまったのだから残ってはいけないと思う。
「ありがとう」
実家は東京より北にある。登るのも少々きつい思いがしたけど、変わらない実家のガラスをすり抜ける。ちょうどお母さんとお父さんの部屋だった。
二人ともすやすやと眠っている。
ありがとう、気持ちだけ伝えて私はあの山のてっぺんまで登った。私の魂を呼び寄せている。

次の日、私の死体は埋葬され実家辺りでお通夜が行われた。悠翔もしっかり参列していた。
私もそろそろこの山のてっぺんでゆっくり眠りたい気分になった。またいつか私を呼んだら、その体に入り込めるように今は休んでおこう。
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