お題:空前絶後の船 制限時間:15分 読者:72 人 文字数:541字

笹舟を浮かべたら
「ここを、こうやって、こうすると……ほら!」

小さな手を器用に使って笹の葉を折る女の子。
そうして出来上がったのは可愛らしい笹舟だった。

「はい、どうぞ。」

そう言って女の子は出来上がった笹舟を
もっと小さな僕の手に置く。

「おいけにうかべにいこうよ!」

僕の手を少しだけ強く、けれどもとっても優しく引いていってくれた。


ーーそうだ。このあとだ。



その時、僕は目が覚めた。
気づけばそこは僕のベッドの上だった。

「夢か……。」

それは隣のうちのお姉ちゃんに教わりながら笹舟を作る思い出。

寝起きのボーッとした状態のまま、しばらく夢の余韻にふけっていると、次第に体が冷えだし身震いをする。寝汗でぐっしょりとなった下着にやっと気づいた僕は、ベッドから降りるとその下のカラーボックスから着替えを出す。

ヨイショと立ち上がり、ふと机の方を見ると、そこにはすっかり枯れた笹の葉で造られた笹舟がショーケースの中に佇んでいた。


あのあとの記憶が僕にはない。
池に向かったあとは、女の子の記憶もない。
手に握っていた笹舟だけを大事にしなければという気持ちだけは残っている。

ただ確かなのは、
この可愛らしい笹舟を作れる人は、もういないということだけだ。

<了>
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:魅惑の罪人 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:511字
髪の毛がサラサラだったのだ。少女がクラスメイトに惹かれたのはそれが理由だった。髪の毛がサラサラで浮いた毛が一本もなくて光の反射する形すら美しかった。他の子と同じ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:赤屋 お題:僕の好きな情事 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:435字
青崎は一心に地面を掘り返していた。小さい園芸用スコップを慣れた手つきで扱い、柔らかな腐葉土を荒らしていく。今年で18になる彼の、月に2度行う密やかな悪徳だ。何を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:部屋とYシャツとカップル 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:599字
いくら腕を伸ばそうと袖からは指先しか出ない。いわゆる彼シャツ萌え袖というやつか、感慨深くぶかぶかのワイシャツの襟首を、ぶかぶかともてあそぶ。「こら」バスタオルと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ダツ・ Ambrose お題:記録にない火事 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:1008字
燃えている。全てが、なにもかもが燃えている。だけれども、それを消し止める者はいやしない。何故ならば、この燃え盛りは誰に目にも見えておらず、どこの記録にも残らな 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ssk_ksk お題:きちんとした君 制限時間:15分 読者:7 人 文字数:453字
朝になると部屋の前に立っている君と挨拶を交わす。「おはよう」「おはようございます。本日のご予定は……」ピッチリと整えられた髪型とスーツ姿はそのまま国会議事堂前に 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
心のディナー ※未完
作者:匿名さん お題:当たり前の愛 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:195字
とてつもなく長い歴史を経てしても産まれた以上、必ず立ちはだかる難題、愛人それぞれに形があり、それを感じ取るには当本人でしか知り得ないものもある。与える本人が言っ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:僕の好きな帝王 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:632字
隣のあいつは生意気だ。僕はペンケースから鉛筆を取るふりをしてそっと様子を伺った。隣に座る佐藤は大口開けてあくびをして、つまらなそうに頬杖をついている。シャーペン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:青鈍 お題:ラストはお嬢様 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:886字
パン、と銃声が響いた。音の出どころは自分の手の中、黒い塊の銃口からだ。弾は襲い掛かってきたマフィアの手下らしい男の眉間を貫き、命を奪った。一人処理している間に背 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@ばにばに お題:うへへ、狙撃手 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1122字
ひとえに皆様、どうしてこうなったのかを説明するにはかなりの時間を要します。 とはいえ……話さないことには話が進まないので語ろうと思います。 それは40分前のこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:悲観的な極刑 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1204字
「そんなおかしいです! 絶対死刑のはずなんです!」 大声を発した男に、法廷中の視線が集まった。「そんな判決、ありえない! 死刑です、死刑以外ないんですよ!」「静 〈続きを読む〉

歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和の即興 小説


ユーザーアイコン
タケル ※未完
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:愛すべき門 制限時間:15分 読者:107 人 文字数:590字
「いってきまーす。」「ちょっと、香住!朝ごはん食べたの?」「時間が無いからいいー!」母親の声を背中に、私は玄関の扉を開けた。「うう、寒いッ……。」昨日の天気予報 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:空前絶後の船 制限時間:15分 読者:72 人 文字数:541字
「ここを、こうやって、こうすると……ほら!」小さな手を器用に使って笹の葉を折る女の子。そうして出来上がったのは可愛らしい笹舟だった。「はい、どうぞ。」そう言って 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:緑の家 制限時間:15分 読者:64 人 文字数:720字
「こんなところにも人が住んでるのか。」高層ビルが立ち並ぶオフィス街を歩く中、私はぽつんと建つ一軒家を見つけ、その足を止めた。その家は四方とも道路に面しており、道 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:でかい即興小説 制限時間:15分 読者:75 人 文字数:659字
これまでに私が見た即興小説というのは、推敲ほぼしていないものばかりなので、やはりどうあがいてもスケールの小ささが目につく。加えて、限られた時間内で書き上げられる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
HoneyRain ※未完
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:奇妙な霧雨 制限時間:15分 読者:111 人 文字数:596字
「もう売り切れだって?」近所のコンビニを訪れた私は素っ頓狂な声を上げてしまった。本日発売のコンビニ限定フレーバー。『蒲焼のタレ』コーラ。蒲焼のタレとコーラの味は 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:宗教上の理由で俺 制限時間:15分 読者:108 人 文字数:666字
「いったい誰だ、楊枝を無駄遣いしたやつは!?」学食のテーブルの上に散乱した無数の楊枝。どれもが真ん中でポッキリと折られている。これでは奥歯に詰まった何かを取るこ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:楽しい曲 制限時間:15分 読者:61 人 文字数:412字
私は集中したい時には必ず聞く曲がある。その曲はいわゆる「マーチ」と呼ばれる分類だ。某チョコレート菓子にも使われる、この「マーチ」。「マーチ」は楽しい曲の代名詞と 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
他律的空腹 ※未完
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:昼の超能力 制限時間:15分 読者:155 人 文字数:548字
「馬鹿なっ……。まだ11時前だぞ?」就業中の私を突然襲った空腹。そのあまりの空きっぷりに私はデスクに突っ伏した。「どうして、こんなに腹がへるんだ?」朝ごはんはし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:夜と太陽 制限時間:15分 読者:161 人 文字数:726字
変死体の報を受けて、私は日の出とともに現場へと向かった。到着するやいなや、被害者の様子を確認する。「こりゃぁ、ひどい」横たわった男性の全身を覆うやけど。それが被 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:歪鼻(イビツバナ)@エブリスタ・ストリエ・昭和 お題:ひねくれた軽犯罪 制限時間:15分 読者:83 人 文字数:443字
僕は夜に小をもよおしたら、必ず行く場所がある。ーーそれは、隣の家の花壇。その花壇には、特に珍しくもないモッコウバラが植えられている。僕は周りに人気がないのを確認 〈続きを読む〉