お題:空前絶後の船 制限時間:15分 読者:61 人 文字数:541字

笹舟を浮かべたら
「ここを、こうやって、こうすると……ほら!」

小さな手を器用に使って笹の葉を折る女の子。
そうして出来上がったのは可愛らしい笹舟だった。

「はい、どうぞ。」

そう言って女の子は出来上がった笹舟を
もっと小さな僕の手に置く。

「おいけにうかべにいこうよ!」

僕の手を少しだけ強く、けれどもとっても優しく引いていってくれた。


ーーそうだ。このあとだ。



その時、僕は目が覚めた。
気づけばそこは僕のベッドの上だった。

「夢か……。」

それは隣のうちのお姉ちゃんに教わりながら笹舟を作る思い出。

寝起きのボーッとした状態のまま、しばらく夢の余韻にふけっていると、次第に体が冷えだし身震いをする。寝汗でぐっしょりとなった下着にやっと気づいた僕は、ベッドから降りるとその下のカラーボックスから着替えを出す。

ヨイショと立ち上がり、ふと机の方を見ると、そこにはすっかり枯れた笹の葉で造られた笹舟がショーケースの中に佇んでいた。


あのあとの記憶が僕にはない。
池に向かったあとは、女の子の記憶もない。
手に握っていた笹舟だけを大事にしなければという気持ちだけは残っている。

ただ確かなのは、
この可愛らしい笹舟を作れる人は、もういないということだけだ。

<了>
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