お題:簡単な水 制限時間:15分 読者:15 人 文字数:660字
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人生の分かれ目
水が一杯に入ったコップがある。僕はそれに口をつけて、向かいに座る彼女を見た。
「本題に入るね」
重たい口を開けば、彼女はいつも通り柔らかな笑みを浮かべて頷いた。「どんな話でも、真剣に聞くから安心して」
ぽつぽつと溢れる言葉が、少しかさの減ったコップに吸い込まれていく。
「僕と君はもう一緒に住んで、何年になるかな。とにかく、結構長く一緒だと思うんだ。それで」
「うん」
「こう、僕は話すのが下手だから、うまく伝わってないと思うけど。ちゃんと君が好きで」
「うん」
もう一度コップに口をつけて、少し深呼吸をした。
心臓の音がうるさい。自分が何を言いたいのかわからなくなりそうだ。
「えっと、だから、その」
「うん」
「け、結婚、しよう」
下に落とした視線は、上げられなかった。おもむろに取り出した指輪を、震える手でテーブルに乗せた。
うつむいたまま指輪を差し出す僕は、さぞおかしく映ったに違いない。ふふ、と彼女の声が聞こえた。
「…うん、ありがとう。これからよろしくお願いします」
少し涙ぐんだ彼女は、今まで見た中で一番綺麗だった。
「本当はこないだ、レストランに行った時にする予定だったんだ。でも、いざってなると緊張して」
「緊張、してたね。でも美味しい料理を一緒に食べられて嬉しかったの」
もちろん、おうちでゆっくり先のお話をするのも好きだけれど。彼女はティッシュで鼻をかみながら言った。
夜景の見えるレストランで花束を用意、なんてする必要はなかったのだ。
家で水を飲みながらでも、ちゃんと「好き」伝えられるのだから。
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