お題:アルパカの船 制限時間:30分 読者:44 人 文字数:386字

温もりにくるまれて
白。白。白。視界に入るのはそれだけだった。
まるで雲の中にいるような船内。空間全体を柔らかそうな毛玉が包み込んでいる。床も右に同じで、地面を踏んだ感触がしなかった。
アーティスティックなコンセプトで作られたこの船の航海は一度限りの航海。外は通常の船と同じ素材でできているらしいが、どうしても耐久性に難があるそうだ。
まあ、それで別に構わないんだけど。
「まもなく出発いたします」
ようやくの船出だ。この瞬間を待ちわびていた。
私はベッドに身を委ねた。相変わらずの柔らかさが私を包み込む。不快なもの、肌をさすもの、こわいもの。そんなものは何一つない。このまま心地よい微睡みに堕ちていきそうだ。
「それでは穏やかな眠りをお楽しみください」
おやすみなさい。私は静かに目を閉じた。
ちなみにこの船に目的地はない。あてどなくさ迷い、辿り着いた先が全ての終点なのだ。
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:彼方 お題:それいけ殺し 制限時間:30分 読者:8 人 文字数:427字
私は菌だ。上司は菌男となのる大きな菌のコロニー体だ。私たちは菌なので、毎日何かに取りいって分裂し仲間を増やしている。里の二足歩行のカバやウサギ達は私達の行為にど 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:さとりっく お題:それいけ四肢切断 制限時間:30分 読者:7 人 文字数:149字
だるま祭りじゃ。だるま祭りじゃ。振る袖なければ、手を落とせ。草鞋なければ、足を切れ。そうすりゃ足は出ることないし、欲しいものにも手は出ない。だるま祭りじゃ。だる 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:彼方 お題:興奮した犬 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:474字
困った事に最近夫が犬に見える。いや、ずっとじゃない。アノ時だけ。夜、ベッドの上で私の白く肉付きの良い腰を掴んで、貧相な一物を奮い立たせてみすぼらしく臭い柴犬(夫 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:さとりっく お題:赤いガールズ 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:748字
「今ので最後か」顔に付着した血飛沫を真里亞はそっと撫でる。既に固まっていた血液がパラパラと削ぎ落とされ、真里亞の白い地肌が露わになる。「みたいですね。随分時間が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:ウルス(文芸部アカ) お題:薄汚い昼下がり 制限時間:30分 読者:9 人 文字数:1550字
砂の雲に覆われた午後の太陽が、薄汚い茶色の光を照らす。 気温は40℃を超えるだろうか。太陽光の弱まったこの時代においてもこの暑さなのだから、砂に覆われていなか 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:美紗 お題:団地妻のダンス 制限時間:30分 読者:3 人 文字数:1067字
「最近、なんかあった?」終電で帰宅した夫の食器を片づけている妻の後ろ姿に問いかける。「なんかってなに?」洗い物の手を休めずに妻がそっけなく質問を質問で返す。二人 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:夏空蝉丸 お題:儚い悲しみ 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:2091字
仕事を終えて帰ってきた。時間は午後7時50分。いつの間にか、夜の帳が下りるのが早くなった。そう思うのだが、それが誤解であることも知っている。夜は、気づかないう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
開かない扉 ※未完
作者:匿名さん お題:賢い伝承 制限時間:30分 読者:55 人 文字数:2107字
夜の校舎に生徒が侵入することを禁ず、なんてルールは大体どこの学校にも存在している。もちろん僕の学校でもそうだ。 真面目な生徒はもちろんそれに従う。僕は少なくと 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:こっころ お題:死にかけのダンジョン 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:619字
父は無口な人間だった。俺とは似ていない。父は失敗しなかった。俺とは真逆だった。俺は父が嫌いではなかった。でも、父が俺を好きなのかは解らなかった。ましてや失踪した 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:知らぬ間の14歳 制限時間:30分 読者:6 人 文字数:2755字
ミズホは美しい少女だった。当然だ。彼女はヴァーチャルな肉体で、つまるところそれは生まれ落ちる苦しみというものを知らない。わたしたちは遺伝子に組み伏せられた獣にす 〈続きを読む〉

akariの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:akari お題:興奮した発言 制限時間:30分 読者:4 人 文字数:362字
もはや戦場だった。「邪魔だよ。どきな」「こっちの台詞」「先に獲ったのはあたし」「はっ、証人なんていやしないじゃない」 無数の女が一つのワゴンに群がり、口汚く罵 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:akari お題:憧れの善 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:135字
手元にある10円玉をじっと見つめる。 刻まれた発行年は五年前、縁はつまらないほどに滑らかだった。 やがて視線を上げると、目の前には誘蛾灯と化している自販機。そ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
取引 ※未完
作者:akari お題:右のぬくもり 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:304字
頬に触れ、ほのかな熱を感じ取る。 多分、それだけで十分だったのだ。それ以上をどうしようもなく当然に望んでしまうのだとしても、その感覚はまやかしであると受け止め 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:akari お題:素人の栄光 制限時間:30分 読者:10 人 文字数:1289字
人通りの少ない道に面する路地裏、そこに一人の少女が蹲っている。「………」 出来ることなら見て見ぬふりをしたかった。けれど、太一には見過ごせない事情がある。 知 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:akari お題:春の傘 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:819字
「ただいま」 とりあえず口にしてみる。けれど案の定、返ってくる言葉はなかった。 ーーだろうな。 記念日を忘れて深夜まで残業していた人間だ。情けなどあるはずがない 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
留まる足 ※未完
作者:akari お題:馬鹿な囚人 制限時間:30分 読者:12 人 文字数:302字
「ここに留まるか、それとも出ていくか。選べ」 突然突きつけられた問いに、朗太は迷わず後者を選択した。 ーー自由だ。 朗太は外の空気を肺一杯に吸い込む。刑務所の淀 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
記念上映 ※未完
作者:akari お題:幸福な映画 制限時間:30分 読者:11 人 文字数:507字
「あなたは最後のお客様です」 老人はにこやかな笑顔を浮かべる。人気のない館内のロビーで見るそれはどうにも哀愁を覚えてしまう。「当館は本日で営業を終了させていただ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
介錯 ※未完
作者:akari お題:穏やかな恨み 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:258字
「誰かを殺めたことは?」「ない」「なら、これが初めてとなるな」 男は薄い笑みを浮かべる。落ち着いた様子。なぜ余裕でいられるのだろう。眉間に銃を突きつけられている 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
内からの景色 ※未完
作者:akari お題:楽観的な哀れみ 制限時間:30分 読者:15 人 文字数:498字
道路に犬の死骸が放置されていた。 血の痕から考えるに、恐らく車に轢かれてしまったのだろう。今日は真夏日。いずれすぐに腐り、骨だけの存在になり果てるに違いない。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:akari お題:馬鹿な彼女 制限時間:30分 読者:11 人 文字数:862字
くゆりくゆりと、紫煙が立ち上っていく。 その行く先を、真枝はベンチに座ってぼんやりと目で追っていた。「調子はどうだ」 不意に声が聞こえた。目を向けると、よれた 〈続きを読む〉