お題:アルパカの船 制限時間:30分 読者:11 人 文字数:386字

温もりにくるまれて
白。白。白。視界に入るのはそれだけだった。
まるで雲の中にいるような船内。空間全体を柔らかそうな毛玉が包み込んでいる。床も右に同じで、地面を踏んだ感触がしなかった。
アーティスティックなコンセプトで作られたこの船の航海は一度限りの航海。外は通常の船と同じ素材でできているらしいが、どうしても耐久性に難があるそうだ。
まあ、それで別に構わないんだけど。
「まもなく出発いたします」
ようやくの船出だ。この瞬間を待ちわびていた。
私はベッドに身を委ねた。相変わらずの柔らかさが私を包み込む。不快なもの、肌をさすもの、こわいもの。そんなものは何一つない。このまま心地よい微睡みに堕ちていきそうだ。
「それでは穏やかな眠りをお楽しみください」
おやすみなさい。私は静かに目を閉じた。
ちなみにこの船に目的地はない。あてどなくさ迷い、辿り着いた先が全ての終点なのだ。
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