お題:トカゲのブランド品 制限時間:15分 読者:43 人 文字数:1070字

砂漠のトカゲ
 「人間至上主義の街」と言われるだけあって、アイソスには亜人の冒険者は少ない。
 人型のエルフやドワーフはともかく、獣人種は本当に数えるほどしかいない。
 そんな数少ない獣人種の中でも、リザードマンはレプという青年一人だけだった。
 「アイソスは獣人を差別している。現にここには獣人の住人が少ない」と、獣人の地位向上を訴える団体は、この街を「野蛮なレイシストの街」と評した。
 だが、レプにしてみればこの街は「差別的」なのではなく、「無知」なだけに映った。
 というのも、このアイソスに獣人が少ないのは地理的な影響が強い。獣人の中でも大多数を占めるのが、ワードッグ族とワーキャット族であるが、彼らが棲家にする大きな森林がアイソスの近くにない。
 アイソスは砂漠の街なのだ。砂漠に住む獣人種はいない。毛皮を熱く着込む彼らには、砂漠の昼は地獄のような環境だ。対して、毛皮を持たない人間は様々な環境にでき応する。この街はオアシスを中心に人間が発展させ、人間のための街として出来上がったのだった。
 そして、元々の環境の悪さも手伝い、亜人の出入りも少なく、結果的に人間ばかりがこの街の歴史に名を刻んだ。亜人が来れるようになったのも、ある程度交通網が発達するようになったこの10年ぐらいの出来事である。
「へー、リザードマン? 火を吹くの?」
 この街に来たての頃、レプはよくそう言われた。
「いえ、竜人ではないので火は吹かないですね」
 一日に何度もこのやり取りをした。
 リザードマンというのは、どちらかというと湿地帯に住む一族だ。レプの故郷も大きな湖沼のある地域だった。毒のブレスを吐く種類もいるが、それらは魔物に近い「共通語」が通じない連中だ。
 ある時、別の人間にまったく逆のことを尋ねられた。
「リザードマンってことは湿地帯に住んでるのよね? 砂漠暑いし、水のブレス吹いてくれない?」
「水は吹かないですね。水を汲んできてもらえば、ブーって吐き出したりしますけど」
 そういうと相手は肩をすくめて笑った。
「でも湿地帯に住んでるんだったら、砂漠は辛くない?」
「大丈夫です。この鎧が守ってくれてるんで」
 レプは着込んでいるブレストアーマーをウロコのある手で撫でた。リザードマンの間では知られたブランド物のアーマーである。
「へえ、そんな装備があるんだね」
 レプは曖昧にうなずいておいた。実はこの装備のテストのために、レプはこの街に派遣されてきたのだった。あらゆる環境に適応できるようにと開発されたそれは、対人間のための装備だった。
 
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:トカゲのブランド品 必須要素:鬼コーチ 制限時間:15分 読者:19 人 文字数:615字
今日は舞踏会の日。僕達には縁のない話だけど、衣装について少し揉めている「今日は、派手な緑の尻尾を付けるべきだ!!」長男はいつも尻尾を誇示している。曰く、尻尾があ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:トカゲのブランド品 必須要素:ひょっとこ 制限時間:15分 読者:169 人 文字数:988字
久々に実家に帰ってみると、友達が皆、トカゲのブランド品を身につけていた。トカゲのブランド品といっても、トカゲの革素材とかそういうものではない。トカゲの絵がワッペ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:混沌の過ち 制限時間:15分 読者:0 人 文字数:456字
現状はカオスだった。どう説明すればいいのか、とにかく大変な事態であることは確かだ。お盆と正月どころではない。ブラジルと日本がくっついたぐらいの有り得ないことが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:カ ク お題:初めてのアレ 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:644字
改札を出た先にある売店の壁にはサイネージが光っており画面は今日の星座占いが五位まで表示されている。自分の星座が四位に入っているのが見えたがサイネージの前には恰幅 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:信用のない始まり 制限時間:15分 読者:3 人 文字数:722字
冒険というのは危険がつきものだ。 地図にない前人未到の地を手探りで進んでいくのは、暗闇の中を明かりも持たずに走っていくようなもの。いつ何時障害物にぶつかって怪 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:出来損ないの作家デビュー 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:351字
はあ・・・作家デビューがまだ完成していない・・・このままじゃ〆切に間に合わない・・・あと1時間しかない・・・まだ半分も終わってない・・・このままクビになるのか・ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:孤独な芸術 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:19979字
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:日ノ宮理李@バブみ昆布 お題:猫の孤独 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:708字
使い魔として猫を飼い始めたのだけど、なかなか仲良くなれない。歳がまだ赤ん坊だからなのか、あるいは子供だからからかわれてるだけなのか。「……」 なんにしてもエサ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:破死竜 お題:高貴なセリフ 制限時間:15分 読者:11 人 文字数:655字
何とか、元の身体に戻れた、そのとき、わたしはほっとして、思わず腰砕けになっていた。 「やれやれ……」 「溜息を吐きたいのはこっちだよ」 同じく尻もちをついてい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:闇の罰 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:214字
僕は、気が付いたら真っ暗な部屋にいた。直前の記憶がない。おぼえているのは、検診で麻酔を打たれ、そこから記憶がない。いきなりのことで焦っていると、声が聞こえた。? 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:秋の悪意 制限時間:15分 読者:16 人 文字数:958字
異常気象というやつなのか、ここ数年は夏から即冬になるような気候が続いている。 12月を過ぎても最高金20度だったかと思えば、翌日は一気に冬めいてくるなど、最早 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:黄金の口 制限時間:15分 読者:20 人 文字数:1033字
「ミダス王の話は知っているかい?」 不意に彼はそんなことを言い出した。「僕が言いたいのはロバの耳の方の話じゃなくてね。『金の大好きな王様』と言えば分かるかな? 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:オレだよオレ、野球 必須要素:哲学的な思想 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:2949字 評価:2人
山下が死んだ。 それからというもの、百瀬の様子がおかしい。 毎朝、誰よりも早くグラウンドに来るようになった。そしてひたすら走り込み、素振りを行い、チームメイト 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:バイオ視力 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:895字
「それでですね、今回の企画なんですが……」 週刊少年オーバーエイジの編集者・田崎は、漫画家のドブルズ篠田の前に資料を広げて見せた。 週刊少年オーバーエイジは、編 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:斬新な想い 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1185字
高山くんの告白を、アキコは断ったらしい。 高山くんと言えば、クラス一のイケメンと言うわけではないが、まあ三番ぐらいには入る。別に暗いとかそういうわけでもないし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:今度のブランド品 制限時間:15分 読者:24 人 文字数:1375字
「あいつ絶対、パパ活とかエンコーやってるわ」 木村がそう断言するのは、必修の科目が同じ太田という女子のことだった。「見たかよ、あいつの財布? あんなもん大学生が 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:意外!それは諦め 制限時間:15分 読者:22 人 文字数:1313字
「恋に悩める君に、絶対に告白に失敗しない方法を教えてあげるわ」 いきなり目の前に現れたお姉さんは、そんなことを言い出した。 この人は恋の女神らしい。なるほど、白 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:調和した野球 制限時間:15分 読者:25 人 文字数:800字
バンディッツは追い込まれていた。 オールスター前のスミドロンズとの首位攻防戦、9回裏ワンナウト満塁、犠牲フライでもサヨナラの場面。前半戦をどうしても首位ターン 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:最弱の食堂 制限時間:15分 読者:27 人 文字数:1072字
わたしの勤める会社の周辺には、「食堂」を冠する飲食店が3つある。 「食堂・五郎八」は和食を中心にした昔ながらの食堂で、おじさんが多い。 「元気食堂」は自然食を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:夏の妻 必須要素:出会い系サイト 制限時間:1時間 読者:25 人 文字数:3616字 評価:0人
うだるような暑さの中、ユウコが彼氏であるタツオの家を訪ねると、玄関の鍵が開いていた。 いるのかな、と思って「来たよー」と言いながら戸を開けると、知らない女が奥 〈続きを読む〉