お題:トカゲのブランド品 制限時間:15分 読者:68 人 文字数:1070字

砂漠のトカゲ
 「人間至上主義の街」と言われるだけあって、アイソスには亜人の冒険者は少ない。
 人型のエルフやドワーフはともかく、獣人種は本当に数えるほどしかいない。
 そんな数少ない獣人種の中でも、リザードマンはレプという青年一人だけだった。
 「アイソスは獣人を差別している。現にここには獣人の住人が少ない」と、獣人の地位向上を訴える団体は、この街を「野蛮なレイシストの街」と評した。
 だが、レプにしてみればこの街は「差別的」なのではなく、「無知」なだけに映った。
 というのも、このアイソスに獣人が少ないのは地理的な影響が強い。獣人の中でも大多数を占めるのが、ワードッグ族とワーキャット族であるが、彼らが棲家にする大きな森林がアイソスの近くにない。
 アイソスは砂漠の街なのだ。砂漠に住む獣人種はいない。毛皮を熱く着込む彼らには、砂漠の昼は地獄のような環境だ。対して、毛皮を持たない人間は様々な環境にでき応する。この街はオアシスを中心に人間が発展させ、人間のための街として出来上がったのだった。
 そして、元々の環境の悪さも手伝い、亜人の出入りも少なく、結果的に人間ばかりがこの街の歴史に名を刻んだ。亜人が来れるようになったのも、ある程度交通網が発達するようになったこの10年ぐらいの出来事である。
「へー、リザードマン? 火を吹くの?」
 この街に来たての頃、レプはよくそう言われた。
「いえ、竜人ではないので火は吹かないですね」
 一日に何度もこのやり取りをした。
 リザードマンというのは、どちらかというと湿地帯に住む一族だ。レプの故郷も大きな湖沼のある地域だった。毒のブレスを吐く種類もいるが、それらは魔物に近い「共通語」が通じない連中だ。
 ある時、別の人間にまったく逆のことを尋ねられた。
「リザードマンってことは湿地帯に住んでるのよね? 砂漠暑いし、水のブレス吹いてくれない?」
「水は吹かないですね。水を汲んできてもらえば、ブーって吐き出したりしますけど」
 そういうと相手は肩をすくめて笑った。
「でも湿地帯に住んでるんだったら、砂漠は辛くない?」
「大丈夫です。この鎧が守ってくれてるんで」
 レプは着込んでいるブレストアーマーをウロコのある手で撫でた。リザードマンの間では知られたブランド物のアーマーである。
「へえ、そんな装備があるんだね」
 レプは曖昧にうなずいておいた。実はこの装備のテストのために、レプはこの街に派遣されてきたのだった。あらゆる環境に適応できるようにと開発されたそれは、対人間のための装備だった。
 
作者にコメント

似た条件の即興小説


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:トカゲのブランド品 必須要素:鬼コーチ 制限時間:15分 読者:39 人 文字数:615字
今日は舞踏会の日。僕達には縁のない話だけど、衣装について少し揉めている「今日は、派手な緑の尻尾を付けるべきだ!!」長男はいつも尻尾を誇示している。曰く、尻尾があ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:和委志千雅 お題:トカゲのブランド品 必須要素:ひょっとこ 制限時間:15分 読者:190 人 文字数:988字
久々に実家に帰ってみると、友達が皆、トカゲのブランド品を身につけていた。トカゲのブランド品といっても、トカゲの革素材とかそういうものではない。トカゲの絵がワッペ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:トカゲのあそこ 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:780字
拝啓、橘様。たまたま立ち寄った駅前の本屋で『トカゲのあそこ』という珍妙な本を見つけてから、はや30分が経ちました。いかがお過ごしですか。私は相も変わらず、人ごみ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:DDT お題:綺麗な殺し屋 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:459字
「依頼が入ったら爪を塗ることから始めます」そう語るまりあさん(仮)の表情は柔らかい。「だって万全を尽くしたいので」まりあさんがこの仕事を始めたのは、中学二年生の 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:あにぃぃ お題:メジャーな彼氏 制限時間:15分 読者:6 人 文字数:764字
何となく、私は一人でいいと思う。いや、一人でも良かったのかもしれないと思っている。そう思っているだけで、実際は愛する彼がいて、恐らく何事もなければこのままいずれ 〈続きを読む〉


ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:俺は病気 制限時間:15分 読者:4 人 文字数:448字
朝、目がさめると、壁が目の前にあった。 いや、壁ではない。少し視線を動かしてみると電気が付いている。寝ぼけた頭でもわかる。これは天井だ。 はっきりと目が覚めて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
不器用な嘘 ※未完
作者:谷矢チカフミ お題:賢い嘘 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:446字
不審そうな視線に笑顔を返せば、結局は誰も口出しをしない。忠義だの恩だのと言う者達は、主のお気に入りである参謀の私に口出しは出来ない。笑いながらお決まりの言葉を 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者: お題:最弱のサラリーマン 制限時間:15分 読者:8 人 文字数:1071字
静まり返った街中を、レールを軋ませながら電車が走り抜ける。酒で酔って寝ている人、大声で喋る化粧の濃い女性、疲れ切った顔で携帯を見るサラリーマンの群れ。私もその中 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
トラブル回避 ※未完
作者:にい お題:弱いゴリラ 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:886字
真正面から歩いてくる男と目が合ったとき、喧嘩をふっかけられると直感した。血に飢えているやつは目でわかる。そして大体、野獣のような顔つきをしている。幅の狭い道だ 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:匿名さん お題:弱いゴリラ 制限時間:15分 読者:5 人 文字数:396字
威嚇された一頭のゴリラがすくみ上って、こちらに向かってきた。「今回も、失敗ですね」「うーん、ちゃんと自分を主張できれば、他のゴリラに引けは取らないはずなんだけ 〈続きを読む〉

雨宮ヤスミの即興 小説


ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:残念な内側 制限時間:15分 読者:9 人 文字数:1196字
弟はイイ歳してアニメの美少女キャラに夢中で、姉としては気持ち悪いことこの上なかった。 夫の友人に同じようなオタク趣味の人がいるが、そちらは爽やかだし、弟のよう 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:俺と帝王 制限時間:15分 読者:14 人 文字数:1144字
そいつはディフォルメされたコウモリのような見た目をしていた。身長は50センチ程か、キャラクターグッズとして発売されていたら、女子中学生が目を輝かせて「かわいい 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:賢いガールズ 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1043字
「これ見てくれよ……」 サワダはそう言って自分の右手の甲を指し示す。毛だらけの手の甲には、ぽつぽつと何か針で突かれたような傷跡がいくつもあった。「どうしたんだ、 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:未来の信仰 制限時間:15分 読者:13 人 文字数:1082字
「未来の世界ではすべての宗教は消滅しているだろう」 とある学者が発表したこの言説は、消滅を言い渡された宗教界から激しい反発を受けることになる。「そういうところが 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:苦いぬるぬる 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:1256字
男の子の出す白いアレを、わたしは飲んでみたいと思っていた。 その話をすると、訳知り顔でユリはこう言った。「あんなの美味しいもんじゃないわよ。苦くてさ、蕁麻疹も 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:宿命の家事 制限時間:15分 読者:17 人 文字数:1165字
「わたし、家事がトクイなんですよねー」 彼女はにこやかにそう言った。 なるほど、それは褒められるべき能力なのだろう。しかし、それをアピールする場面は今ではない。 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:メジャーな本 制限時間:15分 読者:10 人 文字数:1377字
「この本はとてもメジャーな本なんですよ」 そう言って後輩が持ってきた本は、聞いたことのないタイトルだった。「『星屑の物語』……。作者は、……誰?」「知らないんで 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:きちんとした星 制限時間:15分 読者:21 人 文字数:1143字
「先生、きちんとした星が描きたいんだけど……」 自由帳を持ってそんなことを言ってきたのは、この1年2組の中でも物静かな外村くんだった。この子が自分から話しかけて 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:燃える宇宙 制限時間:15分 読者:28 人 文字数:1213字
アリサは三好くんのことが好きらしい。 よりにもよって三好くんかよ、と思わなくもないわたしは、とりあえず理由を聞いてみた。「顔。あと、背が高い。運動神経もいいし 〈続きを読む〉

ユーザーアイコン
作者:雨宮ヤスミ お題:俺の駄作 制限時間:15分 読者:38 人 文字数:1192字
「駄作ですが、どうぞ読んでください」 とんでもない文面で来たな、と俺はSNSの画面を見て唸った。 この短文投稿SNSでは、ハッシュタグをつけて素人のWEB小説を 〈続きを読む〉