お題:きちんとしたぬるぬる 制限時間:15分 読者:66 人 文字数:1033字

雑草料理
「え、雑草を料理したい?」
 うん、梅平ゆみみはうなずいた。
「ゆみみの好きなね、岩下くんが、雑草が好きなんだって!」
 わたしは一瞬悩んだ。
 岩下という男については知らないが、彼の言う「雑草が好き」は十中八九食べる方ではないだろう。
「わかった、何とかやってみよう」
「ホント? やったー!」
 ゆみみは飛び跳ねて喜んだ。今大学一年生のゆみみだが、二浪しているのでもうすぐ21歳のはずだ。成人済みの女性がすべきムーブではないし、かなりイラッときた。
 そのイラッとくる感じが、わたしが「雑草を料理してみせよう」と思い立った原因でもある。
 岩下某に罪はないが、せいぜい雑草を食わされてゆみみのヤバさをわかるがいい。
「じゃあ、とりあえず雑草を集めようか」
「うん!」
 わたしはゆみみと庭に降りた。
 梅平家の庭は広い。この大きな家で、ゆみみは蝶よ花よと育てられ、今のイタイイタイ性格になったようだ。
 わたしとゆみみの付き合いは去年からで、その時は家庭教師と生徒の関係だった。今は既に彼女を教える職からは解き放たれ、友人関係と言えるが、ゆみみはわたしのことを先生と呼んでいる。
「先生、雑草ってこれかな?」
 ゆみみは鉢植えを持ってきた。ゆみみの母親が育てている花だろうことは明白だ。
「いやいや、庭に直接生えてるの、いっぱいあるじゃん」
 え? とゆみみは首をかしげる。このお嬢さんの世間知らずぶりはわざとやっているのではないか、と思うほどだし、多分大学でも思われているのだろうが、友人関係とは言え先生と呼ばれている手前、わたしは指導しなくてはいけない気持ちになって、ゆみみの足元に生えた草を引っこ抜いた。
「こういうやつよ」
「これって、土じゃないの? 土に雑草って生えてるの?」
 大学一年生のセリフだとすると、文部科学省の役人が全員泣きながらJKリフレに貧困調査へ行くぐらいに混乱させるものであるが、安心してほしい、こいつは平均未満の青点女だ。
「土じゃないの、植物よ。こういうのを抜いていきましょう」
 そうは言っても土に触るのを嫌がるゆみみにそんな作業はできないので、わたしがほぼほぼやった。ただの庭の草むしりになった感はあるが、ここからが本当の地獄である。
 集めた雑草の束をバケツの中に入れてすり潰していくと、何だかぬるぬるした液体ができてきた。
「これを鍋で煮て、食べさせるといいよ。きっちりぬるぬるになったし」
 うん、とゆみみは微笑んだ。
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