お題:うわ・・・私の年収、カリスマ 制限時間:15分 読者:41 人 文字数:1156字

それがカリスマなのか
 自称・ネット界のカリスマDiegoとオフ会をすることになってしまった。
 なってしまった、とは言ったが、Diegoはわたしがくることを知らない。わたしの顔も知らない。
 わたしはDiegoのYoutubeチャンネルの一視聴者で、Diegoがこの間の動画で「オフ会します、みんな来てね!」と言ったので、行かないといけない気持ちになっているだけだ。
 そういうワケで、わたしはDiegoがいるという××駅までやってきたのだった。

 ××駅はいくつかの私鉄が乗り入れている駅で、私鉄の資本が入った百貨店が駅の改札の真ん前にあった。
 Diegoはその百貨店の前を集合場所に指定したのだが……。
 いた。
 いつもの動画と同じ、アメリカ空軍のロゴが入ったジャケットに無闇に大きなサングラス、頭にかぶったニット帽……間違いない、カリスマDiegoだ。
 ただ、想像していたのよりも小さい。Diego、多分160センチ前後しかない。
 そしてきょどっている。動画でも別に堂々としているとは思わなかったが、見ていて可哀想になるぐらいにキョロキョロしている。
「あんなもんかよ……」
 後ろから声がして、振り向くと如何にもオタクみたいなノッポメガネが立っていた。
 ノッポメガネはそのひ弱そうな容姿には似つかわしくない乱暴な調子で、「Diego終わってんな」「あんなチビがカリスマとか」「ワンパンで沈みそう」などとイキっている。
 わたしはだんだん腹が立ってきた。
 お前もDiegoの動画を見ているなら、彼がどんな人物が知っているだろう。
 Diegoはニートだ。自称はネオニートだが、大して収入がないことはバレている。
 親のすねをかじりながら、Youtubeで配信を行っている。親の財布から金を抜いて「コツコツ貯めて買った」とドヤる機材を使いながら。
 有名どころの五番煎じぐらいの、クソみたいな商品レビュー。
 「やってみた」とつければ何でもいいと思っているのか、とにかくつまらないチャレンジ。
 プレイもトークも、下手くそすぎて目も当てられないゲーム実況。
 ネット対戦をして、勝てば相手を煽り、負ければ罵って言い訳三昧……。
 そんなクソ配信者なのに、性欲だけは一丁前で、このオフ会もその後のパコ部分が目当てだろう。
 そもそも動画の編集もぶつ切りだし、謎編集も多い。その割に冗長で、自分のやったことは全部面白い価値あることだと思っているのか、無駄な長尺回しも存分に使っている。
 ……そうだ、こんな程度のヤツなのだ。だから、このDiegoとは人間性にミリ程度しか差のないこのノッポメガネに何を言われようともいいはずだ。
 それなのに、無性に悔しいのは何故だろう。それならお前がやってみろと言いたくなってしまう。
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