お題:東京の許し 必須要素:ハッピーエンド 制限時間:15分 読者:43 人 文字数:884字

料理漫画
 わたしたちはきょうだいだった。きょうだいになった。四年前のはなしだった。わたしはそのとき高校三年生で、とつぜんふたつしたのきょうだいが出来た。母親は初婚だった。わたしと弟と父親と母親。四人家族。二年前までの家族構成。
 それはある雨の強い日の出来事だった。ビニール傘をさしてあるく母親を、白い乗用車がひき殺した。
 それはある晴れた日の出来事だった。酔ってふらついた同僚によって白線の外側に押し出された父親が、電車にひき殺された。
 わたしと弟はふたりきりになった。ふたりきりの家族が四人に増えたと思ったら、かんたんにまたふたりに戻ってしまった。ハッピーエンドにつながる第一歩だと思った。思い違いだった。ふたりが四人に、四人がふたりに。ただ元に戻っただけなのかもしれない。もともと、あるべきすがたに、戻っただけなのかも。しれない。
 わたしと弟は、弟の進学を機に、東京に出てきた。東京はわたしたちを許してくれた。解放感を感じた。実感はなかった……気がする……が、地元では肩身が狭い思いをしていたのかもしれない。
 東京にでたわたしはすでに学生ではなく、たとえばレジを打ったりだとか、たとえばお酒を注いだりだとか、たとえば……いろいろとしごとをして、生計をたてていた。弟の学費は、両親の残した生命保険から賄っていた。金銭てきな観点だけでいえばわたしもじゅうぶん学生生活を送ることはできたけれど、わたしはそうしなかった。なんとなく、なんとなく。しごとをして、給金を貰って、そのお金でじぶんと弟のたべる夕食の材料を買う。それがわたしの生きがいだった。のこされたよすがだった。わたしがレジを打ったりだとかお酒を注いだりだとかそのほかにいろいろとしごとをしたその延長線上に、弟の食事と弟の生命が繋がっている。じごくに落とされた罪人がひっしに蜘蛛の糸を掴むように、わたしはそんな細い細いつながりに縋っていた。きっといつか、ぷつりと切れてしまうだろう、そう分かってはいても。血も過去も繋がっていないわたしと弟のあいだをつなぐのは、わたしが材料を買い、わたしがつくる夕食だけだった。
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