お題:プロの年賀状 制限時間:15分 読者:49 人 文字数:1163字

プロのロープ
『あけましておめでとうございます』

印字された一文。

変わることのない文字の羅列を眺める。

「年が明けて、本当にめでたいのかねぇ」

愚痴が漏れる。

ただ年号が変わっただけなのに、みんなして何故こんなにも喜ぶのか。

そりゃ、何かに託けて休める人や稼げる人はいいかもしれないさ。

それを言ったらクリスマスも同じかもしれないけど。

「まあ、つい数日前にフラれた俺にしてみれば、あけましておめでとうだなんて素直に喜べない」

本当に、何がめでたいのか。

おめでたいのは、お前たちの頭の中だろ…なんて言いたくもなる。

「そんなことは言うのは良くないか」

本当は今日この日を彼女と過ごすはずだった。

だけど、今は誰もおらずもぬけの殻。

せめて、バイトでも入れておけば良かったものの、フラれてからそんな暇はなかった。

そして、今に至る。

「年始の番組も面白くないし、はてさて何をしようか」

神社にお参り?

冗談じゃない。

祈ったところで結果は変わらないさ。

なら、福袋を買いに行く?

今日は店もあまりやっていないだろうし、なにより混む。

「…困った」

いくら頭を回しても、答えは出てこない。

仕方なく、立ち上がってPCの電源をつけた。

普段見るサイトを巡回する。

「…ダメだ。どこもかしこもお祭り騒ぎ」

一番平和なのは過疎った掲示板くらいだろう。

だがそれも、目まぐるしく更新されるスレッドによってかき消される。

「はーっ。やめだやめ」

こんなサイトを巡回していたってなんの得にもならない。

ならば、どうするか。

「…選択肢は3つ、いや、2つある」

1. そのまま寝るか。

2. 起きて何かをするか。

「いや、1は有り得ないだろ…」

いくら休みとはいえ、そのまま寝続けるのは難しい。

それに、ここのところはショックもあってか充分に寝ている。

「はぁー…。フラれさえしなければ、今頃バラ色の正月を迎えていたっていうのに」

そう呟いても、あとの祭り。

事実は覆ることがない。

どうして別れたのか。

とか。

何が原因だったのか。

とか。

もう、なんか、全部どうでも良くなる。

「何が悲しくて一人寂しくコタツの中にいなければならないのか」

虚しさを通り越して、段々とムカムカしてきた。

「大体さ、俺にも、あいつにも、恋愛なんてものは早かったんだ」

誰かに言い聞かせるように、言葉を紡ぐ。

「なのに、なんでだろうな。

こんなにもぽっかりと穴が空いているはずなのに、苦しくもないのは」

だけど、こんな時でさえ、彼女のことを思い出す。

「…元気にやっていてくれるといいな」

それが、僕の出した最後の答え。

その言葉がこだまして、言葉は途切れた。
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